「アハ体験」は脳を活性化する。記憶力も2倍に

アハ体験で脳の一部の血流が活発になる様子。 Image: Duke University

アハ体験したことありますか? 「あ、ひらめいた!」「…! わかった!」って、あの瞬間のことです。頭の上で電球が点灯するような、アレ。アレがアハ体験です。

記憶力は2倍に

このアハ体験(ひらめき)が、脳の動きを物理的に変化させることが明らかになりました。

アハ体験と脳の働きを研究しているのは、アメリカ・ノースカロライナ州に本部を置くデューク大学。

今回明らかになったのは、理論的に導き出した答えより、アハ体験でうまれたひらめきの方が、人の記憶に残りやすいということでした。デューク大学の心理学と脳科学の教授であるRoberto Cabeza氏は、ひらめき時の記憶力は2倍にもなると解説し、その大きな影響力を指摘しています。

パズルを使って実験

今回の研究では、視覚パズルを使用しました。パズルの一部がかけた状態でスタートし、被験者はそれを穴埋めして画を完成させます。一見、子ども向けパズルのように思えますが、このような小さな発見(画の完成ステップ)でも、大きなアハ体験と同じ種類の特性がでるとCabeza氏は解説しています。画像が完成すると、完成まで理論的かつ戦略的に取り組んだのか、ひらめきで解決できたのか、その手順を協力者にヒアリングしました。

結果、ひらめきでパズルを完成させた被験者の方が、その解決策をよく覚えていることがわかりました。その記憶力は絶大で、実験から5日後でもしっかり記憶にとどまっていました。

さらに被験者の脳の動きを、磁気共鳴機能画像法(fMRI: Functional Magnetic Resonance Imaging)という、脳の機能活動を観察する技術でトラッキングし、血流の変化に関連して脳の働きを記録しました。

すると、磁気共鳴機能画像では、学習力や記憶力に関係する脳の海馬の動きが、アハ体験によって活性化されていたことがわかりました。ひらめいた!で頭の上に点灯する電球の光が強ければ強いほど、脳の動きも活発になります。

ひらめきで脳は活性化する

また、パズル完成で全体の絵が理解できた瞬間は、神経細胞が電気信号を発する「ニューロンの発火」にも変化があることもわかりました。ニューロンの発火は、とくに、視覚パターンの認識に関連する脳の腹側後頭側頭皮質部分で顕著に見られました。

Cabeza氏は、これを脳の異なる部分がアハ体験によってより効率的に結びついていると解説。研究チームは、アハ体験・ひらめきを促す学習環境が、長期的に記憶力を高め、理解力も深めると語っています。

…でも、残念ながらアハ体験って起こそうと思って生まれるものじゃないんですよねぇ。

研究論文はNature Communicationsに掲載されています。

Source: Duke Univ.

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