大学院講座で「疑似科学」の指摘 運営者が信奉する「見えない力」
「水に美しい言葉をかけると美しい結晶ができる」と説く「波動」。鉱物などを希釈した水を染み込ませた砂糖玉を飲んで病を治すとうたう「ホメオパシー」――。
いずれも、科学を装いながら科学的根拠はなく、実証も反証もできない「疑似科学」と指摘される。
神奈川歯科大大学院(神奈川県横須賀市)の社会人向け「統合医療学講座」のシラバス(講義計画)には、そんな「療法」がずらりと並ぶ。受講するのは、医師や看護師ら医療系の国家資格を持つ人たち。教壇に立つのは、各推進団体から招かれた代表や幹部らだ。
<主な内容> ・学術会議が効果否定 ・講座を運営するのは ・専門家の見方
・文科省の見解は
専門家は「大学が疑似科学や推進団体にお墨付きを与えかねず、だまされる人を増やす恐れがある」と警告する。
しかも、大学関係者によると、講座に資金を提供し、運営しているのは当の大学ではないらしい。
一体、何が起きているのか。
学術会議が効果否定
東京都港区のJR高輪ゲートウェイ駅近くにある5階建てビルの最上階。講座はここで2022年度に始まった。学費は年間120万円。今年度は30以上の「療法」について計約180時間の講義が予定されている。
「波動」はかつて小学校の道徳教材で取り上げられ、教育現場に入り込む疑似科学として社会問題化した。「ホメオパシー」は10年に日本学術会議が会長談話を出して治療効果を否定している。シラバスにはこのほかに、透視能力を持つ霊能力者が始めたと称する療法「エドガーケーシー」などもある。
関係者によると、講座はテレビにも多数出演する医師の川嶋朗氏が大学に持ちかけて始まった。
神奈川歯科大は取材に「川嶋氏が対応する」と回答。川嶋氏は「統合医療は玉石混交。西洋医学を修めたうえで、患者から相談を受けた時に(その施術が)まがいものか見抜ける医療従事者を育てないと…