愛知の運送会社「29歳社長のDX」は失敗組とここが違う、これがデジタルネイティブか…(ビジネス+IT)
これがデジタルネイティブか……。愛知県みよし市の運送会社であるmirai計画の代表取締役 柳川 佑平氏を取材して感じたことだ。仕事柄、筆者はさまざまなDXの取り組みを取材しているが、当然ながら各社、苦労を重ねてDXに取り組んでいる。しかし、29歳、デジタルネイティブである柳川氏は、やすやすとDXを実現しているように感じてしまう。本稿では、mirai計画の取り組みと、数千万円を投資したシステムの頓挫を経てDXを成功させた芳誠流通(東京大田区)の取り組みを紹介しつつ、デジタルネイティブという切り口からDXを考えてみたい。
芳誠流通は、東京都大田区にある本社を含め、都内に4拠点、埼玉県内に2拠点を構え、主として青果輸送を行っている。年商約30億円、従業員数約270人、保有トラック数200台弱の運送会社である。 従業員が30人以下の運送会社が約80%を占め、逆に従業員1000人以上の大企業が77社(2023年3月実績)、割合にして0.1%しかいない運送業界において、芳誠流通は準大手と言って良いだろう。 芳誠流通が本格的なシステム導入を最初に行ったのは2016年のこと。システム化の目的は以下の通りだ。 ・配車表を書くホワイトボードを廃止する ・ドライバーから事務所に対して行っていた業務連絡を廃止する ・デジタルタコグラフ(デジタコ)を導入し、手書きであった運転日報をデジタル化する 配車とは、その日のトラック運行スケジュールを記した時間割りのようなもの。当時の芳誠流通 大田営業所では、壁一面にホワイトボードを8枚設置して配車表としていた。 配車表の内容は配送状況に合わせて刻一刻と変化していくのだが、事務員は間違い探しのように配車表とにらめっこを行い、イライラしながら最新の配車内容をExcelで作成した売上票に転記していたという。 芳誠流通では先の目的を達成するべく、以下のシステムを導入した。 ・デジタコと、その管理システムである「ITP-WebService V2」(ともに富士通) 勤怠管理システム PC版アルコール検知器 配車システム 後々問題となったのが、配車システムである。芳誠流通では、パッケージソリューションの配車システムも検討したのだが、お眼鏡にかなうものが見つからなかった。そこで、数千万円を投じてフルスクラッチで配車システムを開発したのだ。 芳誠流通 常務取締役 冨田 剛氏は、「一定の効果はあったものの、数年経過すると現場ではあまり使われなくなってしまいました」と当時を振り返る。