ビットコイン、9万ドル超え──対カナダ・メキシコ「トランプ関税」自動車への適用延期を受けて

  • ドナルド・トランプ米大統領がカナダとメキシコからの自動車部品に対する関税の適用延期を発表したことに加え、ドイツが債務上限を緩和する方針を示し、中国が財政赤字目標を拡大したことで、3月5日のリスク市場は上昇に転じた。
  • ビットコイン(BTC)は9万ドルを超え、ビットコインキャッシュ(BCH)、チェーンリンク(LINK)、アプトス(APT)は2桁の上昇率を記録した。
  • 米ドル指数が11月上旬以来の水準まで低下したことも暗号資産(仮想通貨)価格を下支えした可能性がある。
  • 最近の反落にもかかわらず、スイスブロック(Swissblock)のビットコイン・ファンダメンタル・インデックスは、ファンダメンタルズが強気の4象限にシフトしていることを示しており、弱気相場の可能性の低さを示唆している。

目まぐるしいニュースが続く今週だが、3月5日にはトランプ米大統領による関税の延期が発表され、投資家の不安が和らぎ、ビットコインが暗号資産市場の上昇を牽引した。

米政府は、カナダとメキシコから輸入される自動車部品への関税適用を、発動からわずか1日後に1カ月延期すると認めた。

ドイツがインフラ支出に対する債務制限を緩和する計画を打ち出したことや、中国が財政赤字目標を引き上げたことも、リスク市場の反発に貢献した。

ビットコインはニュースを受けて9万ドルを超え、過去24時間で3.7%上昇した。広範な暗号資産市場のベンチマークであるCoinDesk 20 Indexのほぼすべての資産も上昇し、ビットコインキャッシュ、チェーンリンク、アプトスは2桁の上昇率を記録した。

ハイテク株の多いナスダックは1.2%、S&P500も1.5%、米国時間午後にそれぞれ上昇した。暗号資産関連株も週初めの安値から上昇。暗号資産取引所のコインベース(Coinbase)は3.5%上昇し、最大の法人ビットコイン保有者であるストラテジー(Strategy)は10%近く上昇した。

最近では、貿易摩擦や地政学的リスクが投資家心理の重石となり、米国株やデジタル資産などのリスク資産を押し下げていた。

LMAXグループ(LMAX Group)の市場ストラテジストであるジョエル・クルーガー(Joel Kruge)氏は、同様のリスクオフの状況は通常、投資家を米ドルに逃避させ、暗号資産への下落圧力につながってきたと述べた。しかし今回、米ドル指数(DXY)は11月上旬以来の水準まで低下し、1月中旬のピークから5%以上低下している。

クルーガー氏は、「2025年のFRB(米連邦準備制度理事会)による利下げ見込みが、改めてより多く織り込まれ、ビットコインが価値の保存資産として魅力を持てることから、ビットコインが下落局面で支持されると予想する理由は多くあると考えている」と述べた。

暗号資産分析会社のスイスブロックは、過去数日間の価格の乱高下にもかかわらず、ネットワークの全体的な健全性を測定する同社のビットコイン・ファンダメンタル・インデックスは比較的よく持ちこたえたと指摘した。

スイスブロックのビットコイン・ファンダメンタル・インデックス(Swissblock)

「ビットコインのファンダメンタルズは、流動性とネットワーク成長の持続的な改善を伴い、強気の4象限にシフトしようとしている」と、スイスブロックのアナリストは指摘。

「この強さは、ビットコインが弱気相場に追い込まれる可能性が低いことを示唆している」と続けた。

|翻訳・編集:山口晶子|画像:Chip Somodevilla / Shutterstock.com

|原文:Bitcoin Crosses $90K as Trump Delays Canada, Mexico Auto Tariffs

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