米国株の強気相場が正念場、ハイテク決算に注目-AI開発の行方がカギ
今週の2日間で、年内の米株式相場の方向性が決まる可能性が高い。
29日と30日に、S&P500種株価指数の約4分の1を占める5社が決算を発表する。マイクロソフトとアルファベット、メタ・プラットフォームズ、アマゾン・ドット・コム、アップルだ。クラウドコンピューティングや電子商取引、電子機器、デジタル広告など多岐にわたる各社の事業内容に加え、人工知能(AI)開発の見通しに投資家の注目が集まっている。
AIへの支出は過去3年間の強気相場を支えてきたが、こうした投資がいつ収益につながるのか疑念が強まりつつあり、熱気が冷める可能性もある。
ウェルス・コンサルティング・グループ(運用資産50億ドル=約7600億円)のチーフ市場ストラテジスト、タリー・レジャー氏は、今週の動向次第で「この上昇が続くのか、一服するのかが決まる可能性がある」と述べた。
これまでのところ、決算シーズンは好調な滑り出しとなっている。既に決算を発表したS&P500構成企業の4分の1余りのうち、約85%がウォール街の予想を上回った。ブルームバーグ・インテリジェンスの集計データによれば、これは過去4年で最も高い比率だ。
こうした好決算は、米中貿易摩擦の再燃や銀行システムの信用リスクへの懸念を和らげている。S&P500種は10月上旬に週間ベースでおよそ5カ月ぶりの大幅安を記録した後、反発基調を強め、史上最高値を再び更新した。S&P500種の年初来15%上昇のうち約半分を、今週決算を発表する同5社にエヌビディアとテスラを加えた「マグニフィセント・セブン」が占めている。
ただし上昇基調を維持するには、数百億ドル規模のコンピューティングインフラ投資が今後も継続し、最終的に成果をもたらすとの確証を示すことが、巨大ハイテク各社には求められている。
マイクロソフトとアルファベット、アマゾン、メタの4社は、今会計年度に総額3600億ドルの設備投資を実施すると見込まれており、その多くがAI関連だ。ブルームバーグがまとめたアナリスト予想によると、この支出額は来年には約4200億ドルに増加する見通しだ。
テクノロジー大手によるAI関連支出拡大は、今年に入り半導体メーカーやネットワーク企業、公益事業など幅広い業種の株価を押し上げてきた。世界最大の時価総額を誇り、こうした流れの恩恵を大きく受けているエヌビディアは、11月19日に決算発表を予定する。
前向きな兆候
これまでのところ、AI関連サービス分野での売上高の伸びが最も顕著なのは、アマゾンとマイクロソフト、アルファベットのクラウド事業で、これらが決算発表での焦点となっている。メタも自社のAI投資がソーシャルメディア部門での広告ターゲティングやエンゲージメントの改善につながっていると説明している。
もっとも、これら企業のAI投資額は、現時点でAI関連収益を大きく上回っている。それでも投資家は、AI技術の普及や新たな用途拡大を背景に、こうした支出が将来的な市場支配力につながると期待し、大型ハイテク株を買い進めている。
UBSグローバル・ウェルス・マネジメント(運用資産4兆5000億ドル超)の米国株責任者デービッド・レフコウィッツ氏は「AI関連設備投資やAIの収益化見通しにひびが入るような兆候が見られない限り、それだけで強気相場を支えるには十分だろう」と述べた。
原題:Bull Market’s Make-or-Break Week Arrives With Big Tech Earnings(抜粋)