八戸周辺には世界がある
まずキリストの墓に向かうが、その近くにはキリストラーメンを出す店がある。
店の名前は恵比寿というまた別の神だった
キリストラーメンは850円
同行者含めて4人がキリストラーメンを頼んだ。 「キリスト4つ!」
厨房に伝える声が聞こえた。一神教が揺らぐ。
お麩となるとが六芒星になっている
ラーメンは醤油味でナガイモと大きな梅干しが入っている。王道の醤油味のスープがやさしく、そしてナガイモがしゃきしゃきして美味しい。なぜならこのあたりはナガイモの産地で、道沿いにもナガイモの畑があった。私には分からないがVISITはちのへの人に教えてもらった。
キリストラーメンに地産地消が入っている。
お店のご主人に聞くと、以前は別の店でもキリストラーメンを出していたという。キリストラーメンはこの店の独自のものではなく、複数の店で出すメニューだった。
店内にはキリスト祭のポスターが貼ってあった。2025年で61回である
キリストラーメンの特徴であるお麩でできた六芒星は以前は十字架だったそうだ。ただ、お店で働いていた外国人店員から、それは食べてはだめだとのことで六芒星になったとのこと。
今回、エピソードひとつひとつに力があるのであまりつっこまずに淡々と書いていきます。 そしていよいよキリストの墓に向かう。
キリストっぷ
キリストの墓は八戸から西に36km離れた新郷村にある。公共交通機関はない。今回はキリストの墓の近くで土産物屋を開いている平葭(たいよし)さんに案内してもらえた。
お店の名前は「キリストっぷ」
キリストっぷのオーナーであり、今回案内してくれる平葭(たいよし)さん
お店の名前やTシャツにいちいちつっこむとこの原稿が2万字ぐらいになるのでなるべくスピーディーに進みます。でもこのTシャツは買いました。(シンとゴウムラのあいだの中黒が十字架になっている)
キリストっぷのおみやげは全部欲しい
平葭さんの畑で作られたそば
冗談のような、というか冗談そのものの名前だが、つるつるして美味しいおそばだった。さっきから地元の素敵な名産品が惜しげもなく冗談になっている。
聖人とかいて「せいんちゅ」と読むTシャツ
近頃はキリストの墓にもインバウンドの観光客が来るそうだ。この日もイギリスからやってきたという観光客がいたが「せいんちゅ」の冗談の完成度の高さは通じにくい。
キリストの墓へ
キリストっぷから数分歩き、キリストの墓の近くで平葭さんの案内を聞く。
たぶん世界にここだけの案内標識
キリストの墓
ここでは年に1回キリスト祭りが開催される。祭壇が組まれて神社から神職が来て慰霊祭を行うそうだ。最初は牧師さんを呼んで賛美歌を歌ったらしいが、地元の人から「なんかしっくりこない」ということで神式になったとのこと。
平葭さん「でも頼まれた宮司さんも『さて困った、キリスト用の祝詞がない』ってなって。でも、ほかの宮司さんと相談してオリジナルの祝詞を作った」
祝詞を作った宮司さんの孫がいまでもその祝詞で祭事を行っている。
さて困った、キリスト用の祝詞がないって(笑)
キリストの墓の向かいには弟のイスキリの墓。お参りの方法は自分の信仰に合わせて選んでよいとのこと
冬になるとキリストの墓にはリースが飾られるそうだ。
平葭さん「お供え物もされるんですよ。パンとワイン。パンは食パン一斤。でも誰がお供えしているのか分からない。伝承館(近くにある資料館)は11月までなので、その管理者ではない。」
奇跡めいた話だがパンが食パン一斤というところに話の強弱がある。
絵馬を飾るピラミッドもある。ステンレス製
平葭さん「世界征服とか書かないでくださいね。ピラミッドパワーで叶っちゃうから」
お金持ちになりたいはいいか聞くと
平葭さん「それなら大丈夫」
とのことだった。絵馬はキリストっぷで販売中だ。
