米裁判所の関税差し止め、トランプ氏は代替措置が可能-ゴールドマン
- 通商拡大法232条、通商法122条など政権に手段-フィリップス氏
- 「米国の主要貿易相手国にとって最終的な結果は変わらない可能性」
米国際貿易裁判所はトランプ大統領の世界的な関税の多くについて差し止めを命じたが、同大統領の貿易政策にとっては一時的な後退に過ぎず、他の税制措置で埋め合わせることが可能だ。ゴールドマン・サックス・グループのアナリストが指摘した。
ゴールドマンのエコノミストは29日の顧客向けリポートで、判事が差し止めを命じたのは今年発表された6.7ポイントの上乗せ関税で、ホワイトハウスはこれを補うため他の関税手段を活用する可能性があると論じた。
このリポートで米国政治担当チーフエコノミストのアレック・フィリップス氏は「今回の判決はトランプ政権の関税計画にとって後退を意味し、不透明性を増す。だが、米国の主要貿易相手国にとって最終的な結果は変わらないかもしれない」との見解を示し、「現時点で、トランプ政権は関税を課す別の方法を見いだすと予想している」と続けた。
代替策としては、鉄鋼やアルミニウム、自動車への関税賦課で根拠とされた通商拡大法232条の利用などがある。現在保留されている全ての調査が25%の関税賦課という結果になり、それが現行の関税に上乗せされる場合、それだけで関税率を7.6ポイント押し上げるだろうとフィリップス氏らは試算した。
国際貿易裁判所の3人の判事から成るパネルは、トランプ氏が一部の関税措置を正当化するために国際緊急経済権限法(IEEPA)を適用したのは不当だとする民主党主導の州や中小企業グループの主張を全員一致で支持した。ホワイトハウスは既に控訴した。
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トランプ氏には関税賦課に向け、取り得る別の手段もある。通商法122条を根拠に最大15%の関税を150日間適用することや、同法301条に基づき調査を開始することが可能だ。ただ、いずれも施行までに比較的長い時間がかかる。
フィリップス氏は、裁判所の判断が議会で審議中の財政パッケージに大きな影響を及ぼすとはみていない。「関税収入はそもそもこのパッケージの財源に入っておらず、議員の多くはこの2つを明確に関連付けてはいなかった」と説明した。
原題:Goldman Says Trump Can Offset Tariff Ruling With Other Tools (1)(抜粋)