イラン「シャヘド戦争」で、ドローンメーカー各社に「空前の商機」到来…の一方、中国の動向に懸念も(海外)(BUSINESS INSIDER JAPAN)
中東域外の迎撃ドローンメーカー各社はBusiness Insiderに対し、過去1週間でデモンストレーション(実演)の依頼や購入の問い合わせが急増していると明かした。アメリカとその同盟国がイランの徘徊型兵器(ターゲットの上空を待機・徘徊して攻撃する自爆型ドローン)への対応に追われているからだ。 「以前は月に1、2回程度だった中東からの問い合わせが、開戦後は毎日来るようになった」 そう語るのは、ノルディック・エア・ディフェンス(Nordic Air Defense)の事業開発ディレクター、イェンス・ホルツァプフェル(Jens Holzapfel)氏だ。スウェーデンのスタートアップである同社は、プロペラ駆動型の迎撃ドローン「クルーガー100XR(Kreuger-100XR)」を開発しており、現在ウクライナで実証テストを行っている。 各社によると、ヨーロッパ各国からもコンタクトはあるものの、新たな問い合わせは湾岸諸国の政府や各国の国防省と連携する機関から寄せられるものが圧倒的に多いという。
台湾のトロン・フューチャー(Tron Future)の広報担当ミーシャ・ルー(Misha Lu)氏によれば、4つのプロペラを持ち、敵に体当りして破壊する使い捨てのクワッドコプター迎撃機や、空中で網を撃ち出して墜落させるネット発射ドローンなど、同社の対ドローン製品に対する海外からの問い合わせは、開戦以来「事実上、倍増している」という。 ルー氏によると、ほぼすべての見込み客が、空港や送電網といった重要インフラを守る手段を求めているとのことだ。 また、購入希望者の関心が、ジャマー(電波妨害装置)による対ドローン対策から、爆発物や物理的な力でドローンを直接破壊する「ハードキル(物理的破壊)」ソリューションへと大きくシフトしていることも明らかにした。 ハードキル型対ドローン技術への需要が高まっているのは、イランが湾岸地域のアメリカとその同盟国に対し、何千機もの自爆型ドローン「シャヘド(Shahed)」を発射し続けているからだ。この徘徊型兵器の一部は防空網をかいくぐり、アメリカ軍施設などの標的を攻撃することに成功している。 シャヘドの脅威に対する防空において、最大の懸念事項となっているのが「コスト」と「数量」だ。従来の空対空ミサイルや地対空ミサイルは供給量が限られており、1機あたり2万〜5万ドル(319万〜797万5000円、1ドル=159.5円)のシャヘドを迎撃するために大量に使うには、あまりにもコストがかかりすぎるのだ。
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一方、ウクライナ以外の国の迎撃ドローンメーカーにとっては、この突然の需要増はあまりにも巨大で、大多数の企業は急増する引き合いに対応しきれるかどうか確信を持てずにいる。この技術自体がまだ比較的新しいため、生産ラインを十分に構築しきれていない企業もいるからだ。 ラトビアに拠点を置くオリジン・ロボティクス(Origin Robotics)のCEO、アギルス・キプルス(Agirs Kipurs)氏はBusiness Insiderの取材に対し、同社はすでに既存の契約履行に取り組んでおり、「需要のごく一部」にしか応えられない可能性があると語った。 「我々は生産規模を拡大し、生産体制をフル稼働させる準備を進めている段階のため、当然ながらすべての要請に応えることはできない」とキプルス氏は述べた。同社はウクライナに配備されているドローンや、北大西洋条約機構(NATO)軍が使用する自律型迎撃機を製造している。 また、チェコのTRLドローンズ(TRL Drones)は最近、ウクライナで使用されている固定翼の迎撃ドローン(短距離用ドローンと、より大型のジェット推進システム)に対する引き合いが1日に複数件寄せられている、と同社の担当者イジー・ヤノウシェク(Jiří Janoušek)氏は明かした。 彼によると、TRLドローンズは新たな引き合いに対応すべく生産能力を増強しているものの、「舞い込んでくる案件を慎重に優先順位をつけざるを得ない」状況にある。具体的には、自社が求める運用要件を把握し、迅速に取引を進められる顧客を優先しているとのことだ。 「ウクライナに対する支援は引き続き我々の最優先事項であり、生産能力の一部はそのために充てている」とヤノウシェク氏は付け加えた。
台湾企業トロン・フューチャーのルー氏も、寄せられるすべての引き合いに「全力で対応中」だが、まだ生産規模を拡大している途上にあると語っている。 彼によれば、台湾や東アジアからの需要も最近になって倍増しており、台湾の法執行機関や軍事機関からの引き合いはすでに2桁(数十件)に達しているという。 ルー氏は、「Loong M9」や「Feilong 300D」といった中国独自のデルタ翼(三角翼)ドローンに対する懸念があると語る。いずれもイラン製の自爆ドローン「シャヘド136」に告示している。 中国の産業界は長年、ウクライナ戦争の当事国双方(ロシアとウクライナ)にドローンの部品を長年供給してきた。そのため、人民解放軍は確実にウクライナの戦場から学んでいるはずだとルー氏は指摘し、次のように語った。 「もし台湾有事が起きた場合、さまざまなクラスの低価格ドローンがミサイルと入り混じって飛来するという、イラン戦争と同様の『飽和攻撃』が展開されることになるだろう」
Matthew Loh,Sinéad Baker