NY市場サマリー(21日)ドル上昇、利回り低下 株大幅下落

<為替> ドルが幅広い通貨に対し上昇。週末を控え値固めの動きが出た。また、来週発表される米個人消費支出(PCE)が注目される。

21日に発表された一連の低調な米指標を受け、ドルは上げ幅を縮小。2月のS&P米総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は2023年9月以来の低水準、2月のミシガン大消費者信頼感指数(確報値)は15カ月ぶりの低水準となった。1月の米中古住宅販売戸数も4カ月ぶりに減少した。 もっと見る

金利先物市場では、年内の利下げ幅予想が44ベーシスポイント(bp)と、20日の38bpから上昇。LSEGによると、米連邦準備理事会(FRB)が今後数カ月は金利を据え置くものの、9月もしくは10月に利下げを実施すると見込まれている。

終盤の取引で、主要通貨に対するドル指数は0.2%高の106.59。しかし、このところの売りに押され、月初からは1.7%値下がりしている。

ユーロ/ドルは0.4%安の1.0461ドルと、1日としては今月初旬以来の大幅な下げとなる見通し。

S&Pグローバルがまとめた2月の独総合PMIは9カ月ぶり高水準となったものの、仏総合PMIは44.5と、前月から悪化し、予想も下回った。 もっと見る

23日投開票のドイツ総選挙の行方も注目される。

ドルは豪ドル、ニュージーランドドル、カナダドルなどの資源国通貨に対しても上昇した。

一方、ドル/円は0.4%安の149.02円。一時11週間ぶりの安値となる148.933円を付ける場面もあった。

総務省が21日発表した1月の全国消費者物価指数で、総合指数が23年1月以来の4%台となったことを受け、金利は一時2009年以来の高水準を記録した。 もっと見る

ドル/円は週足でも2.2%安と、過去6週間のうち5週間下落している。円は2月に入ってから対ドルで約3.9%上昇している。

NY外為市場:

<債券> 指標となる10年米国債利回りが2週間ぶりの低水準を付けた。複数の経済指標が経済成長の鈍化を示唆したことを受け、米連邦準備理事会(FRB)による今年2回の利下げ観測が強まった。

輸入関税と連邦政府支出の大幅削減に対する懸念が高まる中、米国の企業活動は2月にほぼ停滞した。

10年債利回りは8.3ベーシスポイント(bp)低下の4.416%。一時は2月5日以来の低水準となる4.406%を付けた。

2年債利回りは7.6bp低下し4.19%と、2月6日以来の低水準となった。

2年債と10年債の利回り格差は約1bp縮小し、22.2bpとなった。

フェデラルファンド(FF)金利市場は、年末までに48bpの利下げを織り込んでいる。これは、序盤の約42bpから拡大し、FRBが今年2回の25bp利下げを行うとの期待が高まっていることを示している。

日銀の植田和男総裁は21日の衆院予算委員会で、長期金利が急激に上昇するという「例外的な状況」になれば、機動的に国債買い入れ増額などを実施すると述べた。 もっと見る

この発言を受け、序盤の市場で米国債利回りは日本国債利回りにつられて低下した。

米金融・債券市場:

<株式> 主要株価3指数が軒並み大幅に下落した。この日発表の経済指標がいずれも悪化したことを受けて、売りが膨らんだ。S&P総合500種(.SPX), opens new tabは1日としては、昨年12月18日以来の下落率となったほか、ダウ工業株30種(.DJI), opens new tabの下げ幅は週間では昨年10月中旬以来の大きさとなった。
投資家の不安心理を示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(恐怖指数、VIX)(.VIX), opens new tabは2月3日以来の高水準を付けた。
個別銘柄では、超大型7銘柄(マグニフィセント・セブン)の全銘柄がマイナス圏で終了。エヌビディア(NVDA.O), opens new tabは4.1%下落した。
医療保険大手ユナイテッドヘルス(UNH.N), opens new tabは7.2%安。米司法省がメディケア(高齢者向け公的医療保険)プランの請求慣行を巡って調査に乗り出したとの報道が嫌気された。
決済会社ブロック(XYZ.N), opens new tabは17.7%安。第4・四半期の利益が予想を下回った。
電気自動車(EV)大手テスラ(TSLA.O), opens new tab、リビアン(RIVN.O), opens new tabはいずれもリコール(無償修理)を発表し、それぞれ4.7%下げた。

ニューヨーク証券取引所では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を2.64対1の比率で上回った。ナスダックでも3.04対1で値下がり銘柄数が上回った。

米取引所の合算出来高は170億6000万株。直近20営業日の平均は153億株。

米国株式市場:

<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、利益確定の売りが優勢となり、反落した。中心限月4月物の清算値(終値に相当)は前日比2.90ドル(0.10%)安の1オンス=2953.20ドル。週間では1. 81%高。

NY貴金属:

<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、供給混乱への警戒感が一部でくすぶる中を対ユーロでのドル高などを背景に、下落した。この日から新たに中心限月となった米国産標準油種WTIの中心限月4月物の清算値(終値に相当)は前日比2.08ドル(2.87%)安の1バレル=70.40ドル と、中心限月の清算値ベースで昨年12月下旬以来約2カ月ぶりの安値水準。5月物は2. 07ドル安の70.22ドル。

NYMEXエネルギー:

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