トランプ政権、2年目の正念場 危うい「価格の手ごろさ戦略」、MAGAに亀裂
米国時間の1月20日、トランプ政権は2年目を迎える。2026年は11月に中間選挙を控えるが、共和党は25年後半に知事・市長選で連敗を喫した。選挙に勝つためにトランプ大統領は国民の生活を改善したと成果を強調し、さらに政策を打ち出している。 【関連画像】トランプ氏の不支持率は支持率を上回る(画像=米リアル・クリア・ポリティクス) 「民主党の政治家たちは食料品の価格高騰を引き起こしたが、私たちは解決している。感謝祭の七面鳥の価格は、昨年のバイデン政権時と比べて33%下がった」 25年12月17日、米国のトランプ大統領は国民向けのテレビ演説を行い、こう語りかけた。テーマは「アフォーダビリティー(価格の手ごろさ)」だ。 トランプ氏にしてみれば米経済は極めて好調である。25年7~9月期の実質GDP成長率は個人消費がけん引する形で前期比年率プラス4.3%と高水準だった。インフレ率は前年比3%前後と高めに推移しているものの、新型コロナウイルス禍から経済が回復する過程で記録した9%(22年6月)に比べれば大きく低下した。 バイデン前大統領から引き継いだボロボロの経済を再生させ、インフレの低下と賃金上昇を実現させてきたというのがトランプ氏の言い分である。だからこそ、アフォーダビリティー問題は民主党が作り上げた「でたらめ」ということになる。 ●25年の選挙で連敗
しかし支持率はさえない。米リアル・クリア・ポリティクスの集計では不支持率が52%超と、支持率(44%)を大きく上回る。マクロで見た消費は確かに順調に伸びているものの、一般労働者の多くは賃金の伸びが物価の上昇に追い付いていない。株高などの恩恵を受ける富裕層との二極化を示す「K字経済」はトランプ政権以前から米国が抱える課題だ。 ビジネスマンのトランプ氏は物価高を解決する力があると期待され、大統領選に勝利した。しかし「関税は輸出国が負担」とのトランプ氏の説明とは裏腹に物価高は一向に改善する兆しがない。製造業回帰や雇用の新規創出の成果はなかなか見えない。25年11月のバージニア州、ニュージャージー州、ニューヨーク市などの地方選挙でアフォーダビリティーを争点にした民主党候補が勝利。トランプ政権への有権者の失望が露呈した。 ●AIはトランプ氏の味方か? 26年はトランプ政権の各種政策の影響が本格的に表れる。25年7月に成立した「One Big Beautiful Bill Act(OBBBA)」の減税措置により世帯当たり数千ドルの所得増が予想されることが景気の追い風となる。利下げなどの効果も期待される。 トランプ氏はさらに手を打つ。企業の食品価格のつり上げを監視し、医薬品メーカーには処方薬の薬価引き下げを求め、機関投資家による一戸建て住宅の購入禁止を打ち出した。さらに米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長への刑事捜査を開始した。同氏は利下げへの圧力だと強く反発している。 政権と人工知能(AI)ブームとの距離感も注目だ。最先端の技術領域で優位性を維持しているのは米国の最大の強みであるのは言うまでもない。今年もデータセンターなどへの設備投資が継続し、いずれは米国経済の生産性の向上に寄与することが期待される。 政権はAIブームの担い手である巨大テック企業を支援する。半導体輸出の容認、データセンター建設に関わる許認可、発電や送電インフラの拡張などがその代表例だ。政権には多くのテック企業出身者が参画する。