リアル”顔パス”。顔や手のひらが鍵になる最新スマートロック「セサミ Face Pro」先行レビュー
スマートロックの進化は目覚ましく、今や鍵を持ち歩かなくても家に入れる時代になった。今回は、Candy House社から新たに登場した「セサミFace Pro」を実際に使用してみたレビューをお届けする。衝撃プライスで登場した、顔認証と手のひら静脈認証という先進技術を搭載したこの製品が、日常生活をどう変えるのか、詳しく見ていこう。
スマートロックのある生活と日常での活用
僕の家ではセサミタッチPro+SESAME 5の組み合わせを愛用している。SwitchBotスマートロック派も大勢いる中で、僕はセサミ派だ。実は一度SwitchBotに乗り換えたものの、「やっぱりセサミのほうがいいな」と実感したことに加え、スマートホーム製品と自宅の鍵は意図的に分けたいという思いもあり、スマートロックは意識的にセサミを選んでいる。
SESAME 5の魅力はセサミタッチProと組み合わせることで発揮する。指紋認証の精度の高さもさることながら、Apple WatchやiPhoneに内蔵されたSuicaを使った認証が圧倒的に便利。一瞬で認識してくれるため、ドアの取っ手を握りながら手首をかざせば瞬時にダブルロックが解除され中へ入れる。小虫や蚊の侵入を防ぎたい温かい季節では特に重宝する。
しかし一方で、小学生と幼稚園児の子どもを持つ父親としては、両手が塞がってしまい手首を物理的にかざせないことが稀にある。2人を抱っこしないといけないとき。両手に荷物を抱えているとき。最近ではSuicaを登録しているApple Watchを付けておらず、iPhoneを忘れてしまったことがあり、幸いにも中にいた家族に向けてドアをバシバシ叩き事なきを得たが、万が一誰も居なかったと思うとぞっとする。いわゆるスマートロック締め出しというやつ……。
身一つでドアの鍵を開け締めできたら……意外と便利かもしれない。そう思った矢先にセサミの開発元であるCandy Houseから天才的な新製品「セサミFace Pro」と「セサミFace」が登場した。メーカーより先行して製品を提供してもらったので、紹介させてもらおう。
左から:ナンバーパッドの無い「セサミFace」、ある「セサミFace Pro」
セサミFace Proは「セサミタッチProの上位モデル」として位置づけられている。セサミタッチPro と同じスリムさ、薄さ、小柄さを維持しながらも、機能面で大幅な強化が図られている。
セサミタッチProは、最大16桁のパスワード設定や指紋認証、ICカードリーダー機能を備えた製品で、最大100通りのパスワードや100枚の指紋、1000枚のカードが登録可能なスマートロックだ。防水防塵仕様(IP65)で、3Mテープで簡単に取り付けられる特徴がある。
一方、セサミFace Proは、これらの基本機能を継承しつつ、より高度な生体認証技術を搭載。顔認証と手のひら静脈認証という2つの先進的な認証方式を導入した点が大きな違いだ。
なおセサミFaceは、セサミFace Proのパスコード(暗証番号)機能無しモデル。セサミタッチProとセサミと同じような関係性となっている。
製品の概要と特徴
高度な生体認証システム
カメラモジュールが追加されている
セサミFace Proの最大の特徴は、2つの先進的な生体認証技術を搭載している点だ:
- 顔認証:赤線の点々を顔に照射し、その反射パターンを分析。写真や動画によるなりすましを防止。大型レンズ採用により1回の登録で十分な認識精度を実現。
- 手のひら静脈認証:赤外線を手のひらに照射し、静脈内の赤血球からの反射を分析。写真や偽造された手では認証不可能。暗闇でも正確に認証可能。
優れたセキュリティ性能
認証速度はわずか0.9秒で解除可能(暗闇でも同速度)だ。他人誤認証率は0.001%未満という高い安全性を誇る。市場の多くの顔認証製品が写真によるなりすましに弱い中、高度なセキュリティを実現している。
耐久性と電源管理
完全なIP65防水防塵仕様を採用。セサミタッチからのフィードバックを元に改良され、ブザーの完全密閉化や本体一体整形による水の侵入防止が図られている。CR123A電池を使用し、長時間稼働が可能(電池寿命は約2〜3年)だ。
使いやすさ
簡単な取り付け(両面テープまたは磁石で固定可能)が特徴だ。直感的な顔登録・手のひら静脈登録プロセスで、様々な角度からでも認証可能な柔軟性を備えている。
インテリジェントなレーダー機能
省エネの電波を常時発信し、人の動きを検知した場合のみスリープ状態から起動する。不要な電力消費を抑える省エネ設計となっている。
人を認識すると赤外線センサーらしきものが反応する(点滅している)
製品の技術的な強み
神経回路を模倣したAI認証システム
セサミFace Proの認証システムは、人間の脳の神経回路を模倣したAI技術を採用している。この技術により、単純な画像認識を超えた高度な判別が可能になっている。最もシンプルな神経回路でも手書き文字の判別ができるという原理を応用し、より複雑な神経回路によって顔や静脈パターンの精密な認識を実現している。
なりすまし防止技術
一般的な顔認証システムと異なり、セサミFace Proは立体的な情報を分析する:
- 顔認証:赤線の点々の反射パターンが立体的であることを確認
- 静脈認証:生きた赤血球からの赤外線反射を検出
これにより、写真や動画、偽造された立体物によるなりすましを効果的に防止する。市場にある10万円、20万円クラスの顔認証製品でさえ写真によるなりすましを防げないケースがある中、セサミFace Proは高いセキュリティレベルを実現している。
省電力設計と長寿命
レーダー機能と省電力設計により、顔認証や静脈認証という高度な機能を搭載しながらも、長時間の稼働を実現している。人感センサーとして機能するレーダーが、必要なときだけ認証システムを起動させることで、無駄な電力消費を抑えている。
あくまでも使い始めて丸一日しか経っていないため、今後使っていくうちに状況は変わるかもしれないが、現時点における印象をお伝えしよう。
理想としては、普段歩くスピードでドアに近づくと顔を認識しロック解除してくれるような状態だが、そこまでの認証スピードは体験できていない。僕の場合、少しゆっくり歩くことで「歩きながら認証できる」という状態は実現できた。基本的には少し立ち止まって認証するほうが精度は高い。
ゆっくり歩きながら認証に成功
音がないと分からないが、まるで鍵が掛かっていないように開けられる
手のひら静脈認証は、未来的で使っていて楽しいのだが、Apple Watchを使っていない人や指紋認証がうまくいかないという方が活用するべき機能だと思う。というのも、認証にやや時間がかかるという印象で、手のひらをそれなりに近づける必要がある。個人的にはApple Watchの超高速認証のほうが精度もスピードも優れていると感じる。
僕はApple Watch認証が1番好き
セサミタッチPro、セサミFace、セサミFace Proは基本的に同じ横幅と言われているが、セサミタッチ用の固定器具にセサミFace Proはなぜか上手くはまらず、結果的に取り付け器具を完全に新調する形で取り付けた。幸いにも3Mテープはドライヤーで温めながら作業をすれば比較的綺麗に剥がれる。(ドライヤーを玄関ドアに当てている光景はなかなか滑稽だったが…!)
左から順に:セサミタッチPro、セサミFace Pro、セサミFace
セサミタッチやセサミタッチProを既に取り付けており、顔認証を追加したいという方にはセサミFaceがおすすめだ。僕は思い切ってセサミタッチProを取り外してセサミFace Proに付け替えた。
注意するべき点として、斜めからでも認証できるため、意外と意識していないタイミングでロック解除されてしまう恐れがある。例えば今回、この記事を書くにあたって何度も玄関先でテストしていたが、セサミFace Proの方向を向かずにカメラの操作をしていたところ、顔を認識してロック解除してくれてしまった。精度の高さを再確認すると同時に、ドアが開いてほしくないという状況がある場合はリスクになるため、この点は意識しておくと良いだろう。
まとめ:顔認証スマートロック、コスパの高さが光る価格
Apple Watchの認証体験を上回るとは言えないが、選択肢として新たな認証方法が追加されるのはやはり便利だ。個人的には手のひら静脈認証より顔認証のほうが使う機会は多そうだ。
すでにセサミタッチやセサミタッチProで満足している人はあえて買い替える必要はないと思うが、顔認証でロック解除できるのはかなり近未来的で使っていて楽しい。ただし、本当に意識せずにドアが開くので、人によっては不気味と感じる可能性もある。同居する家族としっかり相談の上、導入は検討したほうが良いかもしれない。
セサミ製品の魅力は間違いなく「コスパの高さ」。セサミFace Proは5,980円、セサミFaceは5,480円。AmazonでセサミタッチProより安いという衝撃プライスで販売する。SwitchBotの顔認証対応製品と比べても、心配になるほど安い。コスパが高すぎる。
セサミFace ProとセサミFaceは、セサミタッチProの優れた基本性能を継承しながら、最先端の生体認証技術を搭載することで、スマートロックの新たな可能性を切り開いている。高度なセキュリティと使いやすさを両立させた製品として、スマートホームセキュリティの新たな選択肢となるだろう。