「良浜」「結浜」「彩浜」「楓浜」元気でね…30年で17頭育成したアドベンチャーワールドの挑戦
和歌山県白浜町のテーマパーク「アドベンチャーワールド(AW)」で初めて生まれたジャイアントパンダの「 良浜(ラウヒン) 」(メス、24歳)と、いずれも良浜が産んだメスの「 結浜(ユイヒン) 」(8歳)、「 彩浜(サイヒン) 」(6歳)、「 楓浜(フウヒン) 」(4歳)が28日、中国へと旅立つ。繁殖研究が始まって約30年、AWからパンダがいなくなる。返還を前に、この間の出来事と愛らしい4頭の写真を紹介する。
良浜(右)とじゃれ合う楓浜(2022年4月11日)AWとパンダのつながりは、保護・繁殖に取り組む中国・四川省の「成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地」が設立された1987年に始まった。
誕生日を祝う催しには多くのファンが訪れた。頭の上のとんがりがチャームポイントの結浜(手前)は1歳の誕生日、数字の「1」をかたどった氷などをプレゼントされた(奥は良浜。2017年9月18日、和歌山県白浜町で)その頃、飼育下のパンダは世界で100頭前後だった。繁殖だけでなく、無事に成長させる育成も困難な時代だった。AWは寄付活動に参加。88年9月には中国からパンダ2頭が来園した。期間限定の展示で、翌89年1月に帰国した。
10頭を産み育てた良浜(左)は子育て上手なお母さん。末っ子の楓浜は大きな背中に抱きつき、甘えていた(2021年5月9日、和歌山県白浜町で)共同繁殖研究が始まったのは94年だった。繁殖のため動物を貸し借りする「ブリーディングローン」という制度を世界で初めて活用した取り組みだった。
94年9月に最初に来園したのは「永明」(オス)と「蓉浜」(メス)だった。蓉浜は約3年後に死んだが、2000年7月、新たに「梅梅」(メス)がやってきた。
中国で子を身ごもっていた梅梅は同年9月、良浜を産んだ。国内で12年ぶりの快挙だった。梅梅と良浜は、永明のパートナーとして多くの繁殖に成功。梅梅は6頭、良浜は10頭の子を産み育てた。
AWのパンダの育成は計17頭に上り、中国以外の施設では世界最多を誇る。パンダファミリーは「浜家」と呼ばれて親しまれた。
返還でパンダがいなくなるが、AWは「別れは、終わりではなく新たな始まり。再び新たなパンダファミリーを迎える準備を始める」としている。パンダにまた会いたいと思う。(古賀愛子)