USスチールに多額出資も、CEO選任なら-アクティビスト推す候補
アクティビスト(物言う投資家)として知られるアンコラ・ホールディグス・グループは、米鉄鋼大手USスチールの次期最高経営責任者(CEO)に鉄鋼業界のベテラン、アラン・ケステンバウム氏を推しているが、同社が日本製鉄との合併を断念し、自分をCEOに起用する場合は、USスチールに個人的に多額の出資を行う用意があると同氏は述べた。
ステルコ・ホールディングスでCEOを務めたケステンバウム氏(63)は27日のインタビューで、「自分が関わることになる事業には出資したい。経営するチャンスが与えられれば、自分自身に投資するつもりだ」と語った。
アンコラはこれに先立ち、USスチールに日鉄との合併断念を迫る意向を示し、ケステンバウム氏ら9人をUSスチールの取締役候補に指名していた。
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アンコラの持ち株比率はわずか0.18%であり、ケステンバウム氏が次期CEOはもちろん、取締役に就任できる保証はなく、計画に実行する価値があると既存株主を説得する必要がある。
ケステンバウム氏はアンコラの計画を支持しており、USスチールの次期CEOに就任する機会が与えられれば、同社を「立て直す」経営計画を導入つもりだと説明した。 具体的にどのように改革を行うつもりか詳細は示さなかったが、自分が適切な人材を配置し、従業員の士気を高め、業務を効率化する方法を知っていることは実績から明らかだと主張した。
現在はプライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社ベッドロック・インダストリーズ・グループのCEOを務めるケステンバウム氏は、経営再建の名手として知られる。2017年にはUSスチールの経営が行き詰まったカナダ資産を買収し、ステルコという社名を復活させた。事業再編を7年間進めた後、昨年11月にクリーブランド・クリフスに27億ドル(現在の為替レートで約4170億円)で売却した。
ケステンバウム氏は、USスチールの今の株価が高過ぎると考えており、株式を購入するつもりも現経営陣を支援するつもりもないが、株価が適正水準になれば筆頭株主になる用意があるとした。
原題:Activist Pick for US Steel CEO Eyes Major Stake If Given Top Job(抜粋)