7採用のフリゲート艦設計作業を開始、もがみ型の設計も参考
台湾メディアの上報は2026年4月「台湾海軍は次期フリゲート艦計画(6,000トン級)について日本の改良もがみ型護衛艦に照準を合わせている」と報じていたが、AN/SPY-7や垂直発射装置を採用する設計作業が正式に動き出し、もがみ型で採用されたステルス設計、デジタル化、省力化なども参考にするらしい。
参考:神盾雷達與垂發只是標配 海軍下一代作戰艦 117年開工大解密
台湾国防部は2026年1月末に海軍向けの装備開発・調達における重点分野や発注に関する文書(民國114年度下半年列管軍品清單)を発表し、国営メディアの中央通信社も2月「この文書の中で特に注目すべきは潜水艦救助艦×1隻、玉山級揚陸艦×1隻、高速戦闘支援艦×1隻、軽フリゲート艦×10隻、救難艦×2隻の調達に計3,156億台湾ドル=約1.5兆円を投じる点だ」と、USNI Newsも「台湾は2028年から2040年の12年間で防空戦専用と対潜戦専用の軽フリゲート艦(2,500トン~3,500トン)を各5隻ずつ建造する」「主要な造船計画に予定されている99億ドルの投資のうち78億ドルが軽フリゲート艦調達に投じられる」と報じた。
出典:總統府
台湾海軍は元々、震海計画=国産レーダーを採用した4,500トン級フリゲート艦の建造を計画していたが、中科院が開発した国産AESAレーダーは性能要件を満たすことが出来ても重量が非常に重く、このレーダーアレイを船体マストの高い位置に4面も設置すれば4,500トンの船体では重心の不安定化=トップヘビーを招く恐れがあり、最終的に震海計画を「軽フリゲート艦計画」と「次期フリゲート艦計画」に分割し、2026年1月末に発表した軽フリゲート艦はGibbs&Coxの設計をベースにしているらしい。
台湾メディアの上報は2026年4月、次期フリゲート艦計画(6,000トン級)について「台湾海軍が日本の改良もがみ型護衛艦に照準を合わせている」「日本は台湾に対する護衛艦の設計図輸出規制を解除した」と言及し、以下のように報じた。
出典:海上自衛隊
“台湾海軍は次期6,000トン級戦闘艦の建造に向けた事前作業として2025年10月末「下一代作戰艦設計評估專業服務=次期戦闘艦の設計評価作業」の公募を発表し、プラットフォームの設計基準策定を進めている。国内で艦艇の設計能力を有する船舶・海洋産業研究開発センター(SOIC)、台湾国際造船(CSBC)、中信造船(JSSC)も米英の造艦設計企業との接触を開始している”
“関係者によると日本は安全保障分野における台湾との連携強化に伴い「護衛艦の設計図輸出規制」を解除したという。既に台湾海軍は次期6,000トン級戦闘艦の要件を満たせる護衛艦について評価を進めている。この取り組みの狙いは現役の護衛艦設計図を取得することで、実用的で成熟した技術によって建造リスクを低減し、建造スケジュールを短縮し、海軍の戦力整備ニーズを素早く満たすことにある。さらに護衛艦の設計は米国製システムとの互換性が高いことも利点だ”
出典:海上自衛隊
“次期6,000トン級戦闘艦の基本構想は「ネットワーク化」と「高度な自動化」であり、乗員数は100名体制が理想的とされている。そのためイージス戦闘システムを搭載する1万トンクラスのこんごう型、あたご型、まや型は評価の対象外で、排水量と基本性能の面であきづき型やあさひ型は海軍の要件に合致するものの、ステルス性能と高度な自動化という点で改良もがみ型の方が海軍のニーズに適している。関係者は改良もがみ型の設計図取得のみを目指すだけでなく「同艦に採用されている自動化技術の導入」も重点項目となっている。ただし主要な武器システムに関しては中科院が開発した国産を主体とする方針だ”
“一方で海軍の艦艇建造に最も豊富な経験をもつ台湾国際造船はBAEシステムズと「水上艦艇のシステム統合」や「無人海洋ソリューションにおける潜在的な事業協力」を共同で模索する覚書を締結した。これは次期6,000トン級戦闘艦を見据えた布石だと解釈され、台湾国際造船はBAEの協力で英海軍の艦艇設計図やシステム導入を狙っている。英企業は国産潜水艦の建造計画にも主導的な立場で関わっており、これらのコネクションや知見は両者の協力関係を後押しするものになるだろう”
出典:Ian Dick/CC BY 2.0
“軽フリゲート艦を受注している中信造船が次期6,000トン級戦闘艦に参画してくるなら、引き続きGibbs&Coxとの協力を推進する可能性が高い。海軍は次期6,000トン級戦闘艦の契約設計を2026年下半期に開始する予定で、この入札条件が公告されれば次期戦闘艦としてどのモデルを選択しようとしているのかが明らかになるだろう”
要するに「台湾海軍は改良もがみ型護衛艦を高く評価し、船舶・海洋産業研究開発センターが次期6,000トン級戦闘艦の要件を満たすかどうか改良もがみ型護衛艦を評価中」「台湾国際造船はBAEシステムズと協力して26型フリゲートやレーダーを台湾海軍に提案する見込み」「中信造船は軽フリゲート艦建造で協力しているGibbs&Coxとの関係を活かして米国設計を持ち込んでくる」となり、艦艇の設計出身国的には日本、英国、米国の争いになる格好だ。
出典:Navantia
台湾メディアの自由時報は10月31日「船舶・海洋産業研究開発センターが次期フリゲート艦の設計契約を1億4,160万台湾ドルで落札した」「海軍は次期フリゲート艦にAN/SPY-7と垂直発射装置64セルの搭載、指向性エネルギー兵器を2基搭載するためのスペースと発電能力を要求した」「さらに海軍はもがみ型フリゲートに関心を示している」「もがみ型や他国の同等艦からデジタル化された戦闘指揮所や最高レベルの自動損傷制御システムを導入する計画で、次期フリゲート艦は満載排水量7,000トンの巨艦にも関わらず人員は約100人程度で済む」と報じている。
自由時報の報道を要約すると次期フリゲート艦の設計は船舶・海洋産業研究開発センターで、米国製のAN/SPY-7、米国製のMK41もしくは国産VLS、台湾製のミサイル、もがみ型で採用された船体のステルス設計などを採用し、自由時報は「台湾版イージス駆逐艦(正式名称ではない)」と呼んでおり、この詳細は2028年度予算の中で明らかになる予定らしい。
出典:Lockheed Martin
つまり改良もがみ型護衛艦をそのまま持ってくるのではなく「船体のステルス設計、デジタル化、省力化といった部分をベンチマーキングする」という意味で、AN/SPY-7も日本がイージス・システム搭載艦に採用するAN/SPY-7(V)1ではなく艦艇搭載向けにアンテナサイズを縮小したAN/SPY-7(V)2である可能性が高く、各要素を統合した台湾海軍の次期フリゲート艦は既存設計をベースにしたものではなく台湾独自の設計になるのだろう。
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※アイキャッチ画像の出典:防衛省 海上自衛隊