絶滅危惧種カメの飼育数偽り、管理費を詐取疑い…サンシャイン水族館元館長ら書類送検へ
密輸で押収された絶滅危惧種「ビルマホシガメ」の飼育を委託された東京・池袋のサンシャイン水族館が、飼育数を偽って国から管理費を詐取したとして、警視庁は23日にも元館長の男性(60)ら4人を詐欺容疑で東京地検に書類送検する方針を固めた。カメは同館から譲渡された愛好家が繁殖し、販売していた。虚偽報告は約9年間続けられており、警視庁は同館がカメの横流しを隠そうとしたとみている。
ビルマホシガメ=サンシャイン水族館のフェイスブックから他に書類送検されるのは、現役の副館長の男性ら。
捜査関係者によると、4人は共謀して2018~22年、飼育を委託されたビルマホシガメが同館に8~9匹しかいないのに、10~12匹いるとする虚偽の書類を経済産業省に提出し、管理費計約15万円を詐取した疑い。いずれも任意の調べに容疑を認めているという。
【チャート】カメ横流し事件の構図同館は1999~2003年、日本動物園水族館協会(東京)を通じ、税関が発見して密輸入を差し止めたビルマホシガメ計23匹の飼育・管理を同省から委託された。13年頃には国への報告数と実際の数の違いに気付いたが、22年春まで「カメが腸 閉塞(へいそく) で死んだ」などと虚偽報告を続けていたという。委託に伴う管理費は1匹当たり年間約1万5000円で、警視庁は同館が03年以降、計約190万円を不正に得たとみている。
警視庁は今月21日、ビルマホシガメ2匹を知人に4万円で販売したとして、沖縄県の会社役員の男(57)と妻(56)を種の保存法違反(譲渡)容疑で逮捕。男は同館元職員から03年頃に計10匹のビルマホシガメを譲り受けた後、同県の 水納(みんな) 島で繁殖して数十匹に増やし、一部を自身のブログなどで知り合った愛好家らに販売・譲渡していたという。
ビルマホシガメはミャンマー原産のリクガメで、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで絶滅危惧種に指定されている。