Galaxy S25で真のAI時代を目指すサムスン。一番の問題は「信用」

Image: Adriano Contreras - Gizmodo US

いろいろな意味で、信頼できるのかどうか。

2024年は生成AIを使ったデバイスがあれこれ生まれはしましたが、これは!という存在には出会えませんでした。でもSamsung(サムスン)は、今年こそAIアシスタントの時代が来ると宣言しています。

Samsung Galaxy S25シリーズは、モバイルアプリ横断のAIとして、初の成功例になることを目指しています。彼らはテキストメッセージからカレンダーの予定をほぼハンズフリーで抽出すると言ってます。ただそれが機能するためには、AIが間違わないことをユーザーが信じる必要があります。

AIはどこまで信じられる?

サムスンの新たなAI機能は、彼らのモバイル製品発表イベント・Galaxy Unpackedで発表されました。言ってる中身はApple(アップル)がApple Intelligenceで実現すると言っていたこととだいたい同じですが、サムスンはそれを形にした、ようです。ただサムスンにしてもAppleにしても、AIをどこまで信じていいのかはまだわかりません。サムスンは米Gizmodo向けにクローズドなデモを見せてくれたんですが、実世界で使ったときにどれだけ役立つかも未知数です。

Galaxy S25とS25+、S25 Ultraは、今までのサムスン製スマホと違い、AIアシスタントとしてGoogle Geminiを使っています。ただAIはGoogle製であっても、アプリはやっぱりサムスン用にできてます。たとえばサムスンのAIアシスタントに、「スクリーンショットからカレンダーの予定を抽出して」と頼むと、デフォルトではGoogleカレンダーじゃなく、Samsungカレンダーの予定が作られます。Googleカレンダーの予定を入れたいときは、プロンプトの中ではっきり指定する必要があります。

Galaxy S24シリーズで目玉のひとつだった通話の翻訳機能などは、Galaxy S25でもオンデバイスで使えますが、中にはそうでないものもあります。消しゴムマジック風の機能や、AIによる写真や設定の検索も、オンデバイスです。でもプロンプトによって、複雑な処理が必要になる場合は、クラウドにアクセスする必要があります。なのでGalaxy S25には、Gemini Advancedのサブスクリプション(と、クラウドストレージ2TB)が6カ月分付いてきます。

AIのアクセス範囲は指定可能

Image: Adriano Contreras - Gizmodo US

サムスンによれば、AIにアクセスを許可するアプリやコンテンツはユーザー側から指定可能です。これはAIアシスタントに与えるプロンプトに関してだけではなく、たとえばロック画面に表示されるNow BriefウィジェットにもAIが詰まっています。デフォルトでは、AIは健康データから運動トラッキング、写真やカレンダーの予定まで、すべてにアクセス可能になっています。

Image: Adriano Contreras - Gizmodo US

プライバシー保護の仕組みも強化

サムスンは「パーソナルデータエンジン」と呼ぶオンデバイスAIのプライバシー保護の仕組みを開発し、ユーザーのデータはすべてエンドツーエンドで暗号化しています。ユーザーのプロンプトやデータはターゲット広告に利用しないとも言っています。

ユーザー側でも、データ処理をオンデバイスのみで行なうように設定することも可能です。ただその場合、クラウド処理を必要とするAI機能は使えなくなる可能性があります。

Image: Adriano Contreras - Gizmodo US

AIのコスト対効果も気になる

こういうAIの機能は便利なんでしょうけど、実際使えるのかどうかは、サムスンのデモだけではわかりません。また複雑なAI処理にはクラウドが必要ということで、つまりGoogle(グーグル)のデータセンターにアクセスするんですが、そこでは大量の電気や水が使われています。ちょっと便利だけどミスもちょいちょいある、そんな機能の裏側で気候変動がますます進み、大手テック企業は原子力を推進している…そう思うと複雑です。開発してる企業の採算も微妙ですが、世の中全体としてのコスト対効果が気になります。

ただ今のところ、Galaxy S25シリーズでAIにテキストメッセージを書いてもらったとしても、AIは送信までは勝手にしません。設定変更を頼むときも、AIは設定の適切なページを開いてはくれますが、決定のボタンはユーザー自身が押す必要があります。こうしてユーザーがコントロールできるうちは、AIが間違っても修正できるはずです。

とはいえ、ユーザーが知らないところでAIがタスクを完了させてしまったら、修正しようとしても後戻りできないかもしれません。そんな不安も抱えつつ、テック界のAI祭りは今年も続いていくようです。

関連記事: