「楽しいのに人生が満たされない人」に足りないもの・ベスト1

「休日は趣味や旅行を楽しんでいる」「週末の夜ふかしやお酒が何よりの楽しみ」。毎日にそれなりの楽しみはあるのに、ふとした時に、人生全体としては物足りなさを感じる。そんな人は少なくないかもしれません。では、楽しいのに満たされない人には、何が足りないのでしょうか? ウェルビーイング研究の第一人者である前野隆司氏は著書『幸せの人類史 なぜ「幸福」は人類を「不幸」にしたのか』の中で、古代ギリシャの哲学と心理学の研究をもとに、幸せの二つのタイプについて語っています。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

Photo: Adobe Stock

楽しいことはあるのに、何かが足りない

週末の楽しみのために、平日をやり過ごしている。 楽しい時間が終わると、すぐに次の楽しみを探している。

楽しかったはずなのに、あとで振り返ると何も残っていない気がする。

こんなことに心当たりはないだろうか。 前野隆司氏によると、幸せには大きく二つのタイプがあるという。古代ギリシャで生まれた「ヘドニア」と「ユーダイモニア」だ。

ヘドニアは快楽主義とも訳されます。快楽というと退廃的なニュアンスを感じるかもしれませんが、そうではなく、五感で快を感じることに関連した、美味しい、美しい、嬉しい、楽しいといったような幸せを含む言葉です。ただし、この幸せは短期的で長続きしないといわれています。 ――『幸せの人類史 なぜ「幸福」は人類を「不幸」にしたのか』より

一方のユーダイモニアは、何か人生にとって意義のあることを行って、生きがいを感じるような長期的な幸せのことだ。利他心や社会貢献もここに含まれる。

ベスト1は、生きがいを感じる「ユーダイモニア」

「楽しいのに人生が満たされない人」に足りないもの・ベスト1。それは、生きがいを感じるような長期的な幸せ、ユーダイモニアだ。

楽しい時間は、すぐに過ぎ去ってしまう。前野氏も、ヘドニアだけだと短期的な快楽だけを追求してしまいそうだと述べている。長続きしない幸せだからこそ、次々と楽しみを補い続けなければならないのだ。

では、楽しみは我慢したほうがいいのか。そうではないという。

たとえば、ツェンらの2020年の研究によると、「ヘドニアだけを優先する」人よりも「ユーダイモニアを重視しつつヘドニアも持つ」人の方が、より高い幸福感が得られるようです。ユーダイモニアを重視する人は自分を統制する力が強いため長期的に幸福度が高くなりやすいのに対し、ヘドニア志向の人は目先の快楽や快適さに流されやすく自己統制が低くなりがちであるためと考えられています。 ――『幸せの人類史 なぜ「幸福」は人類を「不幸」にしたのか』より

大切なのは、楽しみをやめることではなく、そこに生きがいを加えることだ。

楽しみに、生きがいを少し足してみる

だからこそ、

趣味で身につけたことを、誰かに教えてみる。 地域の活動やボランティアに、一度参加してみる。

自分の仕事が誰の役に立っているかを、思い浮かべてみる。

そんなちょっとしたことが、楽しいだけではない、満たされた感覚をもたらしてくれるかもしれない。

今の楽しみと、人生の生きがい。その両方がそろったとき、人生は満たされていくはずだ。

幸せの人類史 なぜ「幸福」は人類を「不幸」にしたのか

前野隆司 著

<内容紹介>

「幸せ」は思いのほか、最近作られた危うい概念だ――人類は誕生以来、30万年かけて「幸せ」を発明し、研究し、追求してきた。でもその結果、私たちは幸せになったのだろうか? 物質的には豊かになっても、世界は分断され、「満たされない」思いを抱える人も後をたたない。幸せを追うごとに人類は不幸になった。では、本当の幸せは、どこにあるのか? 幸福学の第一人者が哲学・心理学・宗教を横断しながら紐解いた人類の「心」の歴史と、あなたの人生をめぐる一冊。

関連記事: