山形・西川町の元職員「襟元つかまれ町長室に連れ込まれた」と人権救済申し立て…町長陳謝「カッとなった」
山形県西川町の菅野大志町長に上着の襟元をつかまれ、町長室に連れ込まれるなどしたことが人権侵害だとして、元町職員の男性が、山形地方法務局に人権救済を申し立てたことがわかった。菅野町長は2日、町役場で記者会見し、「つらい思いをさせてしまったことをおわびする」と陳謝した。町は今後、パワーハラスメントに関する第三者委員会を設置し、実態を調査する。(柏このか、常陰亮佑)
「のけぞるほどの力」
自身の一連の行為について謝罪し、頭を下げる菅野町長(2日午後4時過ぎ、山形県西川町役場で)男性の説明によると、男性は昨年、年度内での退職を申し出ていたが、12月10日に菅野町長から、担当業務について「責任もって遂行することを誓う」とした手書きの誓約書を示され、署名を求められた。男性は翌11日、署名できないと伝えたが、菅野町長に襟元をつかまれ、体がのけぞるほどの力で町長室に連れ込まれたという。
男性は署名をせず、3月31日付で退職し、4月1日、山形地方法務局に人権救済の申し立てを行った。
被害の申告を受けた法務局は、職員や人権擁護委員が事実関係を調べる。人権侵害が認められた場合は、加害者側に改善を求める勧告などの救済措置を行う。
カッとなった
菅野町長は2日に記者会見を開き、経緯を説明するとともに謝罪した。
会見での説明によると、町長は昨年12月11日、男性に誓約書に署名したか尋ねたが、「書けません」と言われたため、男性の上着の上の方をつかみ、一緒に町長室に入った。町長は「未熟なことにカッとなってしまった」と述べ、「申し訳ない」と頭を下げた。
一方で、「業務への熱意が彼にとっては精神的に苦痛だったのかもしれない、目標を達成してほしい一心だった」と弁明した。
また、町は3月31日付の退職者全員に対し、秘密情報の保持と違反した場合の賠償を明記した誓約書への署名を求め、反発を受けて取りやめたことも判明している。これについて、町長は改めて関与を否定した。
誓約書を作成したのは総務課職員の独断だとし、オンライン会議アプリ「チームズ」で共有されてはいたが、中身は「見ていなかった」という。町長は「守秘義務について口頭で説明するだけでいい」と指示したと釈明した。
第三者委設置へ
町は今後、パワーハラスメントを調査する第三者委を設置する方針。委員の選任は他県の事例を参考にし、県弁護士会に依頼することなどを予定している。
また、町ではこれまで総務課にハラスメントの相談窓口を設置しているのみだったが、相談体制の強化として〈1〉外部機関の相談窓口の設置〈2〉ハラスメントに関するマニュアルや対応フローの作成〈3〉セルフチェックの実施――を行う。
再発防止策としては、全職員を対象にした定期的なアンケート調査などを実施するという。町長は「心理的安全性が保たれる取り組みが必要だ」と述べた。