「教授の一存で若手の将来抹殺」 止められなかった暴走、要因は

2024年に北海道大理学研究院化学部門の建物内に張られていたハラスメント防止を呼びかけるポスター。「黙認しません!」とある=提供写真

 北海道大理学研究院化学部門の教授会にあたる「講座委員会」が組織的にアカデミックハラスメント行為をしていたと認定された。

 この問題の背景には研究者の不安定な雇用環境や部門が採用している「講座制」の影響があり、他の大学にも共通した課題が横たわっている。

 2004年度の国立大の法人化以降、大学の基盤的経費となる運営費交付金の削減が続いている。文部科学省によると、全体では04年度に1兆2415億円だった運営費交付金は25年度は1兆784億円に減少。北大も例外ではなく04年度の448億円から25年度は388億円に減っている。

増える不安定ポスト

 基盤的経費が削減されれば、人員縮小を迫られる。研究者の安定雇用は難しく、全国的に無期雇用ポストは減り、任期付きの不安定なポストが増えた。

 北大で「教授会に組織的に孤立させられている」と訴えた複数の准教授は無期雇用だった。

 講座委は学生を配属しないなどの内部基準を決議し、「キャリアアップを支援する」などとして准教授らをたった一人で研究する環境に置いた。だが、関係者によると、教授陣の間では「1、2年で動くことを期待している」などと言葉を交わしていたという。

 一部の教員はこの対応を「准教授らは終身雇用。異動を前提に制度を組むのは一般企業における追い出し行為に相当する」などと批判。学生を含めたチームで研究を進めることが多い化学分野では、孤立した状況で限られたポストを獲得する競争を勝ち抜くことは難しい。

 <記事後半の内容> ・専門家「構造的な問題」と指摘 ・教授会の暴走は止められるのか ・労働問題に詳しい弁護士の見解は <関連記事>

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