AIバブル懸念の株式資金シフトが追い風、ESG運用大手が巻き返しへ
ESG(環境・社会・企業統治)運用大手インパックス・アセット・マネジメントのイアン・シム最高経営責任者(CEO)は、人工知能(AI)関連銘柄を巡るバブル懸念に伴い投資資金が大手テクノロジー会社から急速にシフトした場合、同社は恩恵を受ける立場にあると強調した。
インパックスはロンドンを拠点とし、低炭素や持続可能性に関連する投資戦略を手がけている。運用資産は350億ドル(約5兆3000億円)に上る。
シム氏は、「すでに恩恵が表れている兆しが見られる」とインタビューで語った。
同氏によれば、AIをけん引するテクノロジー大手株でバブルが形成されるリスクは、最近投資家との会話で繰り返し話題になるという。持続的な利益を生み出す能力がまだ十分に実証されていない技術に、大規模な資金が流入していることが背景にある。それでも今は、「乗り遅れることへの恐怖(FOMO)」の高まりが、驚異的なバリュエーション上昇を促している。
いわゆる「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる7銘柄のナスダック100指数での構成比は計45%近くに到達。7銘柄は、エヌビディア、マイクロソフト、アップル、アルファベット、アマゾン・ドット・コム、メタ・プラットフォームズ、テスラを指す。
「多くのアセットオーナーが足元で市場の集中を懸念しており、マグニフィセント・セブン以外のポートフォリオを通じて株式投資の分散を図ろうとしている」とシム氏は指摘。市場がこれほど集中した状態を続けることはできないとの見方を示した。
インパックスはここ数年、苦戦している。低炭素投資が振るわず、その後、複数の運用委託を失った。
2024年末には、セント・ジェームズ・プレースとの契約を喪失。また半期報告によれば、BNPパリバ・アセットマネジメント向けのファンドで資金流出が見られたほか、北米の顧客による大規模な解約も受けた。
シム氏は昨年、インパックスがエヌビディア株の上昇余地を見極めるのが遅れたことを認め、一時的な下落を利用してポジション構築を開始したと明かした。
ただ、ビッグテック銘柄の急上昇局面には総じて関与してこなかったという。同氏によれば、その結果、ポートフォリオの分散を進めることができ、ビッグテックの売り局面になっても影響を受けにくくなっている。
「インパックスは明確にディフェンシブな成長株志向に傾いており、おそらく中小型株も重視している。資本財や素材といったセクターを選好する一方、デジタルテクノロジー関連からは距離を置いている」と説明した。
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原題:As AI-Bubble Fears Spread, Impax Readies for Shift in Fund Flows(抜粋)