防御率0.98今永昇太「メジャー殺しで低い故障リスク」の遅い速球…大谷翔平サイクル未遂だけでなく「じつは藤浪晋太郎と青柳晃洋がマイナーで好投」(Number Web)
今季4月1日から4月7日までの成績。カッコ内は投球数とストライク数。 〈今永昇太/カブス〉 2025年 3登2勝0敗18.1回7安1本6球10振 率0.98 4月4日パドレス戦7.1回4安1本0球4振 責1(91-68)〇 4日のパドレス戦の投球内容から分析しよう。 〈91球の成分分析〉 フォーシーム54球(59.3%) ストライク40球/74.1% 2被安打 平均球速145.3km/h 平均回転数2484rpm スプリッター22球(24.2%) ストライク16球/72.7% 1被安打 平均球速132.4km/h 平均回転数1285rpm スイーパー12球(13.2%) ストライク9球/75.0% 1被安打 平均球速128.9km/h 平均回転数2580rpm その他3球(カーブ2球、シンカー1球) 今永のフォーシームの平均球速は147.4km/h、昨年のMLB投手のフォーシームの平均球速は151.6km/hだから、はるかに遅い。ただ回転数は2500rpm近い。MLB平均回転数は2200〜300rpmだから、打者から見て今永のフォーシームは浮き上がって見え、数字よりも速く見えているはずだ。 先発投手のストライク率は65%あれば優秀とされるが、今永は遥かに高い74.1%と驚異的だ。終始ストライク先行で投げることで、圧倒的な優位に立っている。しかもフォーシーム、スプリッター、スイーパー、主要3球種ですべてストライク率は7割以上。どの球種でも追い込むことができる。
空振りはフォーシームで10個、スイーパーで3つ。ふつうは空振りが多いはずのスプリッターは、空振りナシ。50%の11球をバットに当てられているが、ほとんど当たり損ねで安打は1本だけ。今永のスプリッターは佐々木朗希や千賀滉大に比べて回転数が多く、変化量が小さい代わりにバットの芯をずらす球になっていると思われる。 奪三振はわずか4つ。打者はどんどん追い込まれる中、来る球に手を出して凡打の山を築いたわけだ。以下は今季のトータルの成績から、左右別の打者の成績。 右打者39打3安1本4球8振 率.077 左打者22打4安0本2球2振 率.182 本来苦手なはずの右打者にほとんど打たれていない。左右の打席の別なく、打者を料理し退けていることがわかる。さらにドジャース、ダイヤモンドバックス、パドレスとナ・リーグの強豪チームと当たって好投を続けているのも頼もしい。 MLBは昨年、近年の投手の高速化によってトミー・ジョン手術など、投手の肩肘の故障、手術のリスクが高まっているという報告を出した。 そんな中で今永は平均150km/h未満の「遅いフォーシーム」で快投を続けている。投手のフィジカルには個人差はあるが「故障のリスクが低い」見立てもあり、そのことも強みになるだろう。
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この1週間、活躍を見せたのは今永だけではない。他の日本人メジャーリーガーの成績を振り返ろう。 〈大谷翔平/ドジャース〉 2025年 12試45打14安4本5点2盗10球10振 率.311 OPS1.080 今週 6試合 24打8安2本3点0盗3球6振 4月1日ブレーブス戦 4打1安0本0点0盗0球0振 4月2日ブレーブス戦 5打3安1本1点0盗0球0振 4月4日フィリーズ戦 4打1安0本0点0盗0球1振 4月5日フィリーズ戦 3打0安0本0点0盗1球1振 4月6日フィリーズ戦 4打0安0本0点0盗1球3振 4月7日ナショナルズ戦4打3安1本2点0盗1球1振 2試合連続無安打から、トランプ大統領を表敬訪問した直後の7日ナショナルズ戦は内野安打、2ラン本塁打、フェン直三塁打とあわやサイクルヒットの大当たり。ただ大谷は例年、MLBトップクラスの190km/hを出しているが、今年はまだ最速で182km/h程度。打球角度も上がらず、バレルゾーンの打球が少ない。本調子ではないというべきか。それでも結果を残すのは恐るべきだが――1番打者だけに打点はソロ、ソロ、ソロ、2ランの本塁打による5打点だけ。このペースが続くと、打点王はかなり厳しそうだ。 〈鈴木誠也/カブス〉 2025年成績 13試52打13安4本12点1盗10球21振 率.250 OPS.884 今週 6試合22打7安3本9点0盗6球6振 4月1日アスレチックス戦 5打2安1本3点0盗0球1振 4月2日アスレチックス戦 5打3安2本5点0盗1球1振 4月4日パドレス戦 3打0安0本0点0盗1球1振 4月5日パドレス戦 3打0安0本0点0盗2球2振 4月6日パドレス戦 3打0安0本0点0盗2球1振 4月7日レンジャーズ戦3打2安0本1点0盗1球0振 早くも4本塁打。打球速度は大谷より速い最速185.1km/hを記録し、長打力を発揮しているが、三振数21はリーグ1、振り回しているという印象だ。パドレス戦では警戒されて3試合で5四球。無安打に終わったが、7日のレンジャーズ戦は2安打1四球と勝利に貢献。