米PCE統計、支出が予想上回る伸び-根強いインフレでも消費堅調
8月の米個人消費支出(PCE)統計では、消費支出が市場予想を上回り、3カ月連続での堅調な増加を示した。インフレが高止まりする中でも、個人消費は引き続き経済をけん引している状況が示唆された。
キーポイント- インフレ調整後の実質個人消費支出は前月比0.4%増-市場予想0.2%増
- 個人消費支出は前月比0.6%増-予想0.5%増
- 食品とエネルギーを除くPCEコア価格指数は前月比0.2%上昇-予想と一致
- 7月も0.2%上昇
- 前年同月比では2.9%上昇-予想に一致
- PCE総合価格指数は前月比0.3%上昇-予想と一致
- 7月は0.2%上昇
- 前年同月比では2.7%上昇-予想と一致
消費支出の力強い伸びが続いていることで、7-9月(第3四半期)の経済が堅調に推移していることがあらためて示された。
しかし、こうした勢いが持続するかどうかは、労働市場次第の部分が大きい。採用の伸びが減速し、賃金上昇率は一段と鈍化しており、労働市場には減速の兆候が示されている。
パンテオン・マクロエコノミクスの米国担当チーフエコノミスト、サミュエル・トムズ氏は最近の消費動向には「確固たる基盤が欠けている」とリポートで指摘。
この先の実質所得(ネットベース)への期待が低い中、家計は「実質消費支出の伸びを賄うために貯蓄率を一段と引き下げざるを得なくなる」と記した。
財への支出は0.7%増加。家具・調度品や衣料品、娯楽用品などの裁量的支出の拡大を反映している。サービス支出の増加ペースは、より緩やかだった。
貯蓄率は今年の最低
実質可処分所得はわずかに増加した。インフレ調整前の賃金・給与は前月に比べて鈍化。貯蓄率は4.6%と、今年に入ってからの最低水準に落ち込んだ。
ブルームバーグ・エコノミクスのスチュアート・ポール、イライザ・ウィンガー両氏は「家計の財務状況は既に逼迫(ひっぱく)しており、貯蓄率も低い。こうした中、消費の中期的見通しは労働市場がどの程度堅調かに左右される。われわれは9月の雇用者数は改善したと予想しているが、労働市場の不安定な均衡を考慮すると、消費の見通しには引き続き慎重だ」と述べた。
PCE価格指数の上昇には、主としてサービス価格の伸びが影響した。市場で注目されるエネルギーと住宅を除いたサービス価格は、2カ月連続で0.3%上昇となった。
財価格では娯楽用品や自動車、大型家電などが下落。この値下がりが、こうした分野での支出拡大につながった。
統計の詳細は表をご覧ください。
原題:US Consumer Spending Powers On Even as Inflation Persists(抜粋)
— 取材協力 Chris Middleton, Nazmul Ahasan, Vince Golle, Julia Fanzeres and Reade Pickert