「29+14=?」足し算の解き方に意外な男女差 教師の影響力に違い
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あなたは「29+14」をどのように解くだろうか。標準的な手続きは、2つの数を縦に並べ、一の位を足して繰り上げし、十の位を足して43を得る、というものだ。あるいは、29+14は 30+13と同じ、というはるかに計算しやすい創造的な近道に気づく人もいるかもしれない。米インディアナ大学ブルーミントン校の研究チームは、手続き的な解法を用いることが少ない人ほど抽象的な問題を解くのが得意な傾向があり、この傾向には性別による有意差があることを見いだした。
研究では、米国中西部のある高校の生徒213人に3つの計算問題を解かせた。3問すべてで手続き的な解法を用いた生徒は男子ではわずか18%だったのに対し、女子では52%だった。そして、手続き的な解法を用いなかった生徒ほど、問題解決型の問いに正答する可能性が有意に高かった。「この結果には、正直、本当に驚いた」と、同校の数学教育研究者であり、今回の論文の共著者であるルビエンスキー(Sarah Lubienski)はいう。
この発見の後、ルビエンスキーらは別の研究グループが米国の成人810人を対象とした類似の研究でほぼ同じ結論に到達していたことを知った。研究者たちは、2つの研究をまとめて1本の論文にし、発表することに決めた。「まとめることで、幼少期から計算にどのように取り組むかにもっと注意を払う必要がある、という主張が説得力を持つと思った」とルビエンスキーはいう。論文はBritish Journal of Educational Psychology誌に掲載された。
研究グループは、教師を喜ばせたいという欲求がより強いと答えた生徒ほど、問題を教師が教えた手続き的な方法で解く可能性が高いことを見いだした。こう答えるのは、女子に大きく偏っている。
このことは、数学教育における長年のパラドックスの一因となっている可能性がある。女子はしばしば男子よりも数学の成績がよく、州のテストでは男女の成績はほぼ同等だ。にもかかわらず、SATなどの進路を左右する重要な試験や、その先の特にこれまで見たことのない問題を解く試験では男子に比べて成績が悪い。女子が学校でよい成績を収めるのに役立つ勤勉さが、後に彼女たちの足を引っ張っている可能性がある。
研究チームはまた、創造的な問題解決能力が空間能力の高さ、具体的には頭のなかで物体を回転させることができる能力と関連していることも見いだした。この能力は習得可能だとルビエンスキーはいう。
「私が興味深いと思ったのは、今回の論文が変えることが可能な要因を指摘している点だ。単に『女子はこうする、男子はああする』ではなく、そのような違いがなぜ生じるのかを示した」とニューヨーク大学の教育研究者シンピアン(Joseph Cimpian、どちらの研究にも関与していない)はいう。「問題の核心は能力ではなく、むしろ教師の指導や教室の規範、生徒の不安、自分に期待されていると信じていることなどの相互作用である可能性がある」。
詳細は7月24日発売の日経サイエンス2026年9月号に掲載
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