インド旅客機墜落事故、十分な推進力が得られなかった可能性-専門家

Mary Schlangenstein、Allyson Versprille

エア・インディアのボーイング機が住宅地に墜落した事故の映像は、事故原因の解明に向けて当局が調べるであろういくつかの異常を示している。この事故では搭乗していた乗客・乗員242人のうち241人が死亡し、1人の生存者が確認された。

  最新鋭ワイドボディー旅客機「787ドリームライナー」は、離陸に十分な距離である約1万1000フィート(約3350メートル)の滑走路から飛び立ったにもかかわらず、十分な推進力が得られなかったとみられる。航空コンサルティング会社、RWマン&カンパニーのボブ・マン代表が指摘した。

  マン氏によれば、こうした事故は離陸前の機体の設定ミスやコンピューターに入力された重量データに誤りがあった場合に起こりうるという。

  マン氏は「もし機体の重量が実際よりも重く設定されていれば、離陸は非常に激しくなる。実際より軽く設定されていれば、出力が不足する」と述べた。

  同氏は、自身の見解は非公式なものであり、事故現場から未回収のフライトデータやコックピットの音声記録を参照していない点を強調した。

  米連邦航空局(FAA)で事故調査の責任者を務めたジェフ・グゼッティ氏は、通常は離陸してすぐに格納されるべきランディングギア(降着装置)が格納されていなかったと指摘する。

  グゼッティ氏はさらに、離陸時に揚力を生むフラップが正しい位置にあったのかを知りたいと指摘。これをランディングギアと間違えて上げてしまった可能性もあるとしたうえで「煙や火災、エンジンの不調などは見られない。飛行機が滑走路を離陸して上昇できなかったことだけが確認できる」と話した。また、「現時点では分からない」とも述べた。

  米国家運輸安全委員会(NTSB)とFAAの調査官はインドで調査を支援する予定だ。フライトレコーダーやブラックボックスが回収されれば原因解明が進むとみられる。

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原題:Air India Plane Crash Draws Attention to Flaps and Landing Gear(抜粋)

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