ユーロ圏成長率、米関税の影響は想定以上か ECB警戒=関係筋

 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのオッリ・レーン・フィンランド中銀総裁は9日、3月以降に下振れリスクが顕在化しているため、4月の理事会で利下げを支持する根拠が強まっていると述べた。2024年7月撮影(2025年 ロイター/Jana Rodenbusch)

[フランクフルト 9日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は、米関税の影響でユーロ圏の経済成長率が当初想定よりも大幅に低下し、混乱が短期的にインフレ率を引き下げる可能性もあると考えていることが分かった。関係筋4人がロイターに明らかにした。

ECBは先月、貿易戦争によってユーロ圏の経済成長率は最初の1年で0.5%ポイント低下し、欧州連合(EU)が報復措置を取れば物価は一時的に同程度上昇すると予測していた。

しかし、その後トランプ米大統領が発表した実際の関税は試算モデルよりもはるかに有害で、17日の理事会で議論するためスタッフは新たな数字を出すよう指示されたという。

関係筋によると、政策担当者による非公式な協議は早ければ今週、ユーログループ会合に合わせてワルシャワで開始される可能性がある。

関係筋の1人は、不確実性の増大と信頼感への打撃もあるため、影響は1%ポイントを超える可能性があると述べた。

ECBの報道官はコメントを避けた。

関係筋はこうした経済活動の低迷について、物価上昇の足かせとなる可能性があると指摘。しかし、世界貿易の分断化が進めば、構造的にインフレ率がさらに上昇する可能性があるとの見方もある。

一部の関係筋は、インフレの鈍化や国際金融市場の混乱で来週の利下げの論拠が強まると指摘した。市場は来週の利下げを完全に織り込んでいる。

関係筋によると、市場は混乱しているものの、金融政策の伝達機能は損なわれていないため、流動性や信用フローの改善を促す措置は協議されていない。

また、ECBの債券買い入れに関する討議を再開することも協議されていない。ECBは現在、バランスシートを段階的に縮小し、金融システムから流動性を吸収している。関係筋は、こうした政策が依然として適切であり、今後も継続されると述べた。

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