【日本市況】債券上昇、日銀利上げ織り込む-米大統領就任控え株高い
20日の日本市場では債券が上昇(金利は低下)。日本銀行が今週の金融政策決定会合で利上げすることがほぼ織り込まれる中、次の利上げまで時間がかかる可能性を意識した買いが優勢だった。
トランプ次期米大統領の就任式を前に株式は反発。東証株価指数(TOPIX)は昨年12月27日以来の上昇率で終えた。円相場は実需の円買い・ドル売り観測で上昇した。
あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジストは、トランプ氏は就任演説で株価が下がるような話はしないとみており、「日銀は安心して利上げができるだろう」と述べた。演説後は金利が横ばいの中で株価が上がり、ドル買い材料となりやすいとの見方を示す。
金利スワップ市場では、日銀が23、24日に開く金融政策決定会合での利上げ織り込みが8割を超えている。東海東京インテリジェンス・ラボの平川昇二チーフグローバルストラテジストは、利上げが市場でほぼ織り込まれ、金融政策を巡る不透明感が後退したことは日本株にプラスと指摘した。
国内債券・株式・為替相場の動き- 長期国債先物3月物の終値は前営業日比7銭高の141円07銭
- 新発10年債利回りは1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低い1.19%
- 東証株価指数(TOPIX)の終値は1.2%高の2711.27
- 日経平均株価は1.2%高の3万8902円50銭
- 円相場は対ドルでニューヨーク終値比0.1%高の156円18銭-午後3時56分現在
債券
債券相場は上昇。日銀が今週の会合で政策金利を0.5%に25bp引き上げることがほぼ織り込まれる中、その次の利上げまでは相応の時間がかかるとの見方が出た。
SMBC日興証券の奥村任シニア金利ストラテジストは、日銀の0.75%への利上げ時期は政治、為替要因によって微妙に前後すると考えられると指摘し、「政治中立を保つ必要性があるという点で7月の参院選より前は難しく、早くても9月以降との見方が広がっていく」と予想した。
アクサ・インベストメント・マネージャーズの木村龍太郎債券ストラテジストは、日銀が今週利上げしても、0.75%への利上げまでの距離感が変わらないのであれば水準的に債券は買い優勢になると予想。声明文と経済・物価情勢の展望(展望リポート)、植田和男総裁の会見でのコミュニケーションが大事になると指摘した。
新発国債利回り(午後3時時点)
2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債 0.675% 0.850% 1.190% 1.895% 2.265% 2.710% 前週末比 -1.0bp -1.0bp -1.0bp -1.5bp -2.0bp -2.5bp株式
株式相場は反発。前週末の米ハイテク株高や日銀の利上げ期待を受けて、電気機器や輸送用機器、銀行など幅広い業種に買いが入った。
T&Dアセットマネジメントの酒井祐輔シニア・トレーダーは、日本株は先週の下げが大きかった反動で買われた上、米国の経済見通しに対する楽観論が広がっていることも追い風と指摘。今週の日銀利上げが見込まれていることは「銀行セクターにポジティブに効いている」と述べた。
為替
東京外国為替市場の円相場は一時1ドル=155円台後半に上昇。日本の輸出企業による円買い・ドル売りが優勢だった。
大和証券の石月幸雄シニア為替ストラテジストは、実需の円買いが相場を左右したようだと指摘。市場はトランプ氏の演説が大きな反応につながるものにはならず、日銀が今週利上げを実施することを織り込んでおり、「実際にその通りになるのではないか」と述べた。
この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。