FRB、関税回避なら利下げ可能 米経済は健全=シカゴ連銀総裁

米シカゴ地区連銀のグールズビー総裁は29日、トランプ米政権が掲げる大規模関税措置の発動が貿易協定などを通して回避されれば、米経済の底堅さとインフレ動向を踏まえ、米連邦準備理事会(FRB)は利下げを行う可能性が高いとの見解を示した。4月撮影(2025年 ロイター/Brendan McDermid)

[29日 ロイター] - 米シカゴ地区連銀のグールズビー総裁は29日、トランプ米政権が掲げる大規模関税措置の発動が貿易協定などを通して回避されれば、米経済の底堅さとインフレ動向を踏まえ、米連邦準備理事会(FRB)は利下げを行う可能性が高いとの見解を示した。

グールズビー総裁はマキナック政策会議で、関税措置が経済に及ぼす影響を健康な腹筋の上にある脂肪層に例え、「(脂肪層の)下にあるものを見るには、上にあるものを全て取り除かなければならない」とし、「経済についても同じことが言えると感じている。関税という脂肪層を取り除ければ、その下には素晴らしい腹筋がある」と述べた。

米国際貿易裁判所は28日、トランプ大統領が掲げる関税措置について、輸入品に全面的に課税することは大統領の権限を逸脱しているとして、10日以内の差し止めを命じた。

グールズビー氏は国際貿易裁判所の差し止め命令には直接言及しなかったものの、トランプ大統領が大規模関税措置を発表した4月2日までは米国の労働市場は安定しており、インフレ率はFRBが目標とする2%に向かっていたと指摘。現時点では、関税を巡る不確実性を背景に、企業は通商政策が明確になるのを待っている状態にあると述べた。

さらに、グールズビー総裁は、米企業の足かせとなっている不確実性は解消されない公算が大きいとの認識を示した。同政権が関税賦課に向けた代替策を見つける可能性があることを理由とした。

グールズビー氏はWJRラジオのインタビューで「一貫した政策を期待できなければ、人々は行動を起こさなくなる」と企業の慎重姿勢を指摘。

「裁判が『このやり方ができないのなら、別のやり方で関税を導入できる』という不確実性の延長につながるのなら、むしろマイナスの結果になるだろう」と懸念を示した。

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