「iPodのような音楽プレーヤー」が欲しい!今でも入手できる携帯音楽プレーヤー3選(スマホライフPLUS)
誰かとの連絡や写真撮影、動画視聴などのエンタメまで、すべてメイン使いのスマホひとつで済ませるという方も少なくないでしょう。特に音楽鑑賞についてはストリーミングサービスが主流となり、いつでもどこでも、数千万曲という膨大なライブラリにアクセスできるのが当たり前になりました。 【画像でわかる】MD(ミニディスク)は時代遅れじゃなかった?再評価される“最強の音楽メディア” 一方で、「サブスクにない音楽を聴きたい」「音楽データが膨大なので専用のプレイヤーがほしい」という方もいるでしょう。しかし、すでにiPodは生産終了済み。「音楽プレイヤー」と聞いてすぐに機種が思い浮かぶ人は少ないかもしれません。 そこで今回は今でも入手できる携帯音楽プレーヤー3選をご紹介します。
iPodが単なる“流行のガジェット”ではなかったことは、生産終了後も多くの人々の記憶に残っている点から明らかです。iPodは、音楽の聴き方、所有の仕方、そして音楽産業そのもののあり方を根底から覆した革命的な製品でした。 その歴史のはじまりは、2001年10月23日です。 2000年代初頭、ポータブル音楽の主役はまだCDプレーヤーやMD(ミニディスク)プレーヤーでした。MP3というデジタル音声形式はすでに存在し、いくつかのMP3プレーヤーも市場に出ていましたが、その多くは数十曲しか保存できないフラッシュメモリ型か、大きくて不格好なハードディスク型でした。 音楽業界全体も大きな岐路に立たされていました。Napsterに代表されるファイル共有ソフトの登場により、違法なデジタルコピーが蔓延し、CDの売上は急落。 このような混沌とした状況のなか、ジョブズは「音楽ライブラリを丸ごとポケットに入れて持ち運ぶ」という、シンプルかつ大胆なビジョンを掲げたのです。 ■iTunesの登場 iPodの成功要因にはデザインや操作性など複数の点が挙げられますが、その成功は、ハードウェア単体では成し得ないものであったことも事実です。その心臓部には、「iTunes」という強力なソフトウェアの存在がありました。iPodは「ハードウェア」と「ソフトウェア」が一体となって初めて完成する、完璧なエコシステムの先駆的な成功例と言えます。 手持ちのCDから曲を取り込んだり、iTunes Music Storeから1曲150円という価格設定で楽曲を購入したり。そうしてプレイリストを作成し、それらをiPodに転送する。この一連の流れが、驚くほどシームレスに、そして簡単に行えました。 この「同期」という概念は、iPodによって一般に広く浸透しました。iPodという再生デバイスと、iTunesという便利な管理・購入プラットフォームが手を組んだことで、Appleはデジタル音楽市場における揺るぎない地位を確立したのです。 ■音楽文化とライフスタイルへの影響 iTunesの「プレイリスト」機能とiPodの「シャッフル」機能は、音楽の消費スタイルを「アルバム単位」から「曲単位」へとシフトさせました。人々はアーティストが意図した曲順に縛られることなく、自分の気分やシチュエーションに合わせて自由に曲を組み合わせ、自分だけのサウンドトラックを作る楽しみを発見しました。これは、音楽のパーソナライズ化を大きく推し進める原動力となりました。 また、iPodに付属していた「白いイヤホン」は、単なる付属品以上の意味を持つようになります。街中で白いイヤホンをしている人を見かければ、その人がiPodユーザーであることが一目で分かるようになり、新しいテクノロジーを使いこなす洗練された人物であるという、一種のステータスシンボルともなりました。 しかし、iPodの最大のライバルは、皮肉にもApple自身の製品から生まれました。2007年に登場したiPhoneは、iPodが持つすべての音楽再生機能に加え、電話、インターネットブラウザ、カメラを統合した革命的なデバイスでした。「最高のiPodは、電話でもある」とジョブズが語ったように、多くの人々にとって、もはや音楽専用機を持ち歩く必要はなくなったのです。 iPodの役割は徐々にiPhoneに受け継がれ、最後のiPod classic(160GB)は2014年に販売終了となりました。