河合優実、最優秀主演女優賞を初受賞!「映画の世界に足を踏み入れてよかった」:第48回日本アカデミー賞|シネマトゥデイ
第48回日本アカデミー賞の授賞式が14日、グランドプリンスホテル新高輪で行われ、女優の河合優実(24)が、映画『あんのこと』で自身初となる最優秀主演女優賞に輝いた。
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『あんのこと』は、ある少女の壮絶な人生をつづった新聞記事に着想を得た、入江悠監督・脚本による人間ドラマ。河合は、機能不全の家庭で虐待の末に売春を強いられ、社会の狭間で薬物依存に苦しみながら生きる少女・杏役で主演。佐藤二朗、稲垣吾郎らと共演した。
ADVERTISEMENTデビュー以来、映画ファンの間でその存在感が評価されていた河合だが、2024年度はTBS系ドラマ「不適切にもほどがある!」で演じたヤンキー高校生・純子役でお茶の間でもブレイク。映画・ドラマ・CMに引っ張りだこの存在となり、映画『ナミビアの砂漠』のヒロイン役やアニメ『ルックバック』の声優としても絶賛され、まさに活躍の年となった。
満を持しての最優秀主演女優賞。ブロンズを手にした河合は「本当に、この度はありがとうございます。ちょっと信じられない気持ちで、この会場にいること自体も夢のような思いでいます。私は本当に未熟で新参者ですが、敬愛する大先輩の方々に囲まれて、この映画っていう世界に足を踏み入れてよかったなって、心の底から思っています」と感謝を述べる。
さらに「『あんのこと』という映画は、本当に言葉で言い表せないほど、自分のなかで特別な作品で、これから長い間……俳優を続けていきたいと思っているのですが、そのなかでも、きっとずっと自分の心に残り続ける、大切な作品になるだろうなと思っています。『あんのこと』という映画に人生の時間を貸してくれた全ての人に、あらためて感謝を伝えたいと思います」と思いを述べると、会場からは祝福の拍手。また、同作で優秀助演男優賞を受賞した佐藤は、河合の受賞を見守りながら指で目の下をぬぐい、さらにハンカチで涙を拭うような仕草を見せていた。
なお、本年度の優秀主演女優賞部門では、河合をはじめ、『ミッシング』の石原さとみ、『夜明けのすべて』の上白石萌音、『九十歳。何がめでたい』の草笛光子、『ラストマイル』の満島ひかりが優秀賞を受賞している。(編集部・入倉功一)
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第48回日本アカデミー賞授賞式が14日、グランドプリンスホテル新高輪で行われ、先日第2子妊娠を発表した女優の石原さとみが羽鳥慎一アナウンサーに体調を気遣われると、「大丈夫です! 元気です!」と輝く笑みを見せた。
この日、おなかが隠れるバーガンディのたっぷりとしたドレスをまとい、圧巻の美しさでレッドカーペットを歩いた石原。出産は今年の初夏を予定しており、3月いっぱいで産休に入ることになっている。
ADVERTISEMENT『ミッシング』での演技で優秀主演女優賞を受賞した石原は、同じ優秀主演女優賞受賞者である上白石萌音(『夜明けのすべて』)、河合優実(『あんのこと』)、草笛光子(『九十歳。何がめでたい』)、満島ひかり(『ラストマイル』)と共に登壇。石原にとって『ミッシング』は第1子出産後の復帰作であり、娘を失った母親・森下沙織里を体当たりの鬼気迫る演技で体現した。
自身について、不器用で実際に経験しないとわからないこともあると分析した石原は、「産後復帰作で“娘を失った母親”という役はつらかったのですが、自分の子供がいるということ、守るべき存在があるということが本当にポジティブに働いたなと思いました。沙織里の気持ちが痛いほど理解できました」と振り返る。重い役柄だが撮影中は没頭し、「あえて切り替えようとは思えなかったんです。全力で家族が支えてくれて、本当に感謝してもし切れないと思いました」とほほ笑んだ。
この日、羽鳥アナウンサーと共に司会を務めた女優の安藤サクラに伝えたいことがあったという石原。「(サクラさんは)産後復帰作が『万引き家族』だったじゃないですか。わたしは上の子が生まれた後、『ミッシング』の撮影前に観させていただいたんですけれども、産後復帰であの役をやられたというのが、本当に感銘を受けまして、背中を押されて、サクラさんみたいにわたしも挑戦しようと本当に思えたんです。『あの時乗り越えてくださって本当にありがとうございます』とお伝えしたかったので、うれしいです」と思いのたけをぶつけていた。(編集部・市川遥)
