トランプの息子2人、アメリカン・ビットコイン株上場で持ち分評価額15億ドルに（あたらしい経済）

米大統領ドナルド・トランプ（Donald Trump）氏の長男と次男が関わるビットコインマイニング企業がナスダック（Nasdaq）で9月3日に上場初日を迎え、株価が一時2倍超まで上昇した。これにより、同社における両氏の持ち分評価額は15億ドル（約2,223億円）を大きく上回った。トランプ一家は暗号資産事業への関与を拡大している。 今回上場したビットコイン採掘企業アメリカン・ビットコイン（American Bitcoin Corp）の株価は初日の取引で一時14.52ドル（約2,152円）まで上昇し、その後は上げ幅を縮めたものの最終的に8.04ドル（約1,192円）となり16.5％高で取引を終えた。 アメリカン・ビットコインのエグゼクティブ・チェアマンであるアッシャー・ジェヌート（Asher Genoot）氏は以前のインタビューで、同社の約20％の株式をエリック・トランプ（Eric Trump）氏とドナルド・トランプ・ジュニア（Donald Trump Jr.）氏が保有していると述べていた。 同社が9月2日付で証券取引所に提出した書類で公表された発行済株式数は9億860万株。これに基づき9月3日の終値で計算すると、両氏の持ち分評価額は15億ドル（約2,223億円）となる。上場初日に付けた最高値では、評価額は26億ドル（約3,853億円）に達した。 暗号資産分野の事業は、これまで不動産開発やゴルフ場運営に注力してきたトランプ・オーガニゼーション（The Trump Organization）にとって、成長の牽引役かつ多額の利益創出源となりつつある。 「クリプト（暗号資産・ブロックチェーン分野の総称）は爆発的に広がっている」とエリック・トランプ氏は9月3日のインタビューでこう述べ、「いま自分の仕事の少なくとも50％はクリプト分野だと言える」と語った。 一方で、トランプ一家の暗号資産事業参入は、民主党系議員や政府の倫理監視団体から利益相反の批判を受けている。批判者らは、大統領が規制や執行を緩和する一方で、親族が暗号資産から利益を得ていると指摘している。 次男のエリック・トランプ氏は9月3日、こうした批判を「ばかげている」と一蹴した。「父はこの事業とは全く関係ない。父は国家を運営しており、いかなる形でも我々のビジネスには関与していない」と述べた。 アメリカン・ビットコインの共同創業者兼最高戦略責任者（CSO）の肩書を持つエリック・トランプ氏は、自身の役割を広報担当のようなものだと説明する。 同氏は「クリプトは長らく非常に悪いイメージを持たれていた。メッセージの伝え方に苦労してきた」とし、「この12〜18か月で、私はクリプトの優れたスポークスパーソンの一人になれたと思う。米国だけでなく世界でも、良いメッセージを与えられた」と語った。 ドナルド・トランプ米大統領は、「銀行システムの改善や米ドルの優位性の拡大につながる」として、暗号資産を支持し「クリプト大統領」になると公言している。 トランプ一家の暗号資産への関心が強まる中、エリック・トランプは今年、ドバイ、香港、東京など世界各地を訪問し、暗号資産業界への支援を呼びかけている。 トランプ一家はこの1年で、アメリカン・ビットコインからワールド・リバティ・ファイナンシャル（World Liberty Financial）まで、さらには1月の大統領就任前にトランプ氏本人とメラニア夫人が立ち上げたミームコインに至るまで、一連のクリプト事業を開始してきた。 とりわけワールド・リバティ・ファイナンシャルは、9月1日にデジタルトークン「WLFI」をローンチ。昨年の立ち上げ以降の累計で、一家にもたらした収益は5億ドル（約741億円）に上ると、ロイターは推計している。 またトランプ・メディア＆テクノロジー・グループ（Trump Media & Technology Group）とクリプトドットコム（Crypto.com）は8月、ブランクチェック企業（特別買収目的会社：SPAC）と提携し、デジタル資産「CRO」の取得を財務運用（トレジャリー）型で進める新事業を立ち上げることで合意した。 エネルギーインフラ企業でビットコインマイニング事業にも関与するハット8（Hut 8 Corp.）は、アメリカン・ビットコインの約80％を保有している。 アメリカン・ビットコインは9月3日の取引所提出書類で、21億ドル（約3,112億円）相当の新株を売り出し、その資金でビットコインの購入または採掘機器の取得に充てる計画だと明らかにしていた。 ※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。 Trump’s oldest sons’ American Bitcoin stake worth $1.5 billion in stock debut （Reporting by Milana Vinn and Koh Gui Qing; additional reporting by Summer Zhen in Hong Kong; Editing by Lincoln Feast.）