自転車ヘルメット着用率が急伸 1位愛媛は70%超と浸透、ワーストは大阪「面倒くさい」
自転車利用時のヘルメット着用が改正道交法施行により努力義務となって3年。着用率は全国的に伸びているが、地域差も顕著となっている。最も高い愛媛が70%を超える半面、最低の大阪は9.5%と3年連続でワーストに。努力義務化以降、着用率が大きく向上した自治体もあるが、推進させる鍵はどこにあるのか。心理学の専門家は「周囲の状況が大きく影響する」と指摘する。
警察庁によると、今年6月に実施された調査で、全国の自転車利用時のヘルメット着用率は24.4%。都道府県別では愛媛(70.6%)が最も高く、大分(63.4%)、福井(62.3%)と続いた。
逆に大阪(9.5%)が最も低く、滋賀(9.7%)と愛知(10.3%)がワースト3の府県となった。
※ 調査地1:駐輪場が整備された駅周辺(午前7:30-8:30)
※ 調査地2:商業施設等の周辺(午後3:00-4:00)
改正道交法が施行された令和5年の調査では全国の着用率は13.5%。年々着用率は上がっている。都道府県ごとに見ても、ほとんどの自治体で数字を伸ばし、大阪も3年連続ワーストとはいえ、5年の4.2%から徐々に状況は改善している。
今年だけでなく5年の調査から4年連続でトップを維持したのは愛媛だ。何が要因となっているのか。
愛媛県によると、サイクリングで観光PRをしていることもあり、全国の動きに先立つ形で、平成25年にヘルメット着用を励行する県の条例を制定。その後、通学中の高校生が死亡した事故をきっかけに、27年からは県立高全てで通学時のヘルメット着用を校則で義務化した。
さらに29年までの3年間はヘルメットを無償で配布したといい、愛媛県の担当者は「もともと着用率は低かったが、一連の取り組みを通じて徐々に浸透した」と振り返る。現在は高齢者の着用率が伸び悩んでいるため、昨年度から65歳以上を対象にした購入費の補助事業も進める。
着用率伸びた福井…大阪「必要性感じない」も
この3年間で大きな変化が起きたのが福井だ。今年は62.3%で3番目に着用率が高かったが、令和5年の調査ではわずか6.8%に過ぎず、37番目だった。
福井県県民安全課によると、警察や教育委員会が協議を重ねて、今年4月から県立高校で自転車通学時のヘルメット着用を義務化した。そのほか着用を促す動画の作成などの取り組みを展開しており、担当者は「着用率の向上を実感している。今後もヘルメットの重要性を広く呼び掛けていく」としている。
一方、大阪はなぜ低迷しているのか。府が令和4年に実施したアンケートでは、ヘルメットをかぶらない理由として「面倒くさい」に加えて「必要性を感じない」との回答も目立った。
ただ、大阪府警によると、3~7年に自転車乗車中の死亡事故は152件発生し、うち頭部損傷が致命傷となったのは実に6割を占める。ヘルメットを着用していながら死亡したのはわずか7人。必要性は数字で裏付けられている。府警の担当者は「1人でも多くの利用者にヘルメットの重要性を伝えていきたい」と、有効性をアピールする活動を各地で行っている。
「地道に定着を」
調査地1 駐輪場が整備された駅周辺(午前7:30〜8:30)
調査地2 商業施設等の周辺(午後3:00〜4:00)
社会心理学に詳しい奈良大の村上史朗教授は「ヘルメットを着用するかどうかは周囲の着用状況に大きく影響される」と指摘する。
一気に着用率を向上させるのは困難だとした上で、「自転車販売店といった民間企業とも協力しながら重要性を伝え、地道に定着させていくほかないだろう」と話している。(堀口明里)