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第48回日本アカデミー賞授賞式が14日、港区のグランドプリンスホテル新高輪で行われ、藤本タツキ原作・押山清高監督の『ルックバック』が最優秀アニメーション作品賞に輝いた。
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『ルックバック』は、「少年ジャンプ+」で2021年7月に配信された読み切り作品が原作。漫画へのひたむきな思いでつながった、藤野と京本という2人の少女の創作にかける青春の日々と、運命を分かつ出来事を描き出し、クリエイターをはじめ多くのファンから注目を浴びた。
ADVERTISEMENT声優として、藤野役に河合優実、京本役に吉田美月喜と、才能あふれる若手俳優を起用。監督・脚本・キャラクターデザインを、スタジオジブリの『借りぐらしのアリエッティ』『風立ちぬ』や『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』など、数多くの話題作に主要スタッフとして携わってきた押山清高が担当した。
押山監督はこの日、『あんのこと』で優秀主演女優賞を受賞した河合、同作に参加したアニメーターの井上俊之と登壇。ブロンズを手に「栄誉ある賞、ありがとうございます。今日は河合さんの隣に立たせてもらって、久しぶりです。ありがとうございます」と感謝。
さらに「本当に、河合さんはじめ、ここに立っている井上さん……本当に何十年とアニメーション業界を支えてくださっている優秀なアニメーターです。アニメーションというのは、本当に技術でもってでないと映画が作れない表現。この作品に関わってくれたスタッフもそうなんですけども、日本のアニメーション業界を支えてくださっている多くのアニメーター、スタッフがいます。そういう人たちと共に作られた作品だとも思っています」と語る。
昨年は、宮崎駿(崎はたつさき)監督の『君たちはどう生きるか』が最優秀アニメーション作品を受賞。スタジオジブリの関係者からブロンズを渡された押山監督は「7年前、私は宮崎監督のもとで『君たちはどう生きるか』の原画マン、スタッフとして参加していました。その現場から離れる際、宮崎さんには『これからは自分たちの映画を作りに行きます』というふうにお別れのあいさつをしたので、7年後ではありますけども、ジブリさんからこういった賞を受け取れたっていうのは、すごい特別に感慨深い気持ちになっています。きょうは一日に二度もレッドカーペットを歩けるとは思っていませんでした。こういった場に立たせてもらい、ありがとうございました。皆様に感謝します。
ADVERTISEMENTまた、河合も「本当におめでとうございます。声を演じる前にアニメーションが送られて来たときから、本当に素晴らしい作品に心を奪われて、押山監督のアニメーションが皆さんに届くこと、世界の皆さんに届くことをすごくわくわくして待っていたので、こういう日を迎えられることをすごくうれしく思うと同時に、やっぱり……って気持ちもあって。私は『ルックバック』のことをとても誇りに思っていますし、関わりになった皆さんに敬意を表したいと思います」と祝福の言葉を送った。
同部門では、『ルックバック』をはじめ『がんばっていきまっしょい』『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』が優秀作品賞を受賞した。(編集部・入倉功一)
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第48回日本アカデミー賞授賞式が14日、グランドプリンスホテル新高輪で行われ、話題賞(作品部門)を受賞した映画『帰ってきた あぶない刑事』の舘ひろし(74)と柴田恭兵(73)が登壇した。
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劇中のタカ&ユージそのままにサングラスをかけてレッドカーペットを歩いた舘と柴田には、一際大きな歓声が。時折銃を構えるしぐさをするなど、さすがの存在感で会場を魅了した。
