「神宮前交差点に街路樹が1本もありません」暑すぎて死にそう…屋上緑化推進の都政「地上に木を植えて!」|まいどなニュース

東京都内の樹木の減少がSNS上で大きな注目を集めている。

「『ハラカド』や『ラフォーレ原宿』のある神宮前交差点には、街路樹が1本もありません。暑すぎて信号待ちで死にそうになります。そんな建物の上を緑化しなくて良いので、地上に木を植えて下さい!」

と警鐘を鳴らすのはミド建築・都市観測所さん(@Mid_observatory)。

神宮前交差点の模様。確かに交差点には街路樹が無い(ミド建築・都市観測所さん提供)

ミド建築・都市観測所さんは神宮前交差点や銀座4丁目といった交差点の模様を紹介。付近の道路に街路樹がまったくないわけではないのだが、交差点だけを見るとたしかに緑は少ない。

銀座四丁目の交差点も…(ミド建築・都市観測所さん提供)

東京大学の研究チームの調査によると樹木の枝葉で覆われた土地の面積割合「樹冠被覆率」は、東京23区で2013年に9.2%だったのが2022年には7.3%に減少しているという。東京を代表する交差点の寒々とした光景はそんな状況を物語っているようにも思える。

ミド建築・都市観測所さんにお話を聞いた。

ーー神宮前交差点、銀座四丁目など主要交差点に街路樹が存在しないことについて。

ミド建築・都市観測所:夏の暑い時期に交差点で信号待ちをしているとき、街路樹があるところとないところで全然「辛さ」が違うなと常々感じていました。とくに人通りの多い、主要な交差点ではなぜないのだろうと疑問を覚えていました。

ーー街路樹や緑地保全に関する都の施策についてどう思われますか?

ミド建築・都市観測所:小池都知事はいたるところで樹木を伐採しており、夏の酷暑をきびしくするばかりで、憤りを覚えております。例えば、都立の葛西臨海水族園では600本の樹木を伐採しております。また、小池都知事が再開発を許可した神宮外苑でもたくさんの樹木が伐採されています。

石原慎太郎元都知事は街路樹を倍増させ100万本に増やしました。このヒートアイランドが異常に加速する今の時代に行うべき政策は、街路樹をさらに増やすことではないでしょうか。アメリカのNYでもフランスのパリでも気候変動対策として街路樹をどんどん増やしています。今の東京都の都市政策はまったく時代遅れです。それを多くの方に知っていただきたいです。

ーー一方で建物の屋上緑化は目立ちます。

ミド建築・都市観測所:今の東京都は「みどり率」というものを緑化指標に用いています。これは建物の屋上緑化でも「みどり」にカウントしてしまうものです。それに対して世界で標準的に使われているのは樹冠被覆率という緑化指標です。これは私は「こかげ率」と言っているのですが、樹木の葉が頭上を覆い、木陰ができる比率です。これが高ければ高いほど頭上が緑で覆われており、木陰が多くできます。

私が投稿した神宮前交差点の写真を見ていただきたいのですが、ハラカドの建物の上がムダに緑化されています。東京都のみどり率ではこれも「みどり」とカウントされます。でも、こんなところが緑化されてても多くの人にはほとんど恩恵がありません。東京都が「みどり率」という役に立たない緑化指標を用いているので、こうしたムダな緑化が行われるのです。「樹冠被覆率=こかげ率」を緑化指標にすれば、こうしたムダな緑化は行われず、万人に役に立つみどりが生まれますので、緑化指標を見直した方が良いと思います。

ーー一連のご投稿に大きな反響が寄せられました。

ミド建築・都市観測所:多くの方に共感していただき、うれしかったです。みんなやはり同じことを思っているのだなと。木陰のない交差点で、太陽に焼かれながら信号待ちをするのは苦痛です。政治家の人は信号待ちなんかしないからわからないかもしれませんが、本当に死にそうになります。この意見を広げていくことで、主要な交差点には街路樹を植えることを義務づける、といったように世の中のルールが変わっていけばいいなと思います。

◇ ◇

SNSユーザー達から数々の共感の声が寄せられるミド建築・都市観測所さんの投稿。東京都には都民が納得する健全な都市計画を期待したいものだ。

ミド建築・都市観測所さん関連情報Xアカウント:https://x.com/Mid_observatoryYouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/@Mid_observatory


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都市部の街路樹がなくなると…(a muh sakaria/stock.adobe.com)

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