トランプ米政権、対中関税の大幅引き下げ検討-週末協議で緊張緩和へ

トランプ米政権のベッセント財務長官とグリア通商代表部(USTR)代表は、今週末にスイスで中国の何立峰副首相らと貿易協議を行う。米側は関税の大幅な引き下げを検討しており、先月発動された極めて高い関税率を両国が引き下げれば、すでに顕在化している経済的な痛みが双方で和らぐ可能性がある。

  10日にジュネーブで始まる米中協議の準備に詳しい関係者によると、米側は第一歩として関税率を60%未満に引き下げる目標を設定しており、中国側がこれに応じる可能性があると見ている。2日間の協議で進展があれば、早ければ来週、引き下げが実施され得るという。

  関係者によると、協議は予備的なものとなる公算が大きく、具体的な解決策を導き出すというより、双方の不満をぶつけ合う場となる可能性が高い。状況は流動的であり、関税水準が近い将来に引き下げられる保証はないという。

  米側の要望リストの上位には、レアアース(希土類)の輸出制限の撤廃が含まれる。さまざまな産業で混乱が生じていることが背景にある。合成麻薬フェンタニルの問題でも進展がみられており、関係者によれば、中国からの麻薬原料輸出を削減する方向で、別途協議が近く開催される可能性がある。

  米財務省とUSTRはコメントを控えた。ホワイトハウスのデサイ報道官は声明で「今回の協議における政権の唯一の目的は、トランプ大統領の『米国第一』経済政策を、公正で互恵的な貿易関係に向けて前進させることだ。『目標』となる関税率についての議論は根拠のない臆測に過ぎない」と述べた。

  トランプ政権が直面する最大の課題は、米中間の関税が極めて高い水準に達している点だ。米国は多くの中国製品に145%の関税を課している。ただ、米中間の緊張が劇的に緩和されたとしても、米国の消費者の負担が大きく軽減される可能性は低く、今夏に価格上昇や商品の品薄が懸念される。

  8日には、トランプ大統領をはじめとする米当局者が、4月2日に発表した関税措置に対する中国の報復を受けて急激に引き上げた関税率について、引き下げる意向を明確にした。

  トランプ氏は米英貿易協定合意に関して発表した際、関税率引き下げの可能性について記者団から問われ、「現在は145%で、これ以上は上がりようがない。従って、下がるのは確かだ」と発言。「中国との間で良い週末になると思う」と付け加えた。

  ラトニック米商務長官はCNBCに対し、「緊張を緩和し、関税率をあるべき水準まで引き下げることがベッセント氏の目標だ。中国代表団の目標でもあると思う。それこそが大統領が望む良い結果だ」と述べた。  

原題:Trump Team Seeks Tariff Cuts, Rare Earths Relief in China Talks(抜粋)

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