「魂燃え上がるよう」日向坂46鶴崎さんが振り返る吹奏楽部の熱い夏:朝日新聞

インタビュー

聞き手・魚住ゆかり

日向坂46の鶴崎仁香さん=東京都千代田区、竹谷俊之撮影

 大学生活を送りながら、アイドルとして活躍する「日向坂46」の鶴崎仁香さん(22)は、中高時代、吹奏楽部員でした。チームワークの大切さを教えてくれたという吹奏楽部の熱い夏を振り返ってもらいました。

何て楽しいんだ!

 ――大学2年の終わりに「日向坂46」に加入して1年と少し。4月のライブで、トランペットを演奏したそうですね。

 (会場の)横浜スタジアムでトランペットを吹ける日が来るなんて、今でも夢みたいです。小さなころから音楽が大好きでした。小学2年でピアノを始め、中学校で吹奏楽部に入りましたが、トランペットを始めたのは高校からです。

 ――中学校では何を?

 争奪戦の結果、ホルンになりました。重くて手首が痛いし、管が長いから音を出すのが大変だし、音程を合わせるのも難しいし。合奏でもよく怒られました。でも、掘り下げがいがある楽器で、かっこいいフレーズがあると、絶対上手に吹いてやる、と力が入りました。

【動画】日向坂46の鶴崎仁香さんが振り返る吹奏楽部時代=竹谷俊之撮影

 ――吹奏楽部に入ったのは?

 親戚にトランペットをやっている人がいて、憧れていたんです。最初のうちは、譜面台と向き合っての自主練習ばかり。孤独を感じたり、うまくなっているのかな、音楽をつくれているのかなと不安になったりしました。でも、初めて本格的に合奏に参加したら「何て楽しいんだ!」って。

 ――合奏の楽しさは格別ですよね。

 いろんな楽器が合わさると、こんなにも音楽が楽しくなるんだ、この時間がずっと続けばいいのに、と思いました。大変だし、全然上手に吹けなくて落ち込む日もあったけど、それでも合奏が楽しみでした。

「ゴールド金賞!」

日向坂46の鶴崎仁香さん=東京都千代田区、竹谷俊之撮影

 ――コンクールに向けての練習は大変だったのでは?

 課題曲も自由曲も、楽譜は書き込みで真っ黒。音符や記号の意味を一つ一つ話し合って、解釈しながら練習していくと、どんどんよくなって、最初に吹いたときとまるっきり違う曲になるんです。宿題をする暇もないぐらい、吹奏楽に夢中になった夏でした。

 ――中学校最後のコンクールは、パートリーダーとして臨みました。

 神奈川県大会の前は、眠れないくらい緊張しました。大きなホールに立った高揚感、先生の指揮棒が上がった瞬間、演奏後みんなで泣いたこと。そして「ゴールド金賞」! 忘れられない宝物です。

 みんなで決めた目標に向かって12分間の演奏に賭けるコンクールって、はかなくて、熱くて、魂が燃え上がるような時間でした。

旋律を吹く楽器に憧れて

日向坂46の鶴崎仁香さん=東京都千代田区、竹谷俊之撮影

 ――高校でも吹奏楽部に。

 旋律を吹くことが多い楽器に憧れて、トランペットに変えました。管は短くなったので、吹きやすくはなったかな。でも、高音を出すのが大変。先輩に教えてもらいながら地道に基礎練習をしました。

 ――高2でコロナ禍に。

 高2までで部活動を引退したこともあって、残念ながら思い出はあまり多くないんです。でも、高1の夏の野球応援はすごく印象に残っています。「サウスポー」とか短い曲をいっぱい暗譜して、3年生の先輩方と一緒に応援しました。真夏の野球場ではマウスピースが熱くなってしまうので、唇が腫れることもあったけど、とてもいい思い出です。

 ――コロナ禍に翻弄(ほんろう)されましたね。

 部活動も制限されて、文化祭や体育祭も縮小されて。そもそも学校に行く日も少なくなって、毎日みんなと会って、ぶつかり合いながら頑張れた中学時代って、当たり前じゃなかったんだなって思いました。

 でも、身動きがとれない期間があったからこそ、新しい自分に出会うために一歩踏み出してみたいと願うようになったのかもしれません。

思っている以上に一人一人が大切

日向坂46の鶴崎仁香さん=東京都千代田区、竹谷俊之撮影

 ――大学生になってから、日向坂のオーディションを受けました。

 中高生のころ、人間関係やコロナ禍に悩んだり、受験勉強に苦労したりしていた深夜、吹奏楽や日向坂など「坂道グループ」の曲を聴くと、明日も頑張ろうって思えました。音楽に救われたんです。

 小さい頃から、何かを届けて誰かを笑顔にする仕事に就きたいと思っていましたし、今度は私が誰かの背中を押したいっていう気持ちになりました。年齢的に最後のチャンスだと思って挑戦したオーディションに合格。諦めなければ夢はかなうんですね。

 ――吹奏楽部での経験は役立っていますか?

 チームワークの大切さを学んだことが、とても生きています。吹奏楽もアイドルグループも、思っている以上に一人一人が大切です。仲間のために動こうとすることで、それぞれの力がより大きくなって、音楽やパフォーマンスが素敵になる。きらめきも生まれます。

 ――吹奏楽とも少し似ていますね。

 昨秋、日向坂5期生10人だけで単独ライブを行ったんです。合っていないからそろえようとか、ここはこうした方がいいんじゃないとか言い合いながら、日々試行錯誤を繰り返しました。

 最初はばらばらだった心もダンスもそろっていき、ひとつのライブとして完成させることができた達成感を感じられました。こういうところは本当によく似ているなと思います。

いつか日向坂で吹奏楽を

日向坂46の鶴崎仁香さん=東京都千代田区、竹谷俊之撮影

 ――メンバーには吹奏楽部出身者も多いとか。

 クラリネットを吹いていたキャプテンの高橋未来虹さん(22)をはじめ、何人もいます。大好きな吹奏楽のいろんな魅力を伝えていきたいと思っているので、いつか日向坂でも吹奏楽ができたらいいなって思っています。

 ――吹奏楽コンクールに出場する部員たちにエールをお願いします。

 つらい時、迷う時、落ち込んでしまう瞬間、いっぱいあると思うんですけど、そういう時こそ、たくさん音楽を聴きながら、前を向いて頑張って、と伝えたいです。

 つるさき・にこ 2004年生まれ、神奈川県出身。中学、高校の吹奏楽部でそれぞれホルン、トランペットを担当。早稲田大に進学後の25年3月、日向坂46に5期生として加入。アイドルと大学生の「二刀流」に。9月5~6日、宮崎県で開かれる「ひなたフェス2026」に登場する予定。

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この記事を書いた人

魚住ゆかり
ネットワーク報道本部
専門・関心分野
音楽(主に吹奏楽・合唱)、歴史、文化、いきもの

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