投機筋のドルロングが拡大、2019年以来の水準に－トランプ氏就任控え

投機筋はトランプ次期米大統領の就任を控え、ドル一段高を見込むポジションを拡大した。

　　デリバティブ（金融派生商品）トレーダーは14日時点で、ドルロングのポジションを約346億ドル（約５兆4000億円）相当保有。前週から10億ドル近く増加し、2019年以来の高水準となった。17日に発表された米商品先物取引委員会（ＣＦＴＣ）のデータと、ブルームバーグの集計で明らかになった。

　　ＢＫアセット・マネジメントのマネジングディレクター、キャシー・リーン氏はトレーダーが「買いの機会を探っている」とデータ公表前に指摘。トランプ氏の公約が、「トレーダー全体の方向性に影響している」とコメントしていた。

　　トランプ氏が大統領選に勝利して以降、ドル高を見込むポジションが拡大するとともに、ドルの価値も上昇している。ブルームバーグ・ドル・スポット指数は選挙以降５％程度上昇。トランプ次期政権下での関税やインフレを促す政策を巡る見通しに加え、年内の米金融当局の利下げ観測後退が背景にある。

　　ただトランプ氏が大統領就任後の数週間に想定されたほど積極的な関税措置を打ち出さなかった場合、ポジション巻き戻しの可能性が高まる。

　　バンク・オブ・アメリカ（ＢｏｆＡ）のアダーシュ・シンハ氏とミハリス・ルサキス氏ら為替ストラテジストは、「ポジションは足元で最大のドルへの逆風とみられており、われわれも懸念している」と17日付の顧客向けリポートで指摘している。

原題：Traders Boost Bets on US Dollar Strength Ahead of Trump’s Return（抜粋）