ここで改めて説明すると、新郷村のキリストの墓はこのような伝説に基づいている。 ゴルゴダの丘で磔の刑にされたのはキリストの弟のイスキリであり、難を逃れたキリストは苦労の末にこの土地にたどり着き、106歳まで生きた、そういう伝説である。 一般的に知られているキリストの話とは異なる。
この話の元になっているのが竹内文書と呼ばれている戦前の歴史書で、学術的には偽書とされている。(竹内文書の真偽や内容については本記事では深入りしないので興味のある人は自分で調べてください)。
私も竹内文書を信じているわけではない。ただ平葭さんの話を聞いているとちょっと考え込んでしまうのだ。信じるようになったわけではない。ただ、どっちでもいいというか、真偽を気にすることの野暮さというか、あいまいにしておくという選択肢があるような気がしてくるのだ。
あとで録音を聞いたら「そりゃ奇跡ですね!!」と囃し立てているのは主に私だったが
平葭さんも「竹内文書は都合の良いことに焼失してしまっているんですよ(笑)」「お墓の横を流れている沢は聖水です」「イスラエルに招待された人がこの景色に似ていると言ってました。ただ話を盛る人なんですが(笑)」など信憑性にメリハリをつけてくる。 ちなみに弟が身代わりでばれなかった理由は恐山でキリストを降ろして聞いたそうだ。
白黒はっきりせずに、曖昧なままにしておくという選択肢もある。一緒にして良いのか分からないが、河童の話を聞いたときの気持ちに近い。そのぼんやりした気持ちはこのあとどんどん強くなっていく。 次は自由の女神だ。
Page 2
翌日、八戸市から北上しておいらせ町の自由の女神を見に行った。この自由の女神を見るのは3回目だ。
久しぶり
おいらせ町の自由の女神は、「日本一の自由の女神像」を名乗っている。ここも要素が多いので箇条書きで説明すると ・ここはかつて百石町という町で、その町がニューヨークと同じ緯度 ・緯度が北緯40度40分、4並び ・なのでニューヨークの自由の女神1/4サイズで作った。高さは20.8m(お台場の自由の女神が12.25mなので) ・旧百石町にちなんで「ももちゃん」という愛称が付いている
・ふるさと創生の1億円で制作
私はこのエピソードが多い自由の女神が大好きで、2001年と2005年に訪れている。自由の女神なのに日本一なのも「ももちゃん」という名前もいい。2001年に訪れたときは台座の下にボタンがあり、押すと歌が流れた。 ロス・プリモスの「北緯四十度四十分」というムード歌謡だった。(歌詞はここで見ることができます )
自由の女神の顔ハメがあるので
自由の女神の顔ハメに顔を出す自由の女神の写真も撮れる
この写真が撮れるのも世界でここだけだろう。
地面にめり込むぐらいの勢いで撮る
ももちゃん
自由の女神がサンダルのようなものをはいているのもまじまじと観察できる
この公園は人がいなくて思う存分に自由の女神を眺めることができる。過去2回来たときも人がいなかった。自由の女神を愛でたいのならばおいらせ町だ。
自作ガンダム
自由の女神の帰りにガンダムのある店に寄った。
モビルスーツらが所狭しと立っている
この店は以前、デイリーポータルZでも取り上げたことがある。
そのときは理容店だったが、2025年ではカラオケ店になっていた。ただ、いまは営業していないらしい。そしてガンダムが増えている。
ガンダムカラオケ
アムロが一番言わなさそうなこと「つまみ持ち込みOK!」
ちょうどガンダムを作った鈴木さんが出てこられたので話を伺うことができた。
発泡スチロールにゴムの下地を塗って着色しているそう
以前のデイリーポータルZのインタビューでお聞きした通り、プラモデルの寸法を測り、拡大して作っているという。最初のふたつはコンクリート製で、そのあとは発泡スチロール製とのこと。
理屈は分かるが、それでこんなに大きなものができているのがすごい。
