月に向かうアルテミス2打ち上げ 響く轟音「興奮した!」
米航空宇宙局(NASA)によると、アルテミス2の4人の乗組員らが、打ち上げ後に宇宙船の各システムを点検したところ、トイレの故障ランプが点滅していると報告。地上の管制チームがデータを分析し、乗組員と協力して問題を解決したという。「トイレを正常な状態に復旧させることに成功した」としている。
米紙ニューヨーク・タイムズによると、今回の乗組員の一人、ビクター・グローバーさんは、NASAの宇宙飛行士の面接に臨んだ際、「パイロットの本当の役割は、トイレが正常に作動することを確認することだ」「もし修理が必要なら、私が配管工になって修理しますよ」と語ったという。そして、実際に国際宇宙ステーション(ISS)で、その作業の一部を担当した経験があるという。
今回、グローバーさんが修理したのかは明らかになっていない。
また、乗組員のジェレミー・ハンセンさんはカナダ宇宙庁のユーチューブで「この小さな宇宙船にドア付きのトイレがあるのは本当に幸運だ。任務中に、ほんの一瞬でも本当に一人きりになったような気分になれる唯一の場所だ」と語っていた。
橋の上に集まり、アルテミス2の打ち上げを見上げる人たち=2026年4月1日、フロリダ州タイタスビル、市野塊撮影人類が半世紀ぶりに月を目指す、米国主導の探査計画「アルテミス計画」で、米航空宇宙局(NASA)などの飛行士4人が乗る宇宙船「オリオン」が1日(日本時間2日)、米フロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げられた。計画の第2弾にあたる今回の「アルテミス2」では、約10日間かけて月を周回して地球に戻る。
宇宙船は、米東部時間1日午後6時35分(日本時間2日午前7時35分)ごろに、NASAの大型ロケット「SLS」に搭載されて打ち上げられた。元々2月の打ち上げを予定していたが、燃料の水素漏れなどが確認され、延期していた。打ち上げ後、役割を果たしたロケットのブースターなどが空中で捨てられていき、約3時間25分後に4人が乗ったオリオンが切り離され、月へと向かった。
打ち上げ地点である米フロリダ州ケネディ宇宙センター周辺には、多くの見物客が集まった。発射場所から約20キロの海岸沿いでは、まぶしい光と大量の白煙が見えると歓声が上がり、「ゴー!バリバリバリ!」と音が遅れて到達すると、さらに声は大きくなった。
米フロリダ州のケネディ宇宙センターから1日に打ち上げられた、アルテミス2ミッションのロケットを見上げる人たち=AP父親が航空宇宙会社で働き、アポロ計画の宇宙船に機材を納品したエンジニアだったというフロリダ州のブライアン・プラットさん(65)は「とても興奮した!」と声をはずませた。少年時代に見たアポロ計画に貢献した父を尊敬し、エンジニアになったが、自身は宇宙事業に携わることはできなかった。「今回の成功で、再び宇宙に目を向ける人が増えて、人々に役立つ科学的な発見につながって欲しい」と話した。
家族で来た同州のジェリーン・シェインネさん(8)も「音と煙がすごくて楽しかった」と笑顔を見せる。「いつか月に行ってみたい」と話した。
アルテミス計画の宇宙船「オリオン」が、NASAの大型ロケット「SLS」で打ち上げられた=日本時間4月2日午前7時35分ごろ、米フロリダ州のケネディ宇宙センター、NASAの中継映像から人類が半世紀ぶりに月を目指す米国主導の探査計画「アルテミス計画」は、米航空宇宙局(NASA)などの飛行士4人を乗せた宇宙船が、米東部時間1日午後6時24分(日本時間2日午前7時24分)に打ち上げられる。宇宙船は10日間かけて月を周回する予定。ミッション前日の3月31日、現地の期待は高まる一方だ。
今回の飛行計画「アルテミス2」は、NASAの飛行士3人とカナダ宇宙庁(CSA)の飛行士1人の計4人が、約10日間かけて月を周回し、再び地球に戻る。ミッション中は、宇宙船オリオンの生命維持機能や、航行・通信に関わるシステムの作動状況を確認する。6日目には月の裏側に回り、地球からの距離約40万キロメートルの地点を飛行。人類として史上最も遠い場所に到達する見込みだ。
アルテミス2の飛行経路31日、打ち上げ地点の米東部フロリダ州にあるNASAのケネディ宇宙センターに設置された電光掲示板のカウントダウンは、残り24時間を切った。同日の会見で、ジェフ・スポールディング上級テストディレクターは「現状は非常に順調」だと説明。気になる1日の天候は晴れの見込みで、風と局所的な雨雲に懸念があるものの、マーク・バーガー気象官は「(他の候補日の中で)最も有望な日」になるとの見解を示した。
打ち上げ地点が見える近くの海岸沿いには、すでにテントが立てられ、徹夜で場所取りを始める人も見られた。
キャンプ用の椅子を持ち込んで打ち上げを待つジン・ローデスさん=2026年3月31日、フロリダ州タイタスビル、市野塊撮影東部ノースカロライナ州から来たジン・ローデスさん(70)は、10代のころにテレビで見たアポロ11号の月面着陸が強く思い出に残る一人。いつか現地で見たいと思っていたが、アポロ計画は終了してかなわなかった。半世紀を経て再び月へ挑戦するアルテミス計画にひかれ、双眼鏡と、打ち上げの音を録音するためのレコーダーを持参。「明日はきっと大丈夫だ。最高の日になるぞ」と声を弾ませた。
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日付は米東部時間
米フロリダ州のケネディ宇宙センターの発射台に立つSLSロケットとオリオン宇宙船©NASA/Bill Ingall