コラム:日産次期社長、経営立て直しで乏しい「自由度」
内田氏が率いる経営陣は、先月にホンダとの協議が破談になる前から足場がもろいように見えた。特に世界最大の市場である中国で日産車は過去数年にわたって販売減少が続き、内田氏は昨年11月、経費節減に向けた緊急の経営改革を表明せざるを得なくなった。ビジブル・アルファがまとめたアナリスト予想に基づくと、この3月期の日産の純損失は現時点で15億ドル前後に上る見込みだ。内田氏が5年前、社長に就任して以来、日産株の総リターンはマイナス29%と、同期間の東証株価指数(TOPIX)の値動きを大幅にアンダーパフォームしている。
Shows Nissan's total returns have fallen nearly 30% since the company announced Makoto Uchida's appointment as CEO on Oct. 9, 2019.エスピノーサ氏は、実に難しい時期に日産のかじ取りを任されることになる。日産は収益力回復のために年間約4000億円(27億ドル)の経費を圧縮する経営てこ入れ策に乗り出している。ただ資産売却をどこまで進めるかといった重要な詳細部分はこれから詰めなければならない。内田氏は11日、新たな提携を模索していることも明かした。
さらに2003年入社で筋金入りの日産プロパーであるエスピノーサ氏が、販売や収益力を上向かせつつ、ハイブリッド車と電気自動車(EV)に投資し、トランプ米大統領による関税の脅しを切り抜ける新たな戦略を手にすることができるのかどうかは分からない。つまりエスピノーサ氏の「自由度」は非常に限られている。
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(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
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筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
Katrina Hamlin is global production editor, based in Hong Kong. She is also a columnist, writing on topics including autos and electric vehicles, as well as the gambling industry in Macau and Asia. Before joining Reuters in 2012, Katrina was deputy managing editor of Shanghai Business Review magazine. She graduated from the University of Oxford with an MA in Classics, and earned a Masters of Journalism with distinction from the University of Hong Kong.