NY市場サマリー(16日)ドル155円台に下落、米国債利回り低下 株小反落
<為替> ドルが対円で下落し、約1カ月ぶりの安値に沈んだ。この日発表された一連の米経済指標や、日銀の利上げ期待の高まりが背景。
日銀の植田総裁と氷見野副総裁の最近の発言から、少なくとも来週の政策会合で利上げが議論されるとの見方が強まっている。市場は50ベーシスポイント(bp)の利上げの確率は約79%とみている。
こうした思惑から、ドル/円は0.81%安の155.2円と、12月19日以来の安値を付けた。
インベスコのチーフグローバル市場ストラテジスト、クリスティーナ・フーパー氏は、米ドルは複雑な値動きを見せると予想していたと指摘。「ドルは多くの他通貨に対しては強くなる一方で、円に対しては弱含みとなるだろう」と述べた。
ユーロ/ドルは0.1%高の1.03ドルとなった。
市場は、連邦準備理事会(FRB)の年内の利下げ見通しを見極めるため、一連の経済指標を消化している。
主要通貨に対するドル指数は0.05%安の108.96となった。
英ポンドは対ドルで0.13%安の1.2228ドルとなった。取引序盤でポンドは対円でも急落した。
中国人民元は対ドルで1ドル=7.3316元。
NY外為市場:
同理事の発言後、米金利先物市場が織り込む年内の利下げ幅は計約43bpとなった。15日終盤時点では約37bpだった。市場はまた、次回の利下げ実施が6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)になる確率を69%とみている。ウォラー氏の発言前、次回利下げは年内後半と予想されていた。
午後の取引で、指標となる10年債利回りは6.1bp低下の4.592%。30年債利回りは4.7bp低下の4.831。
2年債利回りは終盤で3.4bp低下の4.23%となった。
PGIMフィクスト・インカムのチーフ投資ストラテジスト兼グローバル債券責任者ロバート・ティップ氏は、FRBは景気拡大を確実に継続させるために利下げを望むだろうと指摘。ただ「利下げを行っても、ここ数カ月で見られたように利回り曲線は正常化しているため、長期金利が大きく低下するとは思わない」との見方を示した。
米金融・債券市場:
<株式> 小反落した。企業決算や経済統計に注目が集まっている。
前日の米株式市場は、2024年12月の消費者物価指数(CPI)がインフレ懸念をやや和らげる内容となったことを受け、主要株価指数が11月6日以来の大幅な上げを記録していた。
この日発表された経済指標は個人消費や労働市場の底堅さを示した。
ピトケアンのチーフ・グローバル・ストラテジスト、リック・ピトケアン氏は「市場では昨日、安堵感が広がった。1月についてはまだ不明だが、少なくとも最終的な見通しは若干明るくなった。経済指標や企業業績を確認して見極めることができる」と述べた。
「銀行の収益は好調で、それが指標となる。利回り曲線がスティープ化しており、銀行からは好調な利益が出ている。銀行は将来を見据え、下方修正はしていない。市場はそれに多少勇気づけられた」と語った。
米国株式市場:
<金先物> FRBによる年内の利下げ期待を背景に買いの流れが加速し、3日続伸した。2月物の清算値(終値に相当)は前日比33.10ドル(1.22%)高の1オンス=2750.90ドルと、中心限月の清算値としては昨年12月中旬以来、約1カ月ぶりの高値を付けた。
NY貴金属:
<米原油先物> イエメンの親イラン武装組織フーシ派が紅海での船舶への攻撃を停止するとの観測が高まり、反落した。米国産標準油種WTIの中心限月2月物は前日清算値(終値に相当)比1.36ドル(1.70%)安の1バレル=78.68ドルだった。3月物は0.86ドル安の77.85ドル。
海上保安当局者はロイターに対し、イスラエルとイスラム組織ハマスが停戦入りで合意したことを受けて、フーシ派が紅海における船舶への攻撃を停止すると予想していると明らかにした。同派による軍事攻撃により、海運各社は船舶を紅海から南アフリカの喜望峰回りに変更することを余儀なくされていた。市場関係者の間からは、イスラエルとハマス間での停戦締結をきっかけに、中東の供給混乱を巡る懸念から積み上がっていたリスクプレミアムが剥がれ落ちる格好となったとの指摘が聞かれた。また前日には約5カ月ぶりに80ドル台を付けた反動から、利益確定の売りも出た。
NYMEXエネルギー:
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