ADVERTISEMENT話題賞のプレゼンターを務めた俳優・山田裕貴(昨年の話題賞・俳優部門の受賞者)は大先輩の舘と柴田を前に緊張しながら、「先ほど失礼ながら年齢を調べさせていただきましたら、70歳を超えていらっしゃる……。それでいてあんなに軽妙なアクションをされ、バイクにまたがりショットガンをぶっ放されている。僕もそのような長く輝ける俳優になりたいとお二人を見て思いました。本当におめでとうございます」と祝福し、「お二人と共演できるように僕も頑張りたいです」と意気込んだ。
舘は「8年前に『さらば あぶない刑事』という作品でタカとユージはリタイアをしまして、ニュージーランドに行ったんですけど、それで終わるつもりが、帰ってきちゃって。詐欺のような形でこんな賞をもらって申し訳ないなという気持ちでいっぱいです。どうもありがとうございました」とユーモラスにスピーチ。
柴田は「会場に来たら先輩の役者さんが里見浩太朗さんと草笛光子さんお二人しかおらず、自分も年を取ったなと思いました」と笑いを取りつつ、「『あぶない刑事』が始まって40年くらいたちます。ずっと応援してくれる人たちがいました。正直、今回8本目の映画を撮ると言われた時に、僕びっくりしたんです。これまで7本も撮らせてもらってきたのか、と正直思ったんです」と打ち明ける。
ADVERTISEMENTだからこそ、今回の『帰ってきた あぶない刑事』はそんなファンにささげる映画にしたかったと柴田は言う。「8本目は絶対にファンの皆さんに喜んでもらえるような、楽しくて、おしゃれで、かっこよくて、ダンディーな映画にしたかった。娘風な太鳳さん(土屋太鳳)が登場して、とってもすてきな作品になって、大勢の人が、あぶ刑事ファンが、何度も何度も映画館に足を運んでくれました。そのおかげの話題賞だと思っております。本当にありがとうございました」とファンへの感謝を口にしていた。(編集部・市川遥)
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第48回日本アカデミー賞の授賞式が14日、グランドプリンスホテル新高輪で行われ、わずか1館のスタートから口コミで大ヒットとなったインディーズ映画『侍タイムスリッパー』が最優秀作品賞を受賞した。
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『侍タイムスリッパー』は、落雷に打たれて現代の時代劇撮影所にタイムスリップした会津藩士(山口馬木也)が、剣の腕を生かして斬られ役で生計を立てるさまを笑いあり涙ありで描くSF時代劇。2024年8月17日に池袋シネマ・ロサで公開されたのち口コミで話題を呼び、9月13日より大手シネコンでも上映開始となり300館以上に上映規模が拡大。公開から約7か月経った今も一部の劇場で上映が続いている。2024年の「ユーキャン新語・流行語大賞」にノミネートされるなど社会現象となり、新藤兼人賞で銀賞受賞、日刊スポーツ映画大賞では三冠(作品賞、監督賞、主演男優賞)を達成した。
ADVERTISEMENTステージに上がり、ブロンズを受け取った安田淳一監督は「本当に驚いております。いろんな方にしゃべってもらいたいので僕は少しだけ……」と語り出すと、声を詰まらせ涙ながらに「最後まで物事をあきらめずにやることを教えてくれた昨年死んだ父と、そして頑張っていれば誰かがどこかで見てくれているといつもおっしゃっていた福本清三さんに見せてあげたいです。本当にどうもありがとうございました」と自身の父、そして「日本一の斬られ役」として知られた福本清三さんの名をあげ、受賞に感謝。
劇中、助監督を演じた沙倉ゆうのも「『侍タイムスリッパー』を最優秀作品賞に選んでいただきまして本当にありがとうございます。たくさんの方に助けてもらってたくさんの皆さんの想いが詰まったこの作品を皆さんと一緒に作り上げることが出来たのが、本当にうれしくて幸せです。みんなといっしょにできたのが最高に幸せでした。ありがとうございます!」と感極まる。
そして、幕末からタイムスリップした主人公・高坂新左衛門を演じた山口は「心臓が飛び出るかと思いました」と驚きを口にし、「この映画はインディーズ映画でたった一館から上映されました。本当に最初は小さな小さな光でした。それを多くの方が手を貸してくださり、そしてお客様のおかげでこんなにきらきらした場所に立てております。この映画、何度も足を運んでくださったお客様がいまして、その方に聞いたら映画館にキャラクターたちに会いに来るような気分で何回もくるんだとおっしゃっていました。こんなにうれしいことはありません。この映画が与えてくれたすべてのことが折に触れ今後自分のかえる場所になると思います。そのきっかけを与えてくれた安田監督、本当にありがとうございます。そして応援してくださった皆様、本当にありがとうございました」と頭を下げた。
