BAT生産を打診、トゥスク首相も好機だと発言
ポーランドのトゥスク首相は16日「シールドAIがF-16エンジンの地域整備拠点を構築すると提案してきた。同社の真の狙いはポーランドと協力してX-BAT計画に向けた生産体制を構築するという点だ。これは武力紛争下において我が国が航空優勢を確立するための決定的な好機となる」と言及した。
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シールドAIは2015年に設立されたAI技術を核とする米防衛スタートアップ企業で、特に通信やGPS信号が拒否された環境下での自律運用分野で伝統的な防衛企業を上回っており、XQ-58、MQM-178、MQ-20、FQ-44Aなどの無人機もシールドAIのAI技術で制御され、国防総省、米空軍、米海軍、シンガポール空軍、ボーイング、ノースロップ・グラマン、L3ハリス、エアバス、韓国航空宇宙産業、LIG D&AなどもAI技術に関してシールドAIと提携している。
さらにシールドAIはV-Batで有名なマーティンUAVを買収して無人機市場にも参入を果たし、2025年10月に垂直離着陸が可能な無人戦闘機=X-BAT開発計画を発表して注目を集めた。X-BATは複雑なシステムなしで垂直離着陸が可能、エンジンのアフターバーナーだけで垂直離着陸に必要な推力対重量比を達成できる、搭載武器を放棄することなく垂直着陸が可能、フェリー飛行状態ではなく武器を搭載した状態で最大3,700kmを飛行可能という一見野心的で実現性に疑問を抱かせる特性を備えているが、X-BATはアプローチが革新的なだけで構成技術はどれも成熟されたものばかりだ。
X-BATはV-Batと同じように機体の向きを変更することで固定エンジン1基(F110)で垂直離着陸と水平飛行を実現するため、F-35Bのようなリフトファンとジェット推力を下方に偏向させる特殊な排気ノズルが不要で、X-BATが実現するかは「新しい技術の開発」ではなく「成熟された各技術を上手く統合できるかどうか」に、X-BATが防衛ビジネスとして成功するかは潜在的な顧客を確保できるかどうかに懸かっており、ポーランドのドナルド・トゥスク首相は16日「シールドAIからX-BATの生産を打診された」と明かした。
トゥスク首相は米産業界との協力の可能性や、防衛産業に関連したポーランドへの投資について語った中で「シールドAIがF-16エンジンの地域整備拠点を構築するという非常に興味深い提案を行ってきた。同社はこれをポーランドに設置することでNATO諸国全体を支える拠点にしたいと考えている」「さらに特筆すべきは同社の真の狙いがポーランドと協力してX-BAT計画に向けた生産体制を構築するという点にある」「これは世界初となる自律型戦闘機であり、いわばF-35の無人機版とも呼べる機体だ」「これは最高峰の先端技術であり、武力紛争下において我が国が航空優勢を確立するための決定的な好機となる」と言及。
Reutersも「ポーランドはシールドAIからX-BATの生産を打診された」「X-BATはF-15やF-16に使用されているF110を使用する予定だ」「シールドAIはF-16エンジンの地域整備拠点をポーランドに構築したとも提案した」と報じ、Defense Newsも「ポーランドはX-BAT計画への参加を検討している」「これはF-35A追加導入を検討している中での出来事だ」と報じ、X-BATは2026年後半にプロトタイプの初飛行、2028年にミッション能力達成、2029年に生産開始が予定されており、ポーランドのF-35A追加導入の判断に影響を及ぼすかもしれないという意味だ。
出典:Ministerstwo Obrony Narodowej
ポーランドのF-35A追加導入に関する手続きが本格化するのは暫く先の話(2025年~2039年をカバーする軍事力開発計画の一部)で、X-BATにしても実機が存在しないため何とも言えない状況だが、ポーランド産業界が製造に関与できるという提案はトゥスク政権にとって魅力的であり、X-BATがF-35AやF-16C/Dの能力を拡張して航空戦力の規模と作戦効率の点で「ポーランド空軍のニーズを満たせる」と判断できれば、F-35A追加導入からX-BATに乗り換える可能性もゼロではない。
米空軍もFQ-42AやFQ-44AなどのCCAを1,000機~2,000機調達する予定で、そうなれば「CCAが登場する以前に計画された1,763機調達」は下方修正される可能性が出てくるものの、まだFQ-42AやFQ-44Aは実運用で結果を残せていないため想像の域を出ないが、一般的に考えてCCAやX-BATのような無人戦闘機の役割が拡大すれば有人戦闘機のニーズが減少すると考えるのが妥当だろう。
出典:Shield AI
問題はそのパラダイムシフトがいつ起るかで、無人機開発に流れ込む巨額の投資や開発スピードを考えると10年先や20年先の話ではないように思えてしまう。
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※アイキャッチ画像の出典:Shield AI