2025年モバイル業界総括:スマホ料金は「安さ」から「付加価値」の時代へ、通信品質競争も激化(ITmedia Mobile)

 振り返ってみると、2025年は4キャリアの料金体系が大きく変わった1年だった。ドコモは「eximo」や「irumo」を廃し、料金プランを全面的に刷新。KDDIもメインブランドのauとサブブランドのUQ mobileに、新料金プランを導入した。対するソフトバンクは、メインブランドでは2023年に開始した「ペイトク」を維持しているものの、サブブランドのY!mobileに新料金プランの「シンプル3」を導入した。 【画像】ワンプランを覆した楽天モバイルの新料金プラン  さらに、開業当初からワンプランを貫いていた楽天モバイルも、U-NEXTの映像サービスと通信料をセットにした「Rakuten最強U-NEXT」を導入している。いずれも、これまでの料金プランと比べると若干の値上げになる一方で、通信以外の新たな価値やサービスをセットにしているのが共通点だ。その意味では、スマホの料金体系が抜本的に変わり始めた1年だったと総括できる。  こうした料金プランやサービスを縁の下で支える通信では、4キャリアの“品質競争”が激化している。KDDIは松田浩路社長の就任に合わせ、「au Starlink Direct」を導入。Opensignalの調査でも世界一に輝いた。これに対抗するソフトバンクも、品質向上の対策を強化している。一方で、上位2社とドコモ、楽天モバイルの差は依然として開いている印象だ。ここでは、そんな2025年のモバイル業界を、キャリアの動向を中心に振り返っていく。

 “値上げ”とも評される料金プラン改定の先陣を切ったのは、ドコモだった。同社は、4月に現行の料金プランとなる「ドコモMAX」や「ドコモmini」などを発表。d払いやdカードでのポイント付与率がアップする「ドコモ ポイ活 MAX」や「ドコモ ポイ活 20」も導入し、料金プランを総入れ替えした。旧料金プランのeximo、irumoは開始から2年もたっておらず、異例の短命ぶりだった。  ドコモMAXはeximoの後継、ドコモminiはirumoの後継といえる料金プランだが、それぞれ各種割引適用前の基本料は上がっている。代わりに、ドコモMAXには「DAZN for docomo」といった映像サービスや無料の国際ローミングなどのサービスが付与された。映像サービスについては、サービス開始後も拡充しており、現在は「NBA docomo」も付く他、2026年2月からは「Lemino」と「dアニメストア」も選択可能になる。  もう1つのドコモminiは、細かく容量別に分かれていたirumoの料金体系を整理し、2つに集約した。その過程で、短期解約が多く、“MNPの弾”にもなっていた0.5GBプランは廃止されている。こちらは、ドコモMAXのような特典は付かない一方で、割引を増やし、全て適用した場合には、irumoと同額もしくは安い金額で、より大きな容量を使えるようになっている。   KDDIがほぼ同時期の5月に発表し、6月にスタートしたauの「auバリューリンクプラン」やUQ mobileの「トクトクプラン2」「コミコミプランバリュー」も、基本的なコンセプトはドコモの料金プランに近い。auバリューリンクプランには、「Pontaパス」や国際ローミングが無料で付く一方で、UQ mobileは容量を上げつつ、料金を値上げしている。  ドコモとの大きな違いは、映像サービスではなく、どちらかといえば通信での付帯サービスを強化したことだ。その1つが、4月に始まったスマホと衛星の直接通信サービスとなるau Starlink Direct。実際には、auブランドではほぼ料金プランを問わずに利用できるが、同社ではこれをauバリューリンクプランの売りとして打ち出している。また、5G通信で優先制御を受けられる「au 5G Fast Lane」も、同料金プランの新たな価値になる。  KDDIの代表取締役社長CEOの松田氏は、「私どもはしっかり価値を作り続けて、お届けすることで、その対価をいただこうと考えている」と強調。単純な値上げではなく、より充実したサービスを提供することで、ARPU(1ユーザーあたりの平均利用料)を上げつつ、ユーザーの解約率を下げていく方針だ。実際、KDDIは新料金プランの導入で解約率が低下している他、UQ mobileからauへ移行する率も上がり、好循環を生み出しつつある。

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