ADVERTISEMENT同作は編集賞(安田淳一)も受賞。最多受賞は『キングダム 大将軍の帰還』で、最優秀助演男優賞(大沢たかお)、最優秀撮影賞(佐光朗)、最優秀照明賞(加瀬弘行)、最優秀録音賞(横野一氏工)の4部門で受賞。次点が『正体』で最優秀監督賞(藤井道人)、最優秀主演男優賞(横浜流星)、最優秀助演女優賞(吉岡里帆)の3部門受賞だった。
なお、今年より特別賞の新賞として「主題歌賞」を設立。その年の最も印象に残る主題歌を担当したアーティストを表彰するもので、初の受賞者が Mrs. GREEN APPLE「Dear」(映画『ディア・ファミリー』)に決定したことが10日に発表されている。
主な受賞結果は以下の通り。(編集部・石井百合子)
■最優秀作品賞(各項五十音順 アルファベット順一部除く) 『侍タイムスリッパー』
■最優秀アニメーション作品賞 『ルックバック』
■最優秀監督賞 藤井道人『正体』
■最優秀脚本賞 野木亜紀子『ラストマイル』
■最優秀主演男優賞 横浜流星『正体』
■最優秀主演女優賞 河合優実『あんのこと』
■最優秀助演男優賞 大沢たかお『キングダム 大将軍の帰還』
■最優秀助演女優賞 吉岡里帆『正体』
ADVERTISEMENT■最優秀撮影賞 佐光朗『キングダム 大将軍の帰還』
■最優秀照明賞 ※撮影賞に準ずる 加瀬弘行『キングダム 大将軍の帰還』
■最優秀音楽賞 世武裕子『カラオケ行こ!』
■最優秀美術賞 三浦真澄『はたらく細胞』
■最優秀録音賞 横野一氏工『キングダム 大将軍の帰還』
■最優秀編集賞 安田淳一『侍タイムスリッパー』
■最優秀外国作品賞 『オッペンハイマー』
■新人俳優賞 齋藤飛鳥『【推しの子】-The Final Act-』 渋谷凪咲『あのコはだぁれ?』 山田杏奈『ゴールデンカムイ』『正体』 赤楚衛二『六人の嘘つきな大学生』『もしも徳川家康が総理大臣になったら』 板垣李光人『八犬伝』『はたらく細胞』『陰陽師0』 越山敬達『ぼくのお日さま』 齋藤潤『カラオケ行こ!』
森本慎太郎『正体』
■話題賞 作品部門:『帰ってきた あぶない刑事』 俳優部門:森本慎太郎
(※新人俳優賞、話題賞は最多受賞数に含まず)
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第48回日本アカデミー賞授賞式が14日、グランドプリンスホテル新高輪で行われ、新たに設立された主題歌賞を受賞したMrs. GREEN APPLEが映画『ディア・ファミリー』の主題歌「Dear」をパフォーマンスした。
【フォトギャラリー】Mrs. GREEN APPLE3人揃ってレッドカーペット闊歩!
主題歌賞は、2024年対象作品の中で映画に顕著な貢献をしたアーティストに贈られるもの。心臓の機能をサポートする医療器具・IABP(大動脈内バルーンパンピング)バルーンカテーテルを開発した筒井宣政氏の実録ドラマである『ディア・ファミリー』の主題歌「Dear」は、ボーカル/ギターの大森元貴が、事前に作品の資料や映像を見て得たエネルギーや生きる活力を込めて書き下ろした楽曲だ。
ADVERTISEMENTバンドを代表してマイクの前に立った大森は「この度はこのような素晴らしい賞を頂けたこと大変光栄に思っております。そして同時に、とても身の引き締まる思いです。たくさんの方々の協力の下、丹精込めて作り上げられた映画の決して邪魔はしてはいけない、この映画に関わったすべての方々に最大のラブレターを送るつもりで精いっぱい真心を込めて作らせていただきました」と真摯にコメント。
「『ディア・ファミリー』という映画は実話を基にした作品でありまして、ご家族の方々、そして大泉洋さんをはじめとする素晴らしいキャストの皆さま、心を込めて支えてくださったスタッフの皆さまがいてこそ、愛情たっぷりに仕上がった作品だと感じています。わたしたちにとってもこの映画は本当に大切で、とても大好きな映画です」と思い入れの深さを明かす。
「あらためて今回はこのような素晴らしい賞、自分たちの糧となる、今後の自信となる賞を頂けて、心より感謝申し上げます。今後もまず自分たちが素晴らしいと胸を張って言える作品を作っていきたいと思っています。精進していきます。本日は誠にありがとうございました」とスピーチを締めくくり、拍手を浴びた。(編集部・市川遥)