倒れないように地面に穴を掘り、そこに基礎となる柱を刺して固定している
そして毎年色を塗り替えてるそうだ。確かにどれも色が鮮やかだ。一見、いわゆる珍スポットだけどそれを維持するための配慮がある。
シャアザクの後ろには作者の名前が彫ってあった
製作の苦労を聞くとこの日本刀のような銘の誇らしさも納得できる。
サンライズと任天堂の社員もやってきてお墨付きをもらったと話していた
あと、私の実家が珍スポットだったため、こういう雰囲気に親近感が湧いてしまう。
キャニオンもある
八戸キャニオンと呼ばれている場所もある。露天掘りの石灰鉱山でどんどん地面を掘って石灰を掘り出している。 ここも2011年に大山さんが記事を書いている。
このときは地表から160m掘ったと書いてあるが、その後も掘り進んで2025年現在は170mになっている。
展望台からも全景を見ることはできないが
車がこれぐらいのスケール感
170mというとちょうど30階建てのビルと同じである。地下30階と考えると深さを実感できる。深いと言われている大江戸線六本木駅だって42mなのでその4倍だ。二十四本木駅だ。
ここはキリストの墓や自由の女神とテイストは違うが、ただグランドキャニオンもあるのがおもしろくて紹介した。八戸には世界がある。
戸惑うのが好きで、分からないものをよく見に行く。 分からないものを見て、考えて、でもやっぱり分からなくて後からじわじわ面白くなってくる。すぐに理解できないもののほうが脳が鍛えられて大きくなる感じがするのだ。ちょうど筋トレしたあとに筋肉が大きくなるように。
八戸にはキリストの墓があって自由の女神が建っている、ガンダムを作るしキャニオンもある。存分に戸惑うことができた。
このネーミングでふんわりしてて優しいパンだった。なぜ!
記事は締まったのですが、本文に収まらなかった写真をどうぞ。
道の駅で、こんなこと言われたら買う
にんにくの町、田子のコーラ。ちょっとにんにくの風味があるぐらいだと思ったらすごいにんにく味だった
八戸のとなりの三戸町は馬場のぼる先生の出身地。道の駅で11ひきのねこのピンバッジが買えた
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まずキリストの墓に向かうが、その近くにはキリストラーメンを出す店がある。
店の名前は恵比寿というまた別の神だった
キリストラーメンは850円
同行者含めて4人がキリストラーメンを頼んだ。 「キリスト4つ!」
厨房に伝える声が聞こえた。一神教が揺らぐ。
お麩となるとが六芒星になっている
ラーメンは醤油味でナガイモと大きな梅干しが入っている。王道の醤油味のスープがやさしく、そしてナガイモがしゃきしゃきして美味しい。なぜならこのあたりはナガイモの産地で、道沿いにもナガイモの畑があった。私には分からないがVISITはちのへの人に教えてもらった。
キリストラーメンに地産地消が入っている。
お店のご主人に聞くと、以前は別の店でもキリストラーメンを出していたという。キリストラーメンはこの店の独自のものではなく、複数の店で出すメニューだった。
店内にはキリスト祭のポスターが貼ってあった。2025年で61回である
キリストラーメンの特徴であるお麩でできた六芒星は以前は十字架だったそうだ。ただ、お店で働いていた外国人店員から、それは食べてはだめだとのことで六芒星になったとのこと。
今回、エピソードひとつひとつに力があるのであまりつっこまずに淡々と書いていきます。 そしていよいよキリストの墓に向かう。
キリストっぷ
キリストの墓は八戸から西に36km離れた新郷村にある。公共交通機関はない。今回はキリストの墓の近くで土産物屋を開いている平葭(たいよし)さんに案内してもらえた。
