宮城県知事選に立候補した5氏はどんな人? 経歴や人となりを紹介
経済や福祉、子育て支援に地域間格差の是正――。26日に投開票される宮城県知事選には、過去最多タイとなる5氏=いずれも無所属=が出馬している。横顔とともに、届け出順で主な公約を紹介する。
村井嘉浩氏6選をめざす現職村井嘉浩氏(65)は「丁寧で堅実な県政」を掲げる。大阪府豊中市出身で、陸上自衛隊東北方面航空隊、県議などを経て2005年に知事に初当選した。トヨタグループの県内誘致など2次産業強化が得意分野で、震災復興では陣頭指揮を執った。
訴えの柱の一つが、世界的な半導体企業の誘致実現で、現状について、「交渉に手応えを感じている」と明かす。このほか、AI(人工知能)技術導入による官民の人手不足解決、仙台医療圏の病院再編や「官民連携」による水道事業など、進行中の施策の継続が公約の中心だ。
一定規模の屋内ライブ会場が県内にない中、建築費を抑えたシンプル設計のアリーナ建設を新たに打ち出す。健全化が進む財政基盤に加えて民間資金も投入すると主張。「東北のリーダー県として、成功モデルを示したい」と他県への波及も視野に入れる。
高市早苗首相は松下政経塾の先輩に当たり、選挙期間中に応援メッセージを寄せた。仙台市の郡和子市長を始め、県内各首長や出身母体の自民党会派や公明党、日本維新の会の県議が支援に入っている。
和田政宗氏和田政宗氏(51)は実現すれば全国初となる「出産育児費用の完全無償化」が公約の核だ。
東京都出身。元NHKアナウンサーで、仙台放送局時代、東日本大震災で被災地を取材したことをきっかけに、政治の道を志した。みんなの党所属時代に参院選宮城選挙区で2位当選。その後、自民党に移り、今夏の参院選比例区では落選した。
自民党籍を持つが、知事選では参政党と二人三脚の戦いを展開。神谷宗幣代表や塩入清香氏など党所属の国会議員が続々と応援に入る。安倍晋三元首相の妻昭恵さんも応援メッセージを寄せている。
不妊治療費の負担ゼロ、高校までの授業料無償化、中学までの給食費無償化、県独自の出産支援金30万円の給付、子どもの数に応じた50~100%の県民税減税など優遇措置を掲げる。
財源については「大型事業を見直す」「将来投資としての県債活用」「年間5千人が宮城に移住すれば、6~8年で税収不足分は取り戻せる」などと説明する。一方、県債は原則ハード整備にしか充てられないという地方財政法の制約がある。
宇宙航空産業の誘致やふるさと納税の倍増で「稼げる県」とする公約も掲げる。水道事業や病院再編といった現県政が進める施策の見直しも訴える。
金山屯氏福島県白河市在住の金山屯氏(85)は、山形県や福島県知事選などを経て今回が11回目の立候補。当選経験はない。首都を東京都から多賀城市に移すことや、皇室典範改正による女性天皇の容認、JR仙台駅前に場外馬券売り場を設けることを訴える。
遊佐美由紀氏遊佐美由紀氏(62)は唯一の女性候補。宮城県旧鳴子町(現大崎市出身)で、NHK仙台放送局のリポーターや、フリーアナウンサーなどを経て1995年に旧社会党公認で県議(仙台市青葉選挙区)に初当選。9月まで所属していた立憲民主党を離党し、8期目途中で初めて知事選に立候補した。立憲民主党や共産党の県議を中心に支援を受けている。
「出産子育てにかかる費用の無償化」を掲げ、高校卒業までの医療費無償化、学校給食の早期無償化を唱える。
訪問介護事業所のない市町村の解消、福祉従事者への県独自の処遇改善といった福祉政策に重心を置く。「福祉は単なる支出ではなく、未来への投資」として経済促進にもつながると主張する。
中小企業の賃上げや正規雇用転換を支援することなどで所得アップも公約とする。今年度で完全閉鎖する「みやぎ心のケアセンター」の後継機関を新設し、東日本大震災以降、続いてきた心のケア事業を継続することも訴える。
伊藤修人氏伊藤修人氏(33)は、岩手県宮古市や宮城県角田市の元職員で、農政や市民からの相談対応などを担当してきた。県最南端の丸森町で暮らす視点から、仙台一極集中や地域間格差の是正をテーマに訴える。
地域の医療や生活を充実させるため、自動運転や遠隔技術への投資を訴える。ほかにも賃上げ企業への減税や「申請型」の補助を「プッシュ型」へ移行するとしている。
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