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第48回日本アカデミー賞の授賞式が14日、グランドプリンスホテル新高輪で行われ、優秀主演女優賞を受賞した5人を紹介する場で満島ひかりが司会・安藤サクラの言葉に感激して涙を流す場面があった。
優秀主演女優賞を受賞したのは満島のほか石原さとみ、上白石萌音、河合優実、草笛光子。満島は、59.6億円のヒットをたたき出した『ラストマイル』で主演。TBSの人気ドラマ「アンナチュラル」「MIU404」の塚原あゆ子監督と脚本・野木亜紀子、プロデューサー・新井順子が集結したサスペンスで、満島は巨大物流倉庫のセンター長に着任早々、未曽有の事態に巻き込まれる主人公を演じた。
ADVERTISEMENT最優秀主演女優賞の発表を前にしたトークの場面では、満島が「作品の中に『アンナチュラル』と『MIU404』が入っていて、なおかつ主人公が“あなたがいなくてもいい、わたしの代わりがいる誰か”そういったことが描かれていて、あまりの情報量で、ちょっと全然追いつかなくて。ほぼあまり理解できないまま撮影が始まっちゃったっていう」と苦戦した撮影を述懐。
そんな満島に対して安藤はすかさず「わたしは映画が始まってひかりちゃんが出てきて、大興奮したんですよね。よっしゃーって。すぐに連絡して。凄く胸がいっぱい」と感銘を受けたことを明かすと、満島は感激のあまり「わたしはもう多分、誰よりもサクラちゃんに褒められるのが無理……めっちゃうれしい」と涙を浮かべ、「すごい長いメールが来て。ラブラブラブラブ……っていう文字がいっぱいあって」と感謝。安藤も目に涙をためて「かっこよかったです」と賛辞を贈っていた。
満島と安藤は、2009年に公開された園子温監督の映画『愛のむきだし』で共演。満島は盗撮魔の主人公・悠(西島隆弘)と数奇な運命で絡み合う女子高生・洋子に。安藤は悠の前に立ちはだかる新興宗教団体の幹部を怪演していた。(編集部・石井百合子)
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第48回日本アカデミー賞授賞式が14日、東京・港区のグランドプリンスホテル新高輪で行われ、石原さとみをはじめ、河合優実、満島ひかり、芦田愛菜、土屋太鳳、齋藤飛鳥ら豪華女優陣が華麗なドレス姿で会場を彩った。
『ミッシング』で優秀主演女優賞を受賞した石原は、この日が第2子妊娠発表後初の公の場となった。胸元がざっくりと開いたドレスを着こなし、レッドカーペットを闊歩。授賞式中、司会の羽鳥慎一アナウンサーから体調を気遣われると「大丈夫です! 元気です!」と微笑んだ。石原は、3月いっぱいで産休に入ると発表している。
ADVERTISEMENT映画『あんのこと』で最優秀優秀主演女優賞を初受賞した河合は、光沢感あるノースリーブのドレスで出席。上白石萌音(『夜明けのすべて』)と満島ひかり(『ラストマイル』)は着物姿で、草笛光子(『九十歳。何がめでたい』)は純白ドレスで会場を魅了した。
優秀助演女優賞の芦田愛菜(『はたらく細胞』)は、肩を出したシックなロングドレスで大人っぽさを表現。山田杏奈(『正体』)は背中が大きく開いた大胆なドレスで登場した。
また、新人俳優賞の齋藤飛鳥(『【推しの子】-The Final Act-』)は大人っぽさ全開の和装姿を披露。渋谷凪咲(『あのコはだぁれ?』)は、デコルテを大胆に露出した白のドレスで観客を魅了した。(藤田良太)
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ニコラス・ケイジがキャリア史上、初めて連続殺人鬼を演じた映画『ロングレッグス』(全国公開中)。観る者の脳裏に焼きつくような強烈なビジュアルと狂気の演技によって誕生したホラーアイコンについて、本作の監督オズグッド・パーキンスが誕生秘話を明かした。(ネタバレ注意。以下、映画の内容に一部触れています)
1990年代半ばのオレゴン州で起きる連続一家殺人事件の謎を追う本作。FBIの新人捜査官リー・ハーカーは、30年間で10回発生した一家惨殺事件の捜査を任される。それは、突如として妻子を殺害した父親が、自ら命を絶つという不可解な事件だった。家族以外に侵入者の痕跡はなかったが、現場には“ロングレッグス”という署名付きの暗号文が残されていた。ハーカーは少ない手がかりを頼りに真相を追うが、やがて事件は恐るべき方向へと進んでいく。
