資生堂、1―3月期営業損益は黒字転換 米関税影響は最大70億円と試算

 5月12日、資生堂は2025年1―3月期(国際会計基準)の営業損益が72億円の黒字(前年同期は87億円の赤字)と黒字転換したと発表した。写真は第3回中国国際消費財博覧会における資生堂のブース。2023年4月、海南省海口市で撮影(2025年 ロイター/Casey Hall)

[東京 12日 ロイター] - 資生堂(4911.T), opens new tabは12日、2025年1―3月期(国際会計基準)の営業損益が72億円の黒字(前年同期は87億円の赤字)と黒字転換したと発表した。通期見通しは据え置いた。米関税は下方リスクと認識し、一定の前提を置き、コア営業利益に与える影響を年間で最大70億円のマイナスと試算した。

1―3月期の売上高は想定を下回ったものの、構造改革効果により利益を確保したという。1―3月期のコスト削減効果は70億円で計画通り進捗、年間200億円超を計画する。懸案となっている中国市場の消費は低迷が続いているほか、免税売り上げも中国人旅行者の消費が停滞している。ただ、市場低迷は前年下期から始まっていたこともあり、前年比では下期からは成長に転じるとの見通しを示した。

今後の成長市場としては米州とアジアパシフィックを挙げ、米州では保有する既存ブランドに成長余地があるとした。

米関税の影響については、原材料の輸入コスト上昇、米国で生産した商品の中国や免税店などでの輸入コスト上昇などのマイナス要因と対策効果をネットし、年間最大70億円のマイナスと試算した。ここには、化粧品市場全体の減退の可能性や為替変動などの間接影響は加味していない。

藤原憲太郎社長は会見で「すでに米国の原材料の地場調達先への変更や生産地の見直しを進めてきている。今後取り組みを加速させ、リスクの極小化を図る」と述べた。また、在庫の積み増しや物流フローの変更、卸売価格の引き上げ、固定費削減の上乗せなど追加対策を講じていく考えを示した。

関税によるコスト上昇の価格転嫁については、売上減やシェア低下のリスクもあり「慎重に検討を進めている」とした。

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab

関連記事: