米国人女性の4割が「外国に永住したい」 経済不安やSNSの影響も

新たな報告書によると、欧州への移住を希望する米国人が増加しており、特に女性が多いことが浮き彫りになった。米国からの国外移住は過去10年間、増加傾向にある。移住に関するコンサルティングを手がける英グローバルシチズン・ソリューションズによる最新の報告書は、この状況の深刻さを示している。 同報告書によると、欧州連合(EU)に加盟する27カ国のほぼすべてで、居住する米国人の数が過去最高を記録した。報告書は、この変化は「過去数十年にわたる積み重ね」によるものだと指摘している。ジョージ・W・ブッシュ政権とバラク・オバマ政権下では、移住を希望する米国人の割合は約10~11%だったが、第1次ドナルド・トランプ政権下では16~20%に上昇。米調査会社ギャラップが2025年11月に実施した世論調査では、その割合は25%に達したことが明らかになった。 15~44歳の米国人女性に絞ると、40%が「可能であれば外国に永住したい」と回答した。サンプル数は少なかったものの、英紙ガーディアンが報じた過去の同様の調査結果とは大きく異なっていた。移住希望者の数は2014年と比べて4倍に増加していた。興味深いことに、男性ではこの数字は約19%で、2014年以降ほとんど変化が見られなかった。 この男女比の不均衡について、ガーディアンは複数の要因を挙げているが、中でも特に「ロー対ウェード判決」(訳注:1973年に米連邦最高裁判所が下した人工妊娠中絶を憲法上の権利として認めた判決)が2022年に覆されて以降の米国における女性の役割の変化が大きな要因となっている。また、ソーシャルメディア(SNS)が外国生活を魅力的に宣伝し、あたかもそれが身近なものであるかのように感じさせてしまうことも一因だ。しかし、実際には必ずしもそうとは限らない。 米国の生活費の高騰と医療費の負担能力も、決定的な要因となり得る。特に退職者の間では、老後の安心を求めて欧州に目を向ける人が増えている。米モンマス大学とギャラップによる最近の世論調査によると、国外移住を希望する55歳以上の米国人の割合は現在17%に達しており、1974年の水準の4倍以上となっている。これらの調査結果は、グローバルシチズン・ソリューションズの報告書やガーディアンに掲載された資料によって裏付けられている。 --{米国人に最も人気のある欧州の移住先 }-- ● 国外移住を支援するコンサルティング各社は、2024年以降、米国人からの問い合わせが急増していると報告している ● アイルランドのパスポート(旅券)を申請した米国人の数は、過去10年間で最高水準に達している ● 3月までの1年間に英国籍を取得しようとした米国人の数は、2004年の統計開始以来、過去最高を記録した ● 2009年以前は、米国籍を放棄する米国人は年間400人未満だった。2024年にはその数は4820人となり、前年から48%増加した ● 米国土安全保障省の資料などを分析すると、2025年には推定220万人が米国を離れたが、うち推定18万人が米国籍者だった。 グローバルシチズン・ソリューションズの報告書の数値は、市民権放棄記録、海外居住登録、海外居住への関心に関する調査を基に集計された。同社のラウラ・マドリード主任研究員は次のように指摘した。「これは危機から逃れる人々の姿ではない。これは情報に基づいて判断を下し、多くの場合、経済的にも安定した個人や家族であり、自分たちの資金や安全、生活の質が、外国で暮らした方が充実すると意図的に判断して行動しているのだ」 ■米国人に最も人気のある欧州の移住先  2023年の居住許可に関する資料によると、欧州は依然として米国人の間で最も人気のある移住先であり、ドイツが首位を占め、次いでスペイン、フランス、イタリア、オランダ、スイス、ポルトガルとなっている。 近年、EU加盟国による非EU市民へのパスポート発行数は増加しており、2024年にはドイツが欧州諸国の中で最も多くの市民権を付与した。その数は30万人で、EU全体の4分の1を占める。スペインとイタリアがこれに次いで多くのパスポートを発行した。 これらの国々の多くはデジタルノマドビザやリタイアメントビザ、ゴールデンビザといったビザ(査証)制度を設けており、米国人はこれらのビザを利用して移住している。二重国籍を持つ米国人の正確な数は不明だが、推定では最大3000万人が欧州の祖先を持つ場合に与えられるビザの資格を満たしている可能性がある。 ただし、イタリアの最近の法改正のように、この種のビザの要件は厳格化されつつある。イタリアの場合、同国で生まれた親または祖父母がいることを証明する必要があり、曽祖父母を通じた関係は認められなくなった。さらに、申請者はイタリアに居住しており、イタリア語を話せるなど、同国との真のつながりを示す必要がある。

Forbes JAPAN
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