ダム貯水率ついに「0%」 新米の価格どうなる?

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とうとうダムの貯水率は0%に。深刻な水不足で新米の価格に影響は?

■水不足 ダム貯水率「0%」

 31年ぶりの記録的な水不足。貯水率は29日、0%に。水不足で干上がった水田、ようやく下がり始めたコメの価格。影響はあるのでしょうか。

 宮城県大崎市、市街地から車を走らせること50分。1957年に完成した東北で初めてのアーチダム「鳴子ダム」に着きました。

 過去には「すだれ放流ライトアップ」と銘打ち、すだれのように豪快に放流される水を幻想的な光が照らす観光地としても人気のダムです。

 そんなダムが、31年ぶりの事態となっています。

 記録的な猛暑となっている東北。仙台では8月を前に年間猛暑日日数は過去最多となるなど、異例の暑さとなっています。雨の量も少なく平年の10%ほどとなっています。猛暑と雨不足。貯水率は危機的な状況です。

■猛暑日の地点“史上最多”

 全国の猛暑日地点数が統計史上最多となった列島。過去経験のない猛暑が続いています。

 宮城県大崎市にある鳴子ダム。これは貯水率100%だった2021年の映像。豊富にたまった水が、豪快に放流される様子は圧巻です。

 過去10年の平均貯水位。それが今年は徐々に減っていき29日、最低水位を下回り貯水率は0%になりました。

 青々と水が豊富だった時期と比べると、遠目にも見える岩肌が水位の低さを物語ります。奥に見えるダムにつながる川も両岸の土がしっかり見え、川幅がかなり狭くなっているのが分かります。

 東北地方整備局は、通常は行わない最低水位以下の水の緊急放流を31年ぶりに行っています。

鳴子ダム管理所 小嶋光博所長 「緊急的な措置。(今は)ダムの水を下げて台風の襲来に備える時期で、土が見えるのが正しい姿だが、それにしても下がりすぎ。鳴子ダムの目的3つ、洪水調節、発電、灌漑(かんがい)用水、下流の田んぼに水を回すこと、まさに今、田んぼが一番水を必要としている時期。(田んぼに)水を切らさないように供給している」

 気になるのは、コメへの影響です。ダムの水を利用するコメ農家、蕪栗グリーンファームの齋藤浩子さん。稲作に多くの水が必要となる出穂期ですが…。

「(水が)やっときた。全開だが2〜3割の水の出、(通常は)あふれるくらいジャバジャバ。1週間ほど前に水を管理しているところに電話した。この日照りですぐ乾いて無くなる状態。(水が)きょうやっときた。全然足りない。やっと穂が出始めた。今、本当に水がほしい時期。この気温なので、常に水が奥までいってほしい。最低5〜7センチくらいほしい。(水が)根元ぎりぎり」

 田んぼの奥のほうへ行くと。

 しばらく、まとまった雨の予報は出ておらず、影響は避けられそうにありません。

「水分が届かなくて、土も乾くので(地面が)割れる。割れると同時に一生懸命はった根が切れる。そうなると収穫は見込めない。水がこない、気温35℃以上が続くと、うちの田んぼも危ない。本当に涙が出るくらい水がほしい」

 コメの価格は、ようやく落ち着いてきた矢先です。最新のコメの平均価格は9週連続で値下がりました。政府も水不足を注視しています。

小泉農水大臣 「一部で水不足に対する懸念、こういったことも相当出ているのは事実。今まで以上にしっかりと現場の状況をスピード感をもってつかんでおくことが農水省に求められると思う」

 価格はどうなるのでしょうか…。

宇都宮大学 農学部 松平尚也助教 「今年農家が主体となり、全国的に増産の見込み。ただ、この記録的に早い梅雨明けと、その後の高温少雨で生産量が減る可能性も。一部の銘柄米の価格が高止まりする可能性もある」

 ただ、コメのできが分かるのは早くてお盆すぎ。

米流通評論家 常本泰志氏 「(例えば新潟では)全体が見えてくるのが、8月の盆すぎ、20日すぎくらい。田んぼに穂が垂れてるか見れば『実がついてるよね』となる。そこまでいかないと最終分からない。長くやってる業者社長も『どれだけ悪くても1割減』と話す」


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