お店の名前は「キリストっぷ」
キリストっぷのオーナーであり、今回案内してくれる平葭(たいよし)さん
お店の名前やTシャツにいちいちつっこむとこの原稿が2万字ぐらいになるのでなるべくスピーディーに進みます。でもこのTシャツは買いました。(シンとゴウムラのあいだの中黒が十字架になっている)
キリストっぷのおみやげは全部欲しい
平葭さんの畑で作られたそば
冗談のような、というか冗談そのものの名前だが、つるつるして美味しいおそばだった。さっきから地元の素敵な名産品が惜しげもなく冗談になっている。
聖人とかいて「せいんちゅ」と読むTシャツ
近頃はキリストの墓にもインバウンドの観光客が来るそうだ。この日もイギリスからやってきたという観光客がいたが「せいんちゅ」の冗談の完成度の高さは通じにくい。
キリストの墓へ
キリストっぷから数分歩き、キリストの墓の近くで平葭さんの案内を聞く。
たぶん世界にここだけの案内標識
キリストの墓
ここでは年に1回キリスト祭りが開催される。祭壇が組まれて神社から神職が来て慰霊祭を行うそうだ。最初は牧師さんを呼んで賛美歌を歌ったらしいが、地元の人から「なんかしっくりこない」ということで神式になったとのこと。
平葭さん「でも頼まれた宮司さんも『さて困った、キリスト用の祝詞がない』ってなって。でも、ほかの宮司さんと相談してオリジナルの祝詞を作った」
祝詞を作った宮司さんの孫がいまでもその祝詞で祭事を行っている。
さて困った、キリスト用の祝詞がないって(笑)
キリストの墓の向かいには弟のイスキリの墓。お参りの方法は自分の信仰に合わせて選んでよいとのこと
冬になるとキリストの墓にはリースが飾られるそうだ。
平葭さん「お供え物もされるんですよ。パンとワイン。パンは食パン一斤。でも誰がお供えしているのか分からない。伝承館(近くにある資料館)は11月までなので、その管理者ではない。」
奇跡めいた話だがパンが食パン一斤というところに話の強弱がある。
絵馬を飾るピラミッドもある。ステンレス製
平葭さん「世界征服とか書かないでくださいね。ピラミッドパワーで叶っちゃうから」
お金持ちになりたいはいいか聞くと
平葭さん「それなら大丈夫」
とのことだった。絵馬はキリストっぷで販売中だ。
ここで改めて説明すると、新郷村のキリストの墓はこのような伝説に基づいている。 ゴルゴダの丘で磔の刑にされたのはキリストの弟のイスキリであり、難を逃れたキリストは苦労の末にこの土地にたどり着き、106歳まで生きた、そういう伝説である。 一般的に知られているキリストの話とは異なる。
この話の元になっているのが竹内文書と呼ばれている戦前の歴史書で、学術的には偽書とされている。(竹内文書の真偽や内容については本記事では深入りしないので興味のある人は自分で調べてください)。
私も竹内文書を信じているわけではない。ただ平葭さんの話を聞いているとちょっと考え込んでしまうのだ。信じるようになったわけではない。ただ、どっちでもいいというか、真偽を気にすることの野暮さというか、あいまいにしておくという選択肢があるような気がしてくるのだ。
あとで録音を聞いたら「そりゃ奇跡ですね!!」と囃し立てているのは主に私だったが
平葭さんも「竹内文書は都合の良いことに焼失してしまっているんですよ(笑)」「お墓の横を流れている沢は聖水です」「イスラエルに招待された人がこの景色に似ていると言ってました。ただ話を盛る人なんですが(笑)」など信憑性にメリハリをつけてくる。 ちなみに弟が身代わりでばれなかった理由は恐山でキリストを降ろして聞いたそうだ。
白黒はっきりせずに、曖昧なままにしておくという選択肢もある。一緒にして良いのか分からないが、河童の話を聞いたときの気持ちに近い。そのぼんやりした気持ちはこのあとどんどん強くなっていく。 次は自由の女神だ。