ADVERTISEMENT数々の強烈なキャラクターを演じてきたケイジだが、連続殺人鬼“ロングレッグス”のインパクトは群を抜いていると言えるだろう。前半は姿なき殺人鬼としてハーカーを心理的に追い詰めていき、ついに姿を見せたその風貌に、ケイジの面影は全くない。
不自然にふくれあがった顔面にくすんだ灰色の長髪、それにロックスターのような青白いメイクや服装のアンバランスさが、見ている者の不安を掻き立てる。そのビジュアルは、パーキンス監督が「私にとって究極の存在」というボブ・ディランから来ているという。
「1975年の“ローリング・サンダー・レヴュー”時代のボブ・ディランがビジュアルの出発点でした。ルー・リードやデヴィッド・ボウイの要素も少し入っていますけどね。脚本の段階から明確なイメージがあって、(当時のボブのように)青白い顔のメイクをしていると最初から書いているんです」
そして、もうひとつの要素が整形手術。かつて劣悪な手術を重ねたという設定の彼の顔は、ほほや鼻が不自然に盛り上がり、肌もぼろぼろだ。「顔に“恥”が刻まれている人物を表現したかったんです。彼は、かつて別の人生を生きていたが、ある日“何か”に取り憑かれてしまった。その“何か”を悪魔と呼ぶのか、不運と呼ぶのか、負のエネルギーと呼ぶのか、それは人によって違うでしょう。 とにかく、確実に何かに取り憑かれてこうなってしまった。そして、彼自身もそのことに嫌悪感を抱いている。それを表現するために、手術を受けた自分の見た目に後悔しているように見える、歪んだ顔が必要だったのです」
ADVERTISEMENT その全貌は…ニコラス・ケイジが演じるロングレッグス(C) MMXXIII C2 Motion Picture Group, LLC. All Rights Reserved.ロングレッグスのキャラクター自体は、パーキンス監督が別の作品にのために考案したキャラクター。「はるか以前から、物語を書いたり、コンセプトやアイデアに取り組むたびに、“ロングレッグス”のような存在が自分の周りをうろついているような感覚がありました。その発想の原点には、私が3人の子供の父親であることと関係しています」
「親になると、子供の“誕生日パーティー”の世界に足を踏み入れることになります。自分の子供のためだけはなく、その友達のパーティーにも招かれる。そのうちに、パーティーにやってくるパフォーマーの存在が気になるようになりました。ピエロ、手品師、バットマンや『アナと雪の女王』のエルサの衣装を着た人なんかを親が雇うわけです。私は物事を少し違った視点で見るタイプで、ある時から、こうしたパフォーマーたちが気になるようになってきた。特に印象的だったのは、息子の誕生日パーティーに来たあるピエロの女性でした。とても良いパフォーマーでしたが、パーティーの後、荷物を車まで運ぶのを手伝ったときに、彼女がほぼ車上生活をしていることに気づきました。衣装は汚れていて、何とも言えない感情が湧き上がったのを覚えています。理由はわからないけれど、それはとても人間的な光景だったのです」
ADVERTISEMENT「そこから、誕生日パーティーのパフォーマーのような人物。しかし、どこかズレていて、不穏な雰囲気を漂わせている……こうしたイメージが生まれ、やがてロングレッグスにつながる要素が生まれていきました」。本作では、ロングレッグスが子供に話しかける印象的な場面から幕を開けるが、「彼は子供の母親と話すことに興味があるわけではない。ただその女の子に話しかけ、写真を撮り、彼女のためにパフォーマンスをする。それが彼の目的なんです」
「そうしてアイデアの種が芽吹いてからが、作家としての本番です。あとは、そのキャラクターが本来持つものを削り出し、形にしていく作業になります。ミケランジェロが言ったように、石の塊の内部に彫像を発見したら、あとはそれを削り出すだけ。監督や作家の仕事は、作品が成長する過程でそれを適切に形作ることだと思います。 彫刻のように、余計な部分を削り、より完成度の高いものへと導いていく。ロングレッグスの特殊メイクも、最初のテスト段階では『過剰すぎる』と感じたので、不要な部分を削ぎ落とし、より洗練された形になっていった。そうしたプロセスを経て、ロングレッグスのビジュアルが誕生したのです」(編集部・入倉功一)
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