米誌編集長を誤って追加、トランプ政権のフーシ派攻撃計画のチャット
イエメンの親イラン武装組織フーシ派を攻撃する詳細な計画について米政府高官らが議論していたグループチャットに米誌アトランティックのジェフリー・ゴールドバーグ編集長が追加されていた。同編集長が明らかにした。情報漏えいへの厳しい対処を表明してきた米トランプ政権における深刻な秘密保持違反となった。
ゴールドバーグ氏は24日に公表した記事で、メッセージ通信アプリ「シグナル」で「マイケル・ウォルツ」と名乗る人物から接続リクエストが送られてきた経緯を説明。当初は偽物だと思ったが、紅海で多数の商業船舶への攻撃を実行してきたフーシ派に対する攻撃の詳細な計画がグループチャットで議論されていたことから、ウォルツ大統領補佐官(国家安全保障担当)の本物のアカウントであることに気づいたという。
ゴールドバーグ氏は記事で、実際の計画について公表はしなかった。だが、ヘグセス国防長官が「標的に関する情報や米国が展開する兵器、攻撃の順序を含めてイエメンに対する今後の攻撃作戦の詳細」を投稿したと指摘しており、その数時間後に攻撃が実施されたという。
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このやり取りは、フーシ派に関するトランプ政権の考え方や内部の権力力学について、他に類を見ない洞察を提供するものだ。チャットでは、バンス副大統領が攻撃に当初反対していたことを同グループに明かしたほか、トランプ大統領の計画をやんわりと批判するなど主要人物の議論が含まれていた。
トランプ政権の主要閣僚もこのグループに含まれており、ヘグセス国防長官とルビオ国務長官、ベッセント財務長官、ギャバード国家情報長官、ラトクリフ中央情報局(CIA)長官らが参加していた。
トランプ氏は24日夜、この件については知らなかったと主張した。レビット大統領報道官は、トランプ氏はウォルツ氏を含む国家安全保障チームに「最大限の信頼」を寄せているとの声明を発表した。
ヘグセス氏は24日夜、ハワイで記者団に対し、「誰も戦争計画をメッセージで送ってなどいない。それについて私が言うべきことはそれだけだ」と語った。
ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)のヒューズ報道官は声明で、このメッセージのやり取りは「本物であると思われる。不注意で番号が追加された経緯を調査中だ」と述べた。さらに、このメッセージのやり取りは「高官間の深い思慮に満ちた政策調整」を示しているとも述べ、誰かを危険にさらす内容とは思われないと付け加えた。
ヘグセス氏ら政府高官は最近、国家の安全保障を脅かすメディアへの情報漏えいを厳しく取り締まると公言していただけに、今回のケースは前例のない秘密保持違反と言える。イエメンへの攻撃前、ヘグセス氏はチャットに「現在、軍事作戦上の機密保持は万全だ」と書き込んでいた。
一連のメッセージからは、他にも疑問が浮かび上がる。グループのオーナー(恐らくウォルツ氏)は、メッセージを数日後に消えるように設定していたが、これは政府記録の保存を目的とした法律に明らかに違反する。また、最も安全なチャットアプリとして定評のあるシグナルは、機密情報を発信するプラットフォームとして米政府の承認を受けてはいない。
こうした情報漏れへの対応方法が確立されているわけではないが、過去には不注意や無害なリークであっても米連邦捜査局(FBI)や政府機関の監察官による調査が行われている。複数の民主党議員が公聴会の開催を要求した。
原題:Atlantic Editor Included in Trump Team’s War Plan Text Group (3) (抜粋)