【そうきたか】暑さ対策で日本気象協会が提案する「暑熱順化」ってなに? 調べた結果なんとも言えない気持ちに
ただでさえ高温多湿な日本。ここ10年くらいの暑さは天井知らずで、夏場はとんでもないことになっている。
カラッと暑いだけならいいけど湿度も高いので過ごしにくいことこの上ない。暑さ対策グッズがそこらじゅうで売られているし、夏の楽しさよりも暑さへの恐怖の方が勝っている。
さて、暑さ対策グッズについて調べていたら「暑熱順化」というあんまり聞き慣れない言葉が飛び込んできた。なんでも厚生労働省や日本気象協会が推進している暑さ対策らしいのだが……。
編集部内でアンケートをとったが、そんな言葉は知らないという人がほとんどであった。
・暑さに慣れる対策
「暑熱順化」。漢字の雰囲気から多少予想がつくだろうが、読んで字の如く、暑さに順応するための対策らしい。日本気象協会の熱中症対策サイトの説明文をはのっけから
「暑熱順化とは、体が暑さに慣れることです。」
で始まる。なんかもうこの時点で「はい、解散!」と言いたくなるのだが、暑さに慣れていないと熱中症の危険性が高まるので、暑くなる前から暑熱順化をして熱中症になりにくい体づくりをするのが大事……とのこと。さらに
「暑い日が続くと、体は次第に暑さに慣れて(暑熱順化)、暑さに強くなります。」
とも書いてあった。たしかに、赤道直下の国に住んでいる人たちなどは暑さに慣れていそうである。いや、でもここ数年の猛暑、全然慣れないけどな……。
ちなみに、体を暑熱順化させるには数日から2週間程度かかるそうな。本格的な暑さが到来する前からやっとくのが大事らしい。今じゃん。
正直気乗りはしないのだが、熱中症は怖いからやっておくか……。太古の昔から、生き残るのは環境に適応できた生物だけなのだ。
ということで、さらにやり方を調べてみることにしたが、いろんな意味でびっくりした。
・体を暑熱順化させるには
紹介されていたのは以下の方法。
・ウォーキング(1回30分、頻度は週5日) ・ジョギング(1回15分、頻度は週5日) ・サイクリング(1回30分、頻度は週3回程度) ・筋トレ、ストレッチ(1回30分、頻度は週5回~毎日) ・入浴(2日に1回は湯船につかる)
なんていうか……普通では?
要するに風呂で湯船にしっかりつかって、毎日軽い運動をせよということである。
暑熱順化なんて四字熟語化されてるから、いったいどんな特別なことをするのかと思ったら。いや、体を動かしてゆっくり風呂に入るのは健康にとっても大事なので、この習慣は悪くない。むしろ健康的。
湯船には年がら年中使っているから問題ないとして、問題は運動である。毎日30分のウォーキングをするとか筋トレをするって意外と大変ではないか。「暑熱順化」などと難しい言葉を使われた感もあるけど、結局、生活習慣が大事ってことか。
さらに、調べるうちに驚愕の事実が明らかになるのだった。
・そんな……
なるほど、暑さが本格的になる前から運動したりお風呂に入って汗をかくのが大事なのね……と思ったのもの束の間。
次の一文を読んで、なんともやるせない気持ちになったのだった。
せっかく一度暑熱順化ができても 数日暑さから遠ざかると暑熱順化の効果はなくなってしまいます。
暑さに慣れても、暑さから遠ざかると降り出しに戻る……! 暑さに慣れるために、私たちは毎日運動をして汗をかき続けなくてはいけないのだ。部活や習い事で運動が習慣化しているならいいけど、地味に面倒である。
ハッ! ひょっとして私たちがいつまでも猛暑に慣れないのは、夏のあとに秋がきて冬が来るから……。つまり四季があるから体がリセットされて毎年フレッシュに暑い暑いって言ってるってこと……?
しかし「暑熱順化」について調べれば調べるほど、もうこれ以上、温暖化の対策のしようがないから、暑さに慣れることを推奨されているようで、なんとも言えない気分になるのだった。
とはいえ、暑さに慣れるといっても、猛暑でもエアコンをつけずに過ごしたりするとたちまち熱中症になってしまうので、気をつけなくてはいけない。ポイントはあくまでも暑さに適応した体作りであって、暑さを我慢することではないのだ。
それと、日頃から風呂に入って運動してるからといって、熱中症にならないわけではないから、そこのところも注意が必要だろう。
日本気象協会の予測によると、2025年の6月〜8月の気温は全国的に平年より高くなり、湿度が高く、蒸し暑い日が多くなりそうとのこと。
とりあえずみんな風呂に入って、水分補給しながら軽く運動しましょうかね……。
参考リンク:熱中症ゼロへ(暑熱順化) 執筆:御花畑マリコ Photo:RocketNews24.