雨宮京子氏【思惑錯綜、3月期末に向けた相場展望を読む】(1) <相場観特集>

雨宮京子氏(雨宮総研 代表)
―為替も円高警戒で不安定、物色の矛先はどこに向かう?―

 週明け3日の東京株式市場は終始買い優勢。前週末の米国株市場がハイテク株中心に大きく買い戻され、これに追随する形で日経平均株価はリバウンドに転じた。ただ、米国とウクライナとの首脳会談決裂で引き続き地政学リスクがくすぶるなか、ここからは上値の重さも意識されやすい状況にある。3月期末に向けて全体相場は上昇トレンドを取り戻せるのかどうか。また、足もと不安定な為替動向も企業の株価に影響を与えそうであり、投資家の関心が高い。今回は当面の株式市場の動向と個別株について雨宮総研の雨宮京子氏に、為替動向について外為オンラインの佐藤正和氏にそれぞれ意見を聞いた。

●「3万7000円台は強気対処で報われるゾーン」 雨宮京子氏(雨宮総研 代表)  東京市場は目先リスク回避ムードが高まり、前週末に日経平均は一時3万7000円台を割り込むなど波乱の展開となった。昨年秋から3万8000円から4万円のボックス圏での往来を続けてきたが、そのレンジを下回ったことで投資家の不安心理を掻き立てている。3月は国内機関投資家の期末に向けた季節的要因から動きにくいうえ、下げはトランプ関税に伴うネガティブな思惑が影響しやすい。米国の関税政策の方向性が定まるまでは相場も動きにくいが、それでも3万7000円台はやや行き過ぎに売られている水準と判断される。  3月期末まで向こう1ヵ月の日経平均のレンジは下限ラインを3万6500円としておきたい。ボラティリティの高い相場であり、3万7000円台をオーバーシュートして下回る場面は今後もありそうだが、そこは基本的に買い下がるチャンスと考えてよいだろう。一方、上値は3万9800円どころとみる。4万円に微妙に届かない水準に設定したのは、中期的にボックス相場の流れがまだ続くと考えているためだ。企業のEPSが上昇傾向にあることが、全体指数の出遅れ修正余地を示唆するという意見も多い。しかしながら、足もとの円高基調は終着点にはまだ遠いとみており、もし円高が進むのであればEPSの伸びを鈍化させる要素として無視はできない。日経平均が4万円大台ラインを通過点にどんどん上値を追うようなイメージは湧かない。

 個別株ではまず、ラクーンホールディングス <3031> [東証P]。業績予想の上方修正や増配を発表し人気化しているが、昨年来高値更新も900円台でのもみ合いは追撃して妙味がありそうだ。また空き家対策関連では、商い薄の銘柄ながら業績は売上高・利益ともに好調なブロードエンタープライズ <4415> [東証G]をマークしたい。地銀セクターでは京都銀行を特定子会社とする京都フィナンシャルグループ <5844> [東証P]が面白い存在。金利上昇メリットはもとより、京都はハイテク産業の集積地でインバウンド特需の恩恵を受けやすい。このほか、底値買い妙味の半導体関連としてはイビデン <4062> [東証P]、防衛宇宙関連ではIHI <7013> [東証P]に強さを感じる。また、好業績で知的財産(IP)関連でもあるタカラトミー <7867> [東証P]も継続して注目しておきたい。

(聞き手・中村潤一) <プロフィール>(あめみや・きょうこ) 雨宮総研 代表。元カリスマ証券レディとして、日興証券時代は全国トップの営業実績を持つ。ラジオ短波(現ラジオNIKKEI)、長野FM放送アナウンサー、『週刊エコノミスト』(毎日新聞社)記者、日経CNBCキャスター、テレビ東京マーケットレポーター、ストックボイスキャスター、SBI証券投資情報部などを経て、日経CNBC解説者に。 株探ニュース

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