米国債、月間リターンが今年初のマイナスへ-財政懸念で逆風強まる

Alice Gledhill、Sujata Rao

  • ブルームバーグの米国債指数、5月は1.2%余りのマイナス
  • 「10年債利回りの5%到達がなお目標」-ステート・ストリート

米国債は月間ベースのリターンが今年初のマイナスとなりそうだ。関税を巡る不確実性の再燃や政府債務拡大への懸念が背景にある。

  ブルームバーグの米国債指数は5月に1.2%余りのマイナス。全ての年限が圧力を受けた。30年債利回りは3カ月連続で上昇し、2023年以来最長の上昇局面となった。2年債と10年債の利回りも今年初めて月間で上昇した。

  トランプ米政権の予測困難な政策が投資家の信頼感を揺るがし、米国債市場への向かい風が強まっている。トランプ氏が大型税制・歳出法案を推進しており、米財政赤字への懸念が再燃した。

  ステート・ストリート・グローバル・マーケッツの欧州・中東・アフリカ(EMEA)マクロ戦略責任者、ティモシー・グラフ氏は「債券市場に歪み(ゆがみ)があるとは思わないが、財政赤字を織り込む必要はある」と指摘。「10年債利回りが5%に達することをなお目標としてみている」と述べた。

  30日の米国債相場は小幅上昇。中国が関税を巡る米国との「合意に違反した」とトランプ氏が主張し、米中間の緊張が再び高まったことが背景にある。

関連記事:トランプ大統領、中国が米国との合意に「完全に」違反したと主張

  この日発表された4月の米国の財輸入は過去最大の落ち込みとなったほか、4月の米個人消費支出(PCE)統計では支出の伸びが減速。インフレは落ち着いており、経済の減速傾向と一致する内容となった。短期金融市場では12月までの米利下げ幅を約50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と織り込んでいる。

原題:US Treasuries Set for First Monthly Loss of 2025 on Deficit Woes(抜粋)

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE

関連記事: