米10年国債利回り、5%乗せは時間の問題か-利下げ1回しか想定せず

10日発表された米雇用統計が堅調な数字となったことを受け、13日の米国債相場は下落した。米金融当局がほぼ年内を通じて利下げを休止する方向との観測が強まった。

  指標の米10年国債利回りは上昇して一時4.8%と、2023年終盤以来の高水準を付けた。これに伴い、昨年9月半ば以降の利回り上昇幅は1ポイント強に達した。一方、30年国債利回りは再び5%に接近した。10日には約1年ぶりに同水準を一時上抜けた。

  利回り上昇の背景には、根強いインフレと政府債務膨張を巡る不安があり、先物トレーダーは25年終盤まで追加利下げの可能性は低いとみている。原油高止まりもインフレ加速の懸念を促した。

  ウィズダムツリーの債券戦略責任者ケビン・フラナガン氏は24年の労働市場について、「堅調で底堅い状況が続いた」とした上で、10年債利回りの5%台乗せは恐らくあと数日か数週間の問題との認識を明らかにした。

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  10日に原油相場は大きく上昇。米政権がロシアの石油業界に対し、新たな包括的制裁を導入したことがきっかけで、相場は週明け13日も続伸した。

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  昨年12月の雇用統計では非農業部門雇用者数が前月比25万6000人増と、3月以来の大幅な伸びとなり、ブルームバーグ調査に参加したエコノミストほぼ全員の予想を上回った。

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  スワップ市場では現時点で、年内に0.25ポイントの利下げ1回しか想定されていない。雇用統計発表前は0.25ポイントの利下げ2回がかなり織り込まれていた。10月ごろまで0.25ポイント引き下げも完全に織り込まれてはいない。

  トレーダーは今や利回りがどこまで上昇するか自問しており、当局が再び利上げに動く可能性を考える向きもある。当面の焦点は14日に発表される生産者物価指数(PPI)と15日公表の消費者物価指数(CPI)だ。

  ヌビーンのグローバル投資ストラテジスト、ローラ・クーパー氏はブルームバーグテレビジョンの番組で、「今週はインフレが本当に重要なデータポイントだ。市場のシナリオとして、利上げにシフトするリスクがある」と見解を示した。

原題:Treasuries Selloff Ripples Through World Markets After Jobs Data(抜粋)

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