ファーウェイがAndroidと決別。これからは孤高の独自OSでひた走る

Image: HUAWEI via GSMArena

独自OSの挑戦始まる。

今から5年前の2019年、トランプ大統領の大統領令によってHUAWEI(ファーウェイ)を含むいくつかの外国企業が、自社のデバイスに米国製技術を使用することが禁止されました。

この措置によりもろに影響を受けたHUAWEIは、当時Google(グーグル)からAndroidのライセンス権利を剥奪、サポートを強制終了恐れも報じられ、突如市場から締め出される形となり、日本でも部品供給への影響や、HUAWEI製品排除の流れが加速していきました。

しかし、HUAWEIは私たちの目から見えにくくなっただけで、もちろん活動を続けていました。そしてついに2023年末、HUAWEIはこれまでベースとして使用していたAndroidを切り離した完全独自OSの「HarmonyOS Next」を発表するに至りました。大統領令から4年後のことです。

Androidを切り離したことで、HarmonyOS NextではAndroidアプリをサポートしていません。つまり完全にHUAWEIは独自OSを展開する方向へ舵を切ったのです。開発者に対しては、HarmonyOS Next向けのアプリ構築が必要になると説明し、9月時点で1万種以上のアプリがHarmonyOSに対応する準備ができていると発表しました。

最後の2機種はMate 70シリーズとMate X6

Image: HUAWEI via GSMArena

HUAWEIは11月26日にMate 70シリーズと最新の折りたたみ式スマートフォン Mate X6を新たに発表しました。そしてどうやらこの端末が、HarmonyOSを搭載した最後の機種になると見られています。

やや表記が似ていてわかりにくいですが、HarmonyOSが Androidをベースに開発されたOSで、HarmonyOS NextがAndroidと切り離されたHUAWEI独自OSです。

GSMArenaは、Mate X6の一部のユニットのみがHarmonyOS Nextを搭載して出荷されると報じていて、Mate 70は最初からHarmonyOS Nextを搭載しないと述べています。これらのデバイスは既存のHarmonyOS 4.3(Androidベース)を使用して、新しいAndroid非依存のバージョンへのアップデートが後日配信される模様です。

この点はHUAWEIコンシューマー事業部責任者であるリチャード・ユー氏のコメントとも一致しています。ユー氏は、「これらのデバイスが新しいOSで動作可能である」と述べましたが、発売時点で新バージョンが搭載されるとは明言していませんでした。

Image: HUAWEI via GSMArena

またReutersによると、Mate 70シリーズはHarmonyOS 4.3(Android互換性を維持)と新しいHarmonyOS Next 5.0のどちらかを選択できるとユー氏が述べており、今後数カ月で10万種以上のアプリがプラットフォームに対応する予定であるとしています。HUAWEIは2025年以降に発売されるすべてのデバイスにHarmonyOS Nextを搭載すると発表しており、今回のMate 70とMate X6のリリースが、Android搭載のHUAWEI製品として最後になる可能性が非常に高そうです。

HarmonyOS Nextのために設計

HUAWEIが猛プッシュするのが、今回発表されたデバイスが、HarmonyOS Nextに向けて設計された初のデバイスであることです。とき同じくしてApple(アップル)のiPhone16シリーズのキャッチコピーは、Apple Intelligenceのために設計。一方はAI、もう一方はOSのためにデバイスを再設計。何か因縁めいたものを感じます。

Image: HUAWEI via GSMArena

それぞれ価格は

Mate70 / 12GB RAM/256GBストレージ 5,499元(約11万4997円)〜

X6 / 12GB RAM/256GBストレージ 1万2999元(約27万1840円)〜

HUAWEIはこのスマートフォンがグローバル市場に出るかどうかについてコメントしていないので、Mate X5やMate XT Ultimateに続き、中国限定モデルとなる可能性は大いにありそうです。

独自OSの開発という挑戦

AndoridやWindowsなど、システムは既存のものを利用するのが当たり前ですし、その方がユーザー、開発者にとっても使い始めのハードル、開発のハードルを下げることができるので、コスト的にも都合が良いものです。そんななかで、制裁という外からの圧力によってではありますが、一部メガテックのプラットフォームに乗っかるのが普通になった現代の環境で、まったく独自のモバイルエコシステムが生まれようとしているのはすごい挑戦であることは間違いありません。

背景も含めて、日本にHarmonyOS Next、並びにOSを搭載したデバイスがやってくるかは未知数ですが、その進化の行方は見守っていきたいと思います。中国国内でガラパゴス化したOSが、良い製品に仕上がっていくかはまた別の話ではありますが…。もしかすると AndroidがHarmonyOS Nextの良い機能を真似て実装した…なんて未来もあるのかもしれません。

Source: HUAWEI, GSMArena, 9to5Google